【体験談】知って備えよう!子どもの熱性けいれんとクループ症候群

体温計と発熱する子どもの写真

熱によるけいれんやウイルス感染によるクループ症候群は、子どもが新型コロナウイルス感染症にかかったときにも起きることがあります。

いつもと違う子どもの様子を目にすると、親は気が動転してしまうもの。

しかし、あらかじめ知識を持っておくだけで、突然症状が起きたときにも落ち着いて対処できるはずです。

この記事では、実際にわが子が熱性けいれんとクループ症候群になったときの体験談を紹介します。

「こんなケースがあるんだな」と参考にしてもらえるとうれしいです。

熱やウイルス感染が引き起こす合併症

ウイルス感染時や発熱時に、子どもは「熱性けいれん」や「クループ症候群」を起こすことがあります。

新型コロナウイルス感染症にかかった子どもがこれらの合併症を引き起こすケースも増えているといわれています。

熱性けいれんとは

子どもの脳は熱に敏感で、風邪などの熱でもけいれん発作を起こすことがあります。

一般に生後6ヵ月から5歳までに、発熱時(通常は38度以上)に起きるけいれん発作を熱性けいれんと呼びます。

日本では5%以上の子どもが熱性けいれんを起こし、欧米よりも頻度が高いと言われます。

熱性けいれんは熱の上がり際に多く、突然意識がなくなり、白目を向いて、身体をそらせるように硬くしたり、手足をガクガク震わせ、顔色が悪くなります。

ただし、体の力が抜けて、ボーッとして意識がなくなるだけの場合もあります。

引用:日本小児神経学会

クループ症候群とは

のどの奥(声をだすための声帯があるあたり)が感染により腫れてしまうことで、声がかすれたり、息を吸うときにヒューヒューする音がでたり、犬の鳴き声のようなケンケンするかん高い咳がでたりする病気です。

生後6ヵ月から3歳くらいまでのお子さんに多い病気です。

いろいろな呼吸器ウイルスの感染が原因となりますが、新型コロナウイルスでも起こりうることが報告されています。

ひどくなると息苦しくなってしまい、空気の通り道を広げるための吸入や、炎症をおさえるステロイドを投与するなどの治療が必要となります。

クループ症候群を疑う症状がでた場合は、はやめに病院を受診しましょう。

引用:国立研究開発法人国立成育医療研究センター

【体験談】わが子が熱性けいれんに

体温計の写真

もう10年ほど前のことになりますが、わが子(男の子)は複数回、熱性けいれんを起こしています。

そのうち、最初の3回は、熱性けいれんに対する保護者の知識がまったく異なる状況下で起きました。

初めてと2度目の熱性けいれん

初めて熱性けいれんを起こしたのは1歳頃のことです。

その日は高熱が出たため病院に連れていき、診察を受けて帰宅後、息子を布団に寝せていました。

突然「ぎゃーっ」という大きな叫び声がし、息子を見ると白目をむいてけいれんを起こしていました。

そのとき自宅にいた大人は私1人。

熱性けいれんの知識はまったくなく、息子に何が起きたのか、私は何をすれば良いのか、何もかもがわからず、頭の中が真っ白でした。

息子から目を離すのも怖いけれど、病院に電話をするために診察券を取り出したい。

結局、息子から離れられず、ただひたすら恐怖の時間を過ごしました。

後から考えると、2~3分のことだったと思います。

けいれんが治まったあと、頭に浮かんだのは、映画「エクソシスト」で白目をむいた少女がブリッジをして高速で降りてくるシーン。

それ以来、私の中の熱性けいれんのイメージはそのシーンになってしまいました。

もちろん、それより何倍も怖かったのですが、けいれんの動きがそのシーンを想起させたのだと思います。

そのあと、息子は寝てしまいましたが、病院に電話して再受診し、医師から熱性けいれんの説明を受けました。

2度目は、その翌日。

一度、熱性けいれんを目撃していたこともあり、「これは熱性けいれんだな」と落ち着いて見ることができました。

医師から熱性けいれんの注意ポイントを聞いていたので、けいれんの持続時間や、けいれんが左右対称かどうかを確認する余裕もありました。

「またけいれんが起きたら電話して」と言われていたので、症状が治まってから病院に電話。

重篤な症状ではなく熱性けいれんで間違いないと診断され、事なきを得ました。

3度目の熱性けいれん

3度目の熱性けいれんは、3歳頃のことで、帰省先で起きました。

もともと帰省先でよく熱を出していた息子ですが、そのときも熱を出して病院を受診。

インフルエンザの流行期で、待ち時間が長かったため疲れて帰宅し、息子を布団に寝せたところで義母から「ご飯を食べに行っておいで」と声をかけられました。

近所のうどん店に入り、運ばれてきたうどんを前にほっと息をついた瞬間に電話が。

「息子くんの意識がない!」

慌てて何を話しているかよくわからない状態の義母からでした。

とっさに「熱性けいれんだ」と思った私は、すぐに店を出て息子のもとに戻ったのですが……熱性けいれんを初めて見た義母は「寒いから震えているんだ」と思ったようで、息子を毛布でぐるぐる巻きにしていました。

「熱性けいれんを起こしたときは、衣服を緩めなければならない」「吐くかもしれないから横を向かせて寝せて」と医師から聞いていたので、すぐに息子から毛布をはがし、衣服を緩め、横向きにして救急車を呼びました。

義母からは大きな声がして慌てて見に行ったら様子がおかしかったことは聞けましたが、あとは動揺していてよくわからず(これは初めて熱性けいれんを見た人なら当然の状態です)。

このとき救急車を呼んだ理由は、1度目、2度目はかかりつけ医とすぐに連絡が取れましたが、3度目は帰省先でかかりつけ医がなく、熱性けいれんを起こした状態(時間など)がわからないほか、息子もぐったりとしていたからです。

「熱性けいれんを起こしたことがあるとわかっていたのに、そばを離れなければよかった」と悔やみましたが、帰省と生まれたばかりの下の子の世話、さらに上の子の発熱で疲れていて、ようやく落ち着いて食事ができることにほっとしたんだと思います。

しかし、本当に怖かったのは救急車が病院に到着してからでした。

救急隊員から医師に引き渡された息子、ぼーっとしていて私のことがわかっていなかったのです。

「おいで」

と私が手を伸ばすと怖がって号泣し、医師にしがみつく有様。

「このまま私のことがわからなかったらどうしよう」と、とても動揺しました。

医師からは、大変な事態ではないけれど、脱水が起きていると告げられ、点滴を打って様子を見ることに。

ベッドに移動して点滴を打っている間、本を読み聞かせようとしても「知らない人が話しかけてくる」といった様子で号泣するほどだったので、息子が目を覚ましたあとに私のことが理解できたときは、心の底からほっとしました。

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熱によるけいれんに慌てないための心構え

白目をむく、泡を吹くなど、子どものけいれんは、親にとってこの世のものとは思えないほど恐ろしいものなので、冷静になれなくて当然。

だからこそ、心構えをしておくことが大切です。

熱によるけいれんを知る

子どもが熱を出したら「熱によるけいれんが起きる可能性がある」と思っておくだけでも落ち着いて対処できます。

けいれんのすべてが良性の熱性けいれんとは限らず、緊急性を要するものがあることも知っておきましょう。

素人が見極めるのは難しいので、けいれんが起きたときは救急車を呼ぶなど、受診する必要があります。

また、一度熱性けいれんを起こしたことがある人に対し「熱性けいれん診療ガイドライン2015」の「総論4 熱性けいれんの再発頻度と再発予測因子」では、熱性けいれんの再発予測因子を次のように示しています。

①両親いずれかの熱性けいれん家族歴
②1歳未満の発症
③短時間の発熱-発作間隔(おおむね1時間以内)
④発作時体温が39度以下

引用:「熱性けいれん診療ガイドライン2015(監修 一般社団法人日本小児神経学会)」

息子の場合、①に当てはまっています。
「熱性けいれん診療ガイドライン2015」には、すべての熱性けいれんの再発率は約30%、再発予測因子を持たない熱性けいれんの再発率は約15%、①または②の因子を持つ場合の再発率は約50%とも記載されており、親に熱性けいれんの既往があるかどうかの確認をしておくことも、心構えになるのではないかと思います。

けいれんが起きたら動画を撮る

寝ている子どもと携帯を持つ大人の写真

けいれんを起こして病院を受診すると、けいれんが起きていた時間の長さや、けいれんしたときの手足や目の動きを詳しく聞かれます。

熱性けいれんかどうかを判断するために必要な質問ですが、初めてのけいれん時、私はほとんど答えられませんでした。

特に熱性けいれんを知らない場合、けいれんが起きているわが子を冷静に観察できる親はいないでしょう。

こうした事態に対処するために、もし余裕があれば、スマートフォンで動画を撮っておくのがおすすめです。

もちろん、救急車を呼ぶなど、対処をすることが先決です。

【体験談】わが子がクループ症候群に

わが子はクループ症候群になったこともあります。

息子が3歳頃のことで、風邪をひいて熱を出していました。

咳をし始めたので「咳の風邪かな?」と思い様子を見ていたのですが、声もかすれているし、咳も苦しそう。

なんとなくいつもと違う気がして病院を受診し、クループ症候群と診断されました。

クループ症候群に慌てないための準備

クループ症候群の特徴の一つである咳は「オットセイのような咳」「犬の鳴くようなケンケンという咳」と表現されます。

私はクループ症候群の知識がまったくなく、病院で初めてこうした特徴を知ったため、発症した当初、咳を聞きわけることができませんでした。

Youtubeにクループ症候群の咳の音声がアップロードされているので参考にしてみるのも良いかもしれません。

病院から帰ったあと、息子の咳は治まりましたが、医師から「肩で息をしていて苦しそうなときは受診を」と言われたため、寝ている息子をじっと観察し続けました。

しかし、普段の様子をじっくりと見ていなかったこともあり、いつもとの違いがわからず、不安な気持ちがなかなか解消できませんでした。

今思えば、ぐっすり寝ていたので心配しなくて良かったのかもしれませんが、健康なときの寝ている姿を動画で撮っておけば、いつもとの違いがわかったのではないかなと思います。

病院では「クループ症候群では呼吸困難になることもあるため、躊躇せず救急車を呼んで良い」と言われました。

しばらく不安は続きましたが、あとになって振り返ってみると、息子の場合、症状は急激に悪くなったあと、あまり長引かずに治まったようでした。

事前にかかりつけ医に確認しておくと安心

口に手を当てる写真

かかりつけ医を受診したタイミングで、医師や看護師に熱性けいれんやクループ症候群が心配な旨を伝えて、もし起きた場合の対処法を聞いておくと良いでしょう。

子どもの様子がいつもと違うと親は冷静ではいられません。

でも事前に症状と対処法を知り、準備ができていれば、不安の多くは解消できます。

症状が起きたときは救急への電話や、子どもの衣類を緩めるなど、いくつもの動作を並行しておこなわなければならず、余裕がないものですが、動画を撮影しておくと医師に状況を正確に伝えられるのでおすすめです。

ママライタープロフィール

ayu

中学生と高校生の息子たちを子育て中のママライター。(※原稿執筆時)
息子たちの興味に合わせて、鉄道、天体観測、自学などを楽しんできましたが、思春期になったいま、息子との会話は専らスポーツ観戦です。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、種類を問わず興味のおもむくままに楽しんでいます。

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