全国で進められている小学校のタブレットやノートパソコンなどの端末配布について、今後の授業や学習がどう変わるのだろうかと気にされている方は多くおられることでしょう。
そこで、この記事では、2021秋時点での最新情報を伝えするとともに、タブレット学習によるメリットや学校や家庭でどのようにタブレットが利用されているかなどについて紹介します。
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全国で1人1台端末!

全国の公立・私立のすべての小中学校と特別支援学校に児童生徒が使用する端末を1人1台整備するという「GIGAスクール構想」が文部科学省によって打ち出されたのは2019年(令和元年)12月のことです。
この「GIGAスクール構想」は、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを整備して、多様な子供たちの資質・能力を一層確実に育成できる教育ICT(情報通信技術)環境の実現を目指すものです。
文部科学省では当初令和5年度に1人1台を達成するとしていましたが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を受け、達成時期を前倒しして令和3年度中の実現を目指しています。
令和3年7月末時点では、公立の小学校では96%、中学校では96.5%が全学年または一部の学年で端末の利用を開始しています。
参考:文部科学省-「GIGAスクール構想による1人1台端末環境の実現等について」
参考:文部科学省-「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点)(速報値)」
参考:萩生田光-文部科学大臣臨時記者会見録(令和2年4月7日)
タブレット端末のメリットや活用方法は?

タブレット端末を学習に活用することで、次のようなメリットがあります。
一つは、課題や目的に応じて、インターネットなどを利用して、記事や動画などのさまざまな情報を収集・整理・分析できるなど、効果的な調べ学習に取り組めます。
二つ目は、表現・制作の面では、推敲しながらの長文の作成や、写真や音声、動画等を用いた多様な資料・作品を制作できることです。
三つ目は、大学・海外・専門家との連携や、過疎地・離島の子供たちが多様な考えに触れる機会が得られること、入院中の子供と教室をつないだ学びができることなど、遠隔教育が可能になります。
四つ目は、児童生徒が実際のさまざまな情報を活用することで、情報モラル教育を学習できることです。
教科書を持ち運ばなくてよくなる?
文部科学省は2024年度からデジタル教科書を本格導入する方針です。当面は紙の教科書と併用しながら、デジタル教科書の導入の実証研究を進め、将来的な制度について検討するとしています。
デジタル教科書による学習が本格的になれば、教科書を持ち運ばなくてよくなりますが、当面は紙の教科書とデジタル教科書すなわちタブレット端末を一緒にランドセルやカバンに入れて持ち歩くことになります。現在でも重い荷物が、タブレット端末も加わってさらに重くなるのは避けられそうもありません。
参考:文部科学省-「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」
オンライン授業が進む
新型コロナウィルスの感染拡大で緊急事態宣言などが行われる中、小学校でもオンライン授業対応が急速に進みました。
休校の際や、感染不安で休む生徒にもオンラインを活用した授業を行い、通信環境のない家庭にはモバイルルーターを貸し出すなどの対応が進められています。
こうした中で、オンライン授業を支援するツールであるロイロノート・スクール、コミュニケーションツールのMicrosoft Teams(チームズ)、Web会議ができるZoomなどのさまざまなツールの導入も自治体や学校で増えています。
調べ物学習や意見交換が活発に
生徒1人1人がネットやアプリでさまざまな情報を検索して、整理するなど調べ物学習が活発になっています。
従来の授業では、資料を教師が用意し、生徒は指示通りまとめという学習でしたが、1人1台タブレット環境では、情報を調べる、集める、分類整理する、発表する、共有する、という活動を児童が主体的に行えます。
また、1人1人がお互いの考えをリアルタイムで共有するので、生徒同士や先生と生徒の意見交換がしやすくなっています。
プログラミング教育や動画作成などにも
2020年度から本格始動したプログラミング教育や各種学習成果の発表に動画を作るなど、さまざまな活用方法が広がっています。
たとえば、岐阜県教育委員会「小学校プログラミング教育実践事例集」に寄ると、3~4年生では川をきれいにするフローチャートをつくるという取り組み、5年生ではプログラミングを用いた正多角形を描く活動が行われています。
動画作成では、国語の授業でストーリー構成、図工でアニメ用の粘土模型制作、音楽でBGM収録、総合では撮影した動画を編集し、アニメを制作するという授業をしている小学校もあるようです。
参考:岐阜県教育委員会-「小学校プログラミング教育実践事例集」
欠席連絡やお便り配布にも
従来は電話や連絡帳だった欠席連絡や各種お便り、保護者会などもタブレット利用が進んでいます。
一般的な小学校への欠席連絡の方法は連絡帳や学校指定の欠席届用紙に記入して先生に渡しますが、タブレット端末を導入した小学校では、欠席・遅刻・早退の連絡をタブレット端末から行っているところも増えています。
また、授業支援クラウドの「ロイロノート」を使って、先生からの連絡や配布物を確認するようにしている小学校もあります。
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家庭でのタブレット学習は?

光村図書出版が家庭学習でのデジタル端末の活用状況について、全国の公立小・中学校の生徒500人へのアンケート調査したところ、デジタル端末を家庭学習に使った子供は64.4%とほぼ3人に2人以上となっています。
使う頻度は「週に数回」が38.8%、「毎日」が28.3%となっています。教科は「算数・数学」73.3%、「国語」62.1%です。「英語」は小学3年生以上では50.0%です。
家庭学習で使ったデジタル端末は、「タブレット」75.5%と最も多く、「パソコン」などの2倍以上。デジタル端末を使った場面は、「通信教育」が37.9%と最も多く、次いで「学習アプリの問題を解いた」が32.0%となっています。
参考:光村図書出版-「家庭学習におけるデジタル端末の活用状況」
各種通信教材やアプリ利用
1人1台のタブレット端末が普及したことで、タブレットによる通信教材や学習アプリ、英語のオンラインレッスンなどの家庭学習を取り入れる家庭が多くなっています。
タブレットによる家庭学習教材のメリットは、勉強をさせられている感じがあまりないことで、教科書やプリント学習が苦手でもタブレットなら楽しみながらできるという子もいます。
学習アプリもゲーム感覚で楽しみながら無理なく学習できることや、実際に成績が上がるという効果の口コミも人気の理由でしょうか。
また、自宅での空き時間をうまく利用できるオンライン英会話も人気です。
教室まで出かけなくてもよく、端末でスカイプやZoomなどを使って講師とリアルな会話ができる気軽さと低価格さが魅力です。
トラブル対応も
学校から1人1台で貸与されたタブレット端末についてさまざまなトラブルが起きていることが、トレンドマイクロが2021年6月に小学生~中学生の保護者342人、小中学校の教員331人に行った調査で明らかになっています。
回答では、「アカウント情報を盗まれる・悪用される」と「ネットの長時間利用による依存、学業、健康への影響」がいずれも9.2%と最も多く、次いで、「ウイルスへの感染」7.8%、「アカウント情報を盗む・悪用する」7.1%、「架空請求の被害」6.4%、などとなっています。
このようなトラブルはネット社会では避けられない問題ともいえます。
これも子供の学習機会ととらえて、学校と相談しながら前向きに対応していくことが大事です。
参考:トレンドマイクロ-「GIGAスクールにおけるセキュリティ実態調査2021」
まとめ:過渡期だけど前向きに
現代の「情報社会」(Society4.0)の次に来る「新たな社会」(Society5.0)へ向けて文部科学省が打ち出した「GIGAスクール構想」は、小学校の児童生徒に1人1台端末を整備するというもので、2021年度中の実現に向けて進行中です。
当面、紙の教材とデジタル教材が並行して使われますが、すでに従来の授業でできなかったさまざまな取り組みが、各学校で行われています。
このようなタブレット端末には多くのメリットがあり、児童生徒一人一人の資質・能力の育成につながっています。
現在は過渡期でもあり、さまざまなトラブルもあります。
教育現場、地域、家庭によって対応が異なり、差はありますが、次の社会を担う子供たちの成長を見守っていきたいものですね。
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