学力の基礎にも!AI時代に求められる“読解力”を家庭でつける・伸ばす方法って?

本を読む女の子

今、読解力が注目されています。

国語で良い点数をとるためだけではありません。

算数(数学)や理科を含め、あらゆる科目の学習の基礎として、また、AI時代のビジネススキルとしても必須とされているのです。

この記事では、読解力とはどのようなものなのか、また、子どもの読解力を伸ばすためのポイントを紹介します。

ママライタープロフィール

emi

福岡市在住、中学1年生の子どものママ(※原稿執筆時)。
テレビドラマやBTS、日本史のオタク気味な雑食ライター。
書くこと、聞くこと、しゃべることが大好きで、子育て中のママたちをはじめ、多様な人々のインタビュー記事を作る活動もしています。
みなさん、Speak Yourself しましょう!

読解力の重要性とは?

テストを解く手元

読解力とはどのようなものでしょうか?なぜ必要なのでしょうか?

読解力の基礎的な事項と重要性を解説します。

読解力ってどんな力?

読解力とは、文章を読んで内容を正しく理解する力です。

この記事では、文章に添えられている図表やグラフなどの資料も含め、言語化された情報を正確に読み取る力を”読解力”と定義します。

学習からビジネスまで、現代人にとって必要な力とされています。

なぜ必要?読解力

スマートフォンが普及し、人が行っていた仕事はAIに置き換えられていく……そんな時代に、なぜ読解力が必要なのでしょうか?

それは、人間にしかできない、より高度で複雑な業務を行う力が求められるからです。

2018年に著した『AI vs 教科書が読めない子どもたち』でビジネス書大賞など多くの賞を受賞した新井紀子さん(国立情報学研究所教授)は、「読解力のある社員を雇用することが、企業にとって最大のリスクヘッジになる」といいます。

変化の速い時代には、自己解決力や柔軟な対応力が必要とされます。

そのベースとなるのが読解力です。

メールやチャットでのやりとりをスムーズに行えるのはもちろん、マニュアルや仕様書、契約書を正しく読み書きできる力は、基礎的なビジネススキルとして汎用性が高いのです。

参考:「読解力」のない人材は企業リスク――ウィズコロナ+アフターコロナの時代に生き残るために | Think Blog Japan (ibm.com)

社会で求められる能力を見越して、入試問題も変化しています。

筆者が学生だったのは20年ほど前ですが、現在の入試問題を見ると、どの教科も問題文が長くなり、情報量が増えていることに驚きます。

参考:令和4年度福岡県立高等学校入学者選抜学力検査問題の公開及び閲覧について | 福岡県

小学校の全国学力テストも同様です。

図表やグラフ、何人かのディスカッションをテキスト化したものなど、初めて見る資料を正しく読み取ったうえで解答しなければならない問題がほとんど。

小学校の先生からは、「問題を読んでいたら時間が足りなくなった」とか「問題を読むだけで疲れる」と言う子が多いと聞きました。

また、自己学習・自己採点の力も読解力と密接に結びついています。

  • (記述式の問題など)自分の解答と模範解答を見比べて、合っているかどうかを自分で判定できる
  • 間違っていた場合、解説を読んで理解・納得できる

読解力が乏しいと、このような作業が滞ってしまい、自己学習がスムーズに進みにくいのです。

読解力アップのために必要な力とは?

本と閃きのイメージ

読解力を伸ばすためにはどんな力が必要なのでしょうか?

読解力に含まれる要素を解説します。

語彙力

語彙力とは、言葉の意味を理解し、適切に使いこなせる力です。

初めて見る言葉や、意味があやふやな言葉が多い文章は、正しく読み取るのが難しいのはもちろん、読み進めていくこと自体が難しいですよね。

さまざまな種類の文章をすんなり読むためには、豊かな言葉のバリエーションをもっている必要があります。

文法力

以下は、中学1年生の理科の問題集をもとに書いた文章です。二つの文の意味は同じでしょうか?

  • 物質の沸点や融点は、物質の質量に関係なく、物質の種類によって決まっている。
  • 物質の沸点や融点を決めるのは、物質の種類ではなく、物質の質量である。

二つの文の意味は異なります。

物質の状態変化を正しく書き表しているのは、二つのうち上の文章です。

けれど、”沸点”、”融点”、”質量”など、使われているキーワードが同じなので、さらっと読むだけでは違いがわかりにくいですね。

文章を読むには、文法を正しく把握する力が必要です。

そのためには、主語と述語、修飾語などの対応関係を見誤らず、助詞や接続詞、指示代名詞などもスキップせずに読まなければなりません。

家族や友だちとスマートフォンなどで短文をやりとりするだけでは、なかなか身につかない力です。

論理的思考力

「読書が好きで、小説やエッセイはよく読んでいる。語彙力や文法力にも問題はないはず。けれど、数学や物理・化学の教科書に書いてあることは頭に入ってこない‥‥」

そのような人はいませんか?筆者もまさにこのタイプでした。

  • 2で割り切れる数を偶数とするとき、0は偶数か?

例えば、上の文は短く、難解な言葉も含まれていませんが、どこか難しく感じる人も少なくないのではないでしょうか。

それは、この文章に論理や定義が含まれているからです。

文章を読むときに必要な論理的思考力や判断力には、例えば以下のようなものがあります。

  • 「AはBである」、「BはCである」という文章から、「したがって、AはCである」と推論できる(三段論法)
  • 物事や現象を抽象的に定義する文章を読んで、具体的な事例がその定義にあてはまるかどうかを判断できる

定義や論理は、学習に関する文章だけでなく、法律や約款、マニュアルなど、大人になってから触れる文書にも多く含まれています。

子どものころから少しずつ、慣れておきたいですね。


住まいの紹介サービスチャットページ

子どもの読解力を伸ばすためにできること

ソファに座って絵本を読む親子

子どもの読解力を伸ばすためには、何をしたらいいのでしょうか?

家庭でもサポートできることがいろいろあります。

読み聞かせ

読み聞かせは、子どもが自分で本を読めるようになるためのステップになります。

小さい子にとって、文字が読めても、文章をすらすらと読んで理解するのは難しいこと。

大人が絵本を読み聞かせることで、絵と文章の両方を同時に取り込み、その絵本の世界観を頭のなかでいきいきと立ち上げることができます。

そうした経験の積み重ねで、やがて一人で本を読めることにつながっていくのです。

また、我が家では、小学校入学後も時々読み聞かせを続けていました。

夏休みなど長期休暇には、少し長い物語を毎日数ページずつ読みます。

連続ドラマを”耳で聴く”イメージです。案外楽しめますよ。

また、気になった新聞記事や本の一節を子どもに聞こえるように読み上げることもあります。

筆者の子は現在中学生で、その場では特に反応しないことも多いですが、文語的な語彙や社会の出来事を耳にすることで、自分で読む力にもつながっていくと期待しています。

たくさんの会話に触れる

家庭内を始め、子どもが日常的に豊かな会話に触れられる環境が大切です。

子どもは生活環境から語彙を獲得します。

学校教育や同年代の子ども同士の会話で得られる語彙には限りがあり、家庭など学校以外の環境が、子どもの語彙量に大きな影響を及ぼすそうです。

少し年上の子や大人同士の会話には、子どもが知らない語彙がたくさん出てきます。

子どもはそれを聞くともなく聞きながら、その意味や使い方を身につけていきます。

まだ発語のない0歳、1歳児であっても、保育者の言葉かけの積み重ねが、言葉の獲得・語彙力アップにつながっていくという研究結果もあります。

参考:人的環境としての保育者の語彙力と子どもの育ちの関係性についての研究~言葉のやり取りを通して見えてくるもの~ (日本保育協会)

レシピや手順書を活用

料理やお菓子作りのレシピ、工作の作り方なども、今はわかりやすく教えてくれる動画がたくさんありますね。

けれど、時にはあえて、手順書を用いた作業に取り組んでみるのはいかがでしょうか?

文章と静止画像による説明を読んで理解し、そのとおりに作り上げていくのは、読解力アップのトレーニングになります。

我が家では、子どものための料理の本からスタート。

学年が上がるにつれて、市販のパンケーキミックスやカレールウのパッケージ、そして大人向けの本など、いろいろな資料を見て料理にチャレンジするようになりました。

高学年になると、収納用のチェストやキャンプ用のテントも、説明書を読んで組み立てられるようになりましたよ。

完成後、どのような工程で作ったか、子どもに説明してもらうのも良いでしょう。

説明が不足している部分やわかりにくい部分は質問するなどして、客観的な説明に近づくよう、サポートしてあげられるといいですね。

アナログな学習方法で深いインプットを

タブレット学習や穴埋め式のワークシートでの学びは効率的ですが、単純作業になりがちだったり、丸暗記に陥りがちな面もあります。

ツールが劇的に進化しても、人間の脳や体は変わっていません。

昔ながらの勉強の仕方は、実は理にかなっていることもあるのです。

文章の音読や筆記は、機能語や代名詞、接続詞など、文章の細部まで意識できる学習方法として再注目されています。

息子の小学校でも、タブレットによる学習と並行して、アナログな学習方法も続けられていました。

板書をノートに書き写したり、先生が読み上げた内容をメモしながら聞いて要約文を書くなど、地道な積み重ねが大切とのこと。

学年が上がるにつれて、書くスピードや要約の精度が上がるそうですよ。

タブレットなど便利なツールを活用すると同時に、地道な読み書きも大切にしたいですね。

おわりに

読解力が、学力の基礎になるのはもちろん、社会に出てからも重要であることがおわかりいただけたでしょうか?

一朝一夕に身につく力ではないからこそ、家庭でも長い目でサポートしたいですね。

最後に、「子どもの読解力アップの前に、まず自分がきちんと文章を読めているのだろうか?」と気になった筆者は、国立情報学研究所を中心とした研究チームが開発した”リーディングスキルテスト”の例題を解いてみました。

基礎的読解力を測定するためのテストです。

ご自身や、中高生の子の読解力の参考になるかもしれません。

参考:リーディングスキルテスト 設問の特徴と例題 (教育のための科学研究所)


住まいの紹介サービスチャットページ