「ママ、柏餅の葉っぱ、食べてもいいの?」
子どもにそう聞かれたら、どのように答えたらいいのか、困ってしまいませんか?
同じように葉で巻かれたお餅で、葉ごと食べるものもあるので「食べても大丈夫かも」と思う方もいるでしょう。
この記事では、柏餅の葉は食べても良いのかどうか、そして葉の役割やどのような葉が使われているのかなどをお伝えします。
子どもに柏餅のことを聞かれたことがある方や、端午の節句に向けて柏餅のことが気になった方は、ぜひ読んでみてください。
柏餅の葉っぱは食べる?食べない?
柏餅を包んでいる葉は、桜餅を包んでいるものと比べると厚みがありますよね。
筋も硬いため、食べても食感が良くないと感じる方も多いでしょう。
また、苦味のある独特の風味がお餅の味わいを邪魔してしまいますし、好き嫌いが分かれるところです。
柏餅を作っているメーカーも、葉を食用にすることは考えてはいないようです。
また、柏餅を包んでいる葉は輸入している場合も多く、保存料や残留農薬なども気になります。
結論としては、柏餅の葉は積極的に食べるものではないようです。
柏餅の葉っぱの役割とは?
食べるためではない、とすると何のために柏餅には葉が巻かれているのでしょうか。
次に、葉の役割をご説明します。
殺菌
植物は、おしなべてフィトンチッドと呼ばれる殺菌成分を持っています。
森のなかに入ると、空気が澄んでいるように感じるのは気のせいではありません。
木々が発しているフィトンチッドのおかげで、空気が清浄なのです。
植物によってフィトンチッドの種類は異なり、柏の葉が持つフィトンチッドは「オイゲノール」という種類です。
オイゲノールは抗菌作用を持つ成分で、くるんだお餅が傷むのを防ぐ働きをします。
これは昔からの知恵で、おにぎりを竹の皮に包んだり、お寿司屋さんで寿司ネタを並べておくときに笹の葉やシソの葉を用いたりするのと同じですね。
乾燥を防ぐ
お餅を裸の状態で放っておくと、あっという間に乾燥して硬くなってしまいますよね。
柏餅を葉でくるむのは、せっかくのお餅が硬くならないように、乾燥からお餅を守り、保湿する役割もあります。
香りづけ
葉でお餅を包んでから蒸しあげることで、葉の香りがお餅に移ります。
その香りを楽しむことも、葉を用いる目的の一つです。
一度お餅に移った香りは、葉を外して食べるときにも残っており、風味を感じられます。
梱包材として
柏の葉は、人間が農耕をして自分たちの食べるものを作るようになった頃から、食事の際のお皿として使われていました。
便利な食品用ラップフィルムがない時代に、食べものを包んで食べるのにも活用されていたようです。
実際に、お餅をそのまま持てば手がベトベトになってしまうところ、葉でくるんでいるおかげでキレイに食べられますよね。
柏餅に使われる葉っぱの種類
柏餅に使われる葉は、「柏の葉」とは限らないようです。
主に、2種類の葉が使われていますが、それ以外にもコナラ、朴の木、みょうが、ナラガシワが使われる地域もあります。
続いては、柏餅に使われる2種類の葉について解説します。
槲(かしわ)
おなじみの方も多い、この写真の葉はブナ科の槲(カシワ)の葉です。
主に関東以北で使われています。
普段は「柏餅」と「柏」の字を使いますが、正しくは「槲」と書くのが正解です。
「柏」と書くのは、実はコノデガシワ(児手柏)のことで、中国北部~西部を原産地とするヒノキ科の植物です。
このようにコノデガシワの葉は細長い形で、子どもの手のような形であることからその名がついたとされています。
とてもお餅を包めるような大きさではありませんね。
サルトリイバラ
もともと、柏餅を包んでいたのはサルトリイバラの葉だったようです。
しかし、江戸時代に江戸で柏餅が流行したときに葉を大量に入手できなかったため、槲(カシワ)の葉を使うようになったといわれています。
柏餅をくるむ葉に槲(カシワ)の葉が使われるようになったあとも、関西以西では手にいれやすいサルトリイバラの葉を使っていたようです。
サルトリイバラは、「猿捕茨」と書くように、その弦(つる)と茨(いばら)で猿をも捕らえてしまうという名前の由来を持ちます。
葉は丸みを帯びていてツヤがあり、直径3~12cmほどの大きさです。
若い葉はゆでて食用にすることもあるようですが、成葉となると硬くて食べるのには向きません。
柏餅の葉っぱ「裏」と「表」の違いは何?
柏餅の葉には、裏表があることに気付いていましたか?
葉の表側はサラサラとしていて、ツヤがあります。
反対に、裏側はザラザラしていて、ツヤがありません。
この違いを、実はお餅の種類を見分けるのに利用しています。
柏餅には一般的に、小豆餡のものと味噌餡のものがありますが、外から見てもその違いを見分けることはできません。
そのため、葉の裏面を外側にして巻いてあるのが小豆餡、表面を外側にしているのが味噌餡として区別しているのです。
ただし、お店によって違う場合もあるため、買うときには店頭で確かめてみてくださいね。
柏餅の葉っぱに緑と茶色があるのはなぜ?
店頭で柏餅を買おうとしたときに、お餅をくるむ葉が緑色のものと茶色のものがあるのを見かけたことがありませんか?
葉の色が2種類あるのには、実は歴史的な理由があります。
続いて、その理由を解説します。
緑の葉
江戸時代、端午の節句を祝う旧暦の5月5日の頃は、ちょうど槲(カシワ)の新しい葉が出る季節でした。
そのため、柏餅を作るときには、新しく瑞々しい緑色の葉を採って使っていたのです。
今は、保存技術が発達して、葉を採ってから時間が経っても美しい緑色のまま残せるようになっています。
その技術を活かして、昔のように緑色の葉を用いて柏餅を作っている和菓子屋もあります。
茶色の葉
柏餅に茶色の葉が用いられるようになったのは、明治以降のことです。
明治維新で暦の制度が太陰暦から太陽暦に変わると、端午の節句が1ヵ月ほど早まりました。
新暦の5月5日には、まだ新しい槲(カシワ)の葉が出ていないため、前年の槲(カシワ)の葉を蒸して乾燥させたものを保存し、翌年の柏餅作りに使うようになったのです。
そのため、葉が茶色くなってしまいました。
先にお伝えしたように、今では保存技術の発達によって緑色の葉を用いることもできますが、明治時代から続いてきた「茶色い葉の柏餅」のイメージも根強いため、現在でもそのまま茶色い葉の柏餅を作り続けている和菓子屋が多いようです。
柏餅の作り方
端午の節句は「こどもの日」です。
せっかくですから、いつもは忙しいママやパパも、子どもと一緒に柏餅作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
- 【材料】※12個分
- 白玉粉 72g
- 上新粉 168g
- 砂糖 18g
- 水 216g
- こしあん240g
- 柏の葉 12枚
- 【作り方】
- こしあんを、一つあたり20gを目安にして丸めておく。
- 柏の葉をさっと水洗いして、水気を拭きとっておく。
- 白玉粉を水に溶かす。上新粉、砂糖も続けて加えて、溶かす。
- 3を電子レンジで1分加熱する。しっかりと混ぜ、再度2分加熱。最後にもう一度こねて、4分加熱したら、分量外の水にさらす。レンジで加熱する際は、ラップをかける。
- 粗熱が取れたら、水気を切ってふきんなどでくるんでまとめる。
- 生地を12等分し、一つずつ楕円形に伸ばして丸めておいたこしあんをくるむ。お餅が完全に冷めたら葉を巻きつけて、完成。
まとめ
柏餅をくるんでいる葉っぱは食用ではないため、食べないのが通例のようです。
しかし、葉っぱにはさまざまな役割があり、殺菌作用や乾燥を防ぐ効果、さらに香りづけやラップ代わりとしてとても役に立っています。
また、葉の表と裏の違いや、緑の葉と茶色の葉の違いを利用して、なかに包まれている餡の違いを表している和菓子屋さんもあり、葉っぱがさまざまに活用されています。
子どもと柏餅を食べるときに葉っぱについてのあれこれを話しながら食べれば、食育としても良さそうですね。
賃貸スタイルの「住まいの紹介サービス」では、LINEやチャットでお部屋探しのご相談を24時間受け付けております。
ご家族でのお引越しの際、ぜひお気軽にご活用くださいね。
\ 子どもの成長に合わせてお部屋を探したい /