受験で使われることが多い「偏差値」という言葉、しっかり理解していない状態で使っている方も多いのではないでしょうか。
偏差値は自分の成績を把握するために役立つ指標ですが、間違った見方をすると、意味をなさなくなってしまいます。
この記事では、偏差値の意味や見方をよくある疑問に答える形で説明します。
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ママライタープロフィール
15歳と18歳の息子を持つ福岡在住のライター。(※原稿執筆時)
情報誌勤務を経てフリーランスのライターとして活動中。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、興味のおもむくままに楽しんでいます。
息子たちには野球マニア、潮干狩りのプロと呼ばれています。
偏差値は何を表す数値?
偏差値とは、ある集団の中で自分がどの位置にいるかを表す数値です。
学力のレベルを測る数値として良く使われますが、本来は統計学の用語で、
試験結果の偏差値=(個人の得点-平均点)÷標準偏差×10+50
で計算できます。
集団の平均値は偏差値50になり、偏差値50の人は全体の上位50%の位置、ちょうど真ん中にいることになります。
高校の数学でも勉強するので「覚えている」という方もいるかもしれません。
偏差値の見方
偏差値は、テストの難度や受験者の得点のばらつきに関わらず、学力を見ることができる指標です。
偏差値は、平均値を山のピークのようにしたグラフ(正規分布)を前提に表されるもので、点数が高く(低く)なるほど人数が少なくなります。
具体的には
偏差値70 上位約2.28% (約2位)
偏差値65 上位約6.68% (約7位)
偏差値60 上位約15.87% (約16位)
偏差値55 上位約30.85% (約31位)
偏差値50 上位50% (50位)
偏差値45 下位約30.85% (約69位)
偏差値40 下位約15.87% (約84位)
偏差値35 下位約6.68% (約93位)
となります。
( )内は受験者が100人だったときの順位です。
参考:具体例で学ぶ数学|偏差値と割合(上位何パーセントか)の変換表
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偏差値の疑問から見方を解説
受験生は試験の成績で自分の偏差値と志望校の偏差値を照らし合わせ、合格の可能性を確認します。
正しい偏差値の見方を身につけるために、よくある8つの疑問にこたえる形で解き明かしていこうと思います。
疑問1:大学や高校の偏差値はどうやって決まるの?
大学や高校の偏差値は、大学や高校が自ら発表しているものではありません。
模試を実施する塾や予備校が持っているデータで決まります。
例えば、A予備校が算定しているB大学の偏差値は、前年にB大学を志望した受験生のA予備校模試での個人偏差値と、実際の受験結果を合わせて算定されています。
疑問2:テストを実施する塾や予備校によって、高校や大学の偏差値が違うのはなぜ?
前述のとおり、高校や大学の偏差値は模試を実施する塾や予備校が持っているデータで決まります。
テストを実施する塾や予備校によって、高校や大学の偏差値が異なるのは、受験する生徒の学力レベルに違いがあるからです。
偏差値は、他の受験生と比較してどの位置にいるかを示す数値なので、母集団(受験者数や受験者のレベルなど)が変われば偏差値も変わります。
例えば、難関私学を目指すための塾が独自におこなう模試と、一般的な学習塾がおこなう模試とでは、受験する生徒の間に学力レベルの差があるため、同じ偏差値50でも意味合いが変わります。
このことを理解すると、主催者の異なる模試の偏差値を比較しても、参考にならないことがわかるのではないでしょうか。
大切なのは、A予備校の模試はA予備校が算定している偏差値と比較すること。
A予備校の模試の結果をB予備校が算定している偏差値と比較しても、参考にはなりません。
疑問3:高校受験と大学受験の偏差値は違う?
母集団の学力レベルが高いほど平均点が高くなるため、偏差値は低く出やすいです。
このことを念頭に置き、高校受験と大学受験の母集団を比較してみましょう。
まず、高校進学率は98.8%(令和元年度)、大学進学率は56.6%(令和4年度)です。
中学校卒業者のほとんどが高校に進学するのに対し、大学に進学するのは高校卒業者の半数強です。
勉強が好き、得意、成績が良い生徒は大学に進学するケースが多いでしょう。
勉強が苦手、早く働きたい、専門的な知識を身につけたいという生徒は、就職したり、専門学校などに進学するでしょう。
結果的に、学力レベルの高い進学校ほど大学進学率が高くなるため、大学受験全体の偏差値は低くなりやすいです。
高校受験と大学受験の偏差値は比較できるものではありません。
参考:文部科学省|令和4年度学校基本調査(確定値)について公表します
疑問4:親の学生時代の偏差値と比べると、子どもの偏差値が低い気がして心配
親は自分が受験生だった頃のおぼろげな記憶やイメージで偏差値を捉えがちです。
しかし、「偏差値60は少し成績が良い程度かな」などという感覚は必ずしも正しくありません。
親が受験生だった頃から20~30年が経過しており、受験生を取り巻く環境は大きく変化しています。
たとえば、私が中学生だった30年ほど前、福岡県ではほぼすべての中3生が学校で受験する模試(フクト公開模試)がありました。
志望校を決めるときは、この模試の偏差値をもとに先生と三者面談をして決めたものです。
現在も同じ模試はありますが、以前のような規模でおこなわれておらず、学校で受験する模試では偏差値も出ません。
偏差値を確認したい場合は、自分が通う塾の模試を受ける方法が一般的です。
「母集団が異なるものは比較できない」という偏差値の鉄則は、親世代、子世代の違いにも当てはまります。
受験環境自体が大きく変わっており、親世代と子世代の偏差値の感覚は別のものだと考えたほうが良いです。
疑問5:点数よりも偏差値が重要って本当?
問題の難度に関わらず判断できるのは偏差値です。
ただし、テストの理解度を見るためには点数も大事。
極端な例でいうと、全員が100点をとったテストでは全員が偏差値50です。
あまり難しくないテストだといえますが、それでも一つのミスもなく100点をとれたことは評価に値するのではないでしょうか。
学校で受ける定期テストなどは偏差値が出ないことも多く、授業で習った内容をどの程度理解しているかを測るには得点も重要です。
疑問6:偏差値を「1」あげるのは大変?
偏差値50の人は全体の上位50%、偏差値51の人は全体の上位約46%です。
偏差値39の人は全体の下位約14%、偏差値40の人は全体の下位約16%。
偏差値69の人は全体の上位約3%、偏差値70の人は全体の上位約2%です。
これを1万人が受験したテストの結果に換算すると、偏差値を「1」あげるための目安は
偏差値50の方は5000位、偏差値51の方は約4600位で差は400人。
偏差値39の方は8600位、偏差値40の方は8400位で差は200人。
偏差値69の方は約300位、偏差値70の方は約200位で差は100人
です。
数字だけを見ると、偏差値39から偏差値40にあげるためには、自分のすぐ上にいる200人を抜かなければなりませんが、偏差値69から70にあげるためには100人で良いということになります。
しかし、偏差値が70に届こうかという方はすでにかなりの勉強量をこなしていると推測できるため、点数を伸ばすのは至難の業です。
対して、偏差値40前後の方は、勉強量に伸びしろがある状態。
勉強量を増やし、覚えていないことや、理解していない問題をクリアしていけば、急激に偏差値が上がる可能性があります。
疑問7:偏差値が高い高校に行ったほうが偏差値の高い大学に進学できる?
偏差値が高い高校に行ったほうが偏差値が高い大学に進学できるとは限りません。
高校受験と大学受験の偏差値は比較できないので「偏差値60の高校に入ったから、偏差値60の大学に行ける」とはならないのです。
加えて、高校受験の偏差値は高校に入学した時点の学力を表しています。
高校時代の3年間の頑張りによって、成績が伸びる人も下がる人もいるので、高校受験の偏差値が大学受験の偏差値と直結すると考えなくて良いでしょう。
一般的に、偏差値が高い高校の方が偏差値の高い大学に進学する傾向はありますが、高校入学時の偏差値だけで、志望大学を諦める必要はありません。
疑問8:大学受験の模試の結果、偏差値と順位と判定は何を見ればよい?
大学受験の模試では受験者の偏差値、同じ学校・学科を志望する生徒内での順位、志望校の合格可能性判定がおこなわれます。
合格可能性判定は、偏差値や順位だけでなく、さまざまな要素を加味しておこなわれているようです。
例えば、河合塾の全統模試では、毎年の大学入試結果調査と、各模試から得た受験生の志望動向を検証してボーダーラインを設定しています。
これに、独自に算出した受験生の評価偏差値を照らし合わせ、合格可能性評価を出しています。
河合塾の模試では、A判定は80%以上、B判定は65%、C判定は50%、D判定は35%、E判定は20%以下の合格可能性を表します。
合格の可能性を知りたいなら判定を見ると良いでしょう。
偏差値は、異なる教科を比較するのに役立ちます。
どの教科が自分の強みで弱みなのかを知り、受験勉強の参考にできます。
順位は、「あと何人抜けば合格圏内に入れる」という目安になりますが、出願締め切りまでの間に志望校を変える人も多いので、合格の目安としては判定を見るほうが良さそうです。
偏差値の正しい見方を知ることが大切
偏差値は、ある集団の中で自分がどの位置にいるかを表す数値で、平均点や点数のばらつきに関係なく、自分の学力レベルを確認するのに役立ちます。
一方で、偏差値は母集団の数やレベルで変わるため、偏差値を比較するときは、同じ模試の結果同士、あるいは模試を実施している塾や予備校が算定している高校、大学の偏差値と照らし合わせるのが正しい見方です。
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