【元大学教員が解説】小学生の国語力を高める!家庭学習のコツとは?

本の間で頭を抱える女の子

小学5年生の娘の授業参観に行った時のことです。

SDGsを題材にして、プレゼンテーションをする授業でした。

目標ごとに、3人程度のグループに分かれ、資料をポワーポイントにまとめ、発表という形式です。

話が上手だったり、スライドを工夫していたりと、それぞれのグループに個性がありました。

今の小学校は、私たち親世代の小学校と大きく異なります。

デジタル化は最大の違いであり、子どもたちはタブレットを片手に、インターネットで情報を検索し、パワーポイントで資料をまとめ、電子黒板にそれを映し出して発表します。

娘の小学校では、これらのスキルは国語で学習しました。

これまでの私の教員の経験からも、親世代が学習した国語と、今の子どもたちに必要とされる「国語力」との違いについて考えさせられました。

今回は、現在子どもたちに必要とされる「国語力」とは何かを明らかにして、この「国語力」を身に付けるために家庭学習でできるポイントを解説します。

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求められる「国語力」とは

文部科学省答申『これからの時代に求められる国語力について』(以下、「文科省答申」と呼びます)*を読むと、国際化、少子高齢化、情報化等々の様々な社会の変化に対応するために、「国語力」が求められていることが分かります。

そして、先述のように私たちの実生活を見ても、今の小学生には様々なスキルが求められています。

*参考資料:文部科学省ホームページ『これからの時代に求められる国語力について』(平成16年2月3日文化審議会答申)

国語力の構造

先の文科省答申では、「これからの時代に求められる国語力の構造」を次のように説明しています。

  1.  国語力の中核
    考える力、感じる力、想像する力、表す力から成る、言語を中心とした情報を処理・操作する領域(「考える力」「感じる力」「想像する力」をまとめて「理解する力」)
    →この4つの力が具体的な言語活動として発現したものが、「聞く」「話す」「読む」「書く」
  2. 「1.の諸能力」の基盤となる国語の知識等の領域
    考える力や、表す力などを支え、その基盤となる「国語の知識」や「教養・価値観・感性等」の領域

このように、「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」の4つの力と、これらの基盤となる「国語の知識」が求められています。

国語力の必要性

では実際に、子どもたちはどのような内容を学習しているのでしょうか?

例として小学4年生の国語の教科書を見てみました。

  • 「話す・聞く」分野:メモの取り方、話し合い、調査報告など
  • 「書く」分野:手紙、新聞、詩など
  • 「読む」分野:物語、説明文、詩、短歌・俳句など
  • 「知識」分野:漢字、熟語、慣用句、原稿用紙の使い方、辞典の使い方など

「話す・聞く」分野では、はじめにお話ししたような、正確な情報を精査し、グループで話し合ってまとめ、他の人たちに分かりやすく伝えるというプレゼンテーションの技術を学校で学んでいました。

これらのスキルは、中学、高校、大学、さらに社会人になっても役立ちます。

例えば、私が大学教員の時、新入生に最初に行う講義のひとつに、必要な情報を集めてまとめ、レポートにして、報告会をする方法を教える授業がありました。

小学生のうちにこのようなスキルが身に付いていれば、コミュニケーション能力も高まりますし、さらに先の学習に進むことができます。

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国語の知識の大切さ

国語、漢字の勉強をする小学生

「国語の知識」とは、語彙や文法、表現等を指しています。

小学校の国語といえば漢字の学習が代表的ですが、その他にも身に付けて欲しい知識がたくさん出てきます。

小学校の作文や読書感想文から始まり、中学〜大学入試までの受験作文・小論文、さらに大学のレポートや卒業論文まで、「書く」ことの基礎は小学校の国語から始まっています。

小学校の国語の知識は、算数の四則計算と同様、最重要スキルです。

小学6年生までの漢字は必須

小学6年生までの漢字は中学受験には必須ですし、大人になっても必要ですよね。

例えば、都道府県を全て漢字で書けるでしょうか?

都道府県の漢字は、小学4年生で全て学習します。

また、これまでたくさんの作文・小論文を読みましたが、その学年が学習する漢字を使用していないものは減点対象になる場合がありますので、要注意です。

「行う」や「委ねる」といった、小学生で学習する、間違えやすい送り仮名にも注意したいですね。

国文法は常識?

普段の生活の中で、自然と身に付いているはずの国文法。

ところが、作文を書くと、案外不確かな知識であることが分かります。

中学生の作文でも、主語と述語が一致していないといったことはよく起こります。

基礎知識は小学校でも学習しているので、もし読んだことがなければ、子どもの教科書を1度読んでみてください。

指示語や接続語の問題なども、子どもと一緒に解いてみると案外難しいですよ。

これらの知識は論理構築力につながり、筋道の通った文章を組み立てるために必要です。

語彙力はあればあるほど良い

例えば、作文の添削をしていると、「楽しかった」「うれしかった」とよく書いてあります。

小学校低学年〜中学年くらいまでは良いのですが、小学校高学年以上になると表現力の差がはっきりと開いていきます。

これには語彙の量が関係していると考えられます。

例えば「心がはずむ」という慣用句をひとつ覚えていると、いろいろな場面で使えそうですよね。

語彙力は表現力や文章力と直結しているので、鍛えて損はありません。

家庭で国語力を育てるポイント

自宅で勉強をする女の子

読書で国語力の底上げを

娘は大の本好きで、友だちにも読書好きが多く、小学生に人気の本を教え合っています。

中でも、あさばみゆき・作/市井あさ・絵『いみちぇん』(角川つばさ文庫:株式会社KADOKAWA)シリーズは、今回の記事のテーマである「国語力」という視点から見ても、とても面白い本です。

『面白難解漢字辞典』が愛読書のモモちゃんが「ミコトバヅカイ」となって活躍するお話なのですが、漢字の使い方がとにかく面白い!

漢字にふりがなもふってあるので、つっかえることなく自然に物語を読み進めることができます。

さらに、あさばみゆき・文/市井あさ・絵『いみちぇん式小学校で習う漢字1026文字攻略ドリル』(株式会社KADOKAWA)も出ており、『いみちぇん』の話を読みながら漢字を学習できます。

このように、子どもが読みたい本であれば進んで読みますし、読めば物語を把握する力もつき、漢字や語彙も頭に入っていきますので、読書は国語力を底上げします。

ただ、読書が苦手だったり、読解力が不安だったりする方もいらっしゃると思います。

短文を読み解く、西隈俊哉『2分で読解力ドリル』(株式会社Gakken)などの読解力を鍛えるドリルを活用するのも良いでしょう。

語彙力を育てて表現力を鍛える

日常会話や読書、新聞などを通して言葉をインプットすることによって、自然に語彙が増えることが理想です。

しかし、娘と会話していて、「あれ?この言葉も知らないのか……」と思うこともしばしば。

そこで、わが家では、一緒にニュースやクイズ番組を見ながら、知らない言葉を解説したり、辞書やインターネットで調べたりしています。

加えて、ドリルなども併用して、やや積極的に語彙力を鍛えるようにしています。

例えば、深谷圭助『小学校6年生までに必要な語彙力が1冊でしっかり身につく本』(かんき出版)など、語彙力を高めるためのドリルが出ています。

プレゼンテーションする力を養う

はじめにお話ししたように、今の小学生はプレゼンテーションする機会が増えています。

基本的には学校で経験を積んでいきますが、家庭でも補足することはできます。

まず、人前に出て自分を表現することに慣れることです。

これは、ピアノなどの習い事で発表会を経験していると慣れていきます。

次に、話し方を教えることです。

相手に伝わる声や視線、姿勢などは、教わらないと分かりません。

教科書や絵本の音読から始めても良いですし、宿題で書いた作文を家族の前で読んでもらうのも効果的です。

第三に、高学年からは、短い時間で自分の伝えたいことを端的に話す練習をしておきましょう。

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国語力は小学生から少しずつ無理なく育てたい

親子で勉強

「国語力」は意味を理解したり、相手に伝えたりする力なので、コミュニケーションに必要な力ですし、全ての教科の土台になります。

受験になれば文章題や作文などにあたることが必要になり、学年が上がれば益々その比重は増していきます。

受験になってたくさん詰め込むよりも、小学生の時から少しずつ無理なく力を付けていきましょう。

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ママライタープロフィール

nob

小学5年生の娘を持つママライター(記事執筆時)。
塾講師など教育経験が長い、元大学教員の博士ママ。現在はフリーで活動中。
厳選した蔵書は300冊以上の絵本マニア。


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