芸術の秋、読書の秋ですね。
今回は、子どもと一緒に世界の名画を楽しく鑑賞できる絵本をご紹介します。
絵本なので子どもが読みやすいように書かれているのですが、大人にも読み応えのあるものばかりです。
絵本が好きな方はもちろん、アートが好きな方も必見です。
絵本で美術館めぐり
ひとつの絵本にさまざまな絵画を収録している、美術館のような絵本をご紹介します。
かこさとし『うつくしい絵』偕成社
『カラスのパンやさん』(偕成社)などでお馴染みの、かこさとしさんの『うつくしい絵』をはじめにご紹介します。
この本は、世界の巨匠と、その代表作を紹介した絵本です。
「“美しさを感じ取れる人になってほしい”」というかこさとしさんの思いが書かれています(カバー折り返し)。
この絵本では、ダ・ビンチの「モナ・リザ」をはじめ、ゴッホやレーピン、北斎、ピカソの代表的な絵が取り上げられており、その絵に何が書かれているのか、子どもたちに丁寧に語りかけてくれます。
彫刻が好きな方には、かこさとし『すばらしい彫刻』偕成社1989もおすすめです。
かこさとし『うつくしい絵』偕成社(1991改訂版)
作:アン・グットマン 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン 訳:ひがしかずこ『ペネロペ ルーヴルびじゅつかんにいく』岩崎書店
NHKのアニメーションでも大人気のペネロペは、3歳のコアラの女の子です。
このペネロペと一緒に、ルーヴル美術館をめぐる絵本です。
「サモトラケのニケ」や「大スフィンクス」、「ミロのヴィーナス」など、有名な絵画や彫刻などが並んでいます。
仕掛け絵本にもなっており、小さなお子さんでも楽しめる要素が満載です。
作:アン・グットマン 絵:ゲオルグ・ハレンスレーベン 訳:ひがしかずこ『ペネロペ ルーヴルびじゅつかんにいく』岩崎書店(2009)
おうちを美術館にする絵本
次に、おうちを美術館にしてくれる、有名な画家に焦点を当てた、絵本のシリーズをご紹介します。
ミッフィー『こどもと絵で話そう』(美術出版社)シリーズ
ミッフィーの『こどもと絵で話そう』シリーズでは、みんなが大好きなミッフィーと一緒に、名画を見る絵本です。
フェルメール、マティス、北斎が取り上げられています(2022年8月現在)。
小さなお子さんでも、ミッフィーと一緒なら、喜んで読んでくれるでしょう。
絵を観たミッフィーが感想を言ったり質問すると、とうさんが優しく答えてくれます。
フェルメールさんの絵を観て、ミッフィーが自分のおようふくを見せてくれる場面など、とても愛らしい絵本です。
構成:菊池敦己 文:国井美果『こどもと絵で話そう ミッフィーとマティスさん』美術出版社2013
構成:菊池敦己 文:国井美果『こどもと絵で話そう ミッフィーとフェルメールさん』美術出版社2012
構成:菊池敦己 文:国井美果『こどもと絵で話そう ミッフィーとほくさいさん』美術出版社2016
小学館あーとぶっくシリーズ
小学館あーとぶっくのシリーズは、1冊に1人の画家を取り上げ、その画家の絵の特徴をキーワードでとらえながら、子どもに丁寧に語りかけるアートの絵本シリーズです。
例えば、ゴッホは「うずまきぐるぐる」、ピカソは「あっちむいてホイッ!」、ミロは「うっかり地球へ」とあり、このタイトルだけでも「読んでみたい!」と思います。
また、絵本のなかにはワークショップ的な要素もあり、いろいろと楽しめる仕掛けになっています。
このシリーズでは、ゴッホ、モネ、ピカソ、ルノワール、ルソー、スーラ、シャガール、ゴーギャン、クレー、マティス、ローランサン、モディリアニ、ミロ、広重、北斎、若冲が取り上げられています(2022年8月現在)。
構成・文:結城昌子『小学館あーとぶっく③ ピカソの絵本 あっちむいてホイッ!』小学館(1993)
構成・文:結城昌子『小学館あーとぶっく⑬ ミロの絵本 うっかり地球へ』小学館(2006)
構成・文:結城昌子『小学館あーとぶっく① ゴッホの絵本 うずまきぐるぐる』小学館(1993)
アートを学ぶ絵本
3つめは、画家に焦点を当てた、子どもと一緒にアートを学べる絵本をご紹介します。
エリック・カール『えをかくかくかく』偕成社
『はらぺこあおむし』(偕成社)は、みなさんきっと読んだことがありますよね。
真っ青な馬が印象的な、エリック・カールさんの『えをかくかく』は、「まちがった いろ? そんなものは ない」(カバー折り返し)と書かれています。
さまざまな色彩で描かれた動物たちと「えかき」を通して、子どもたちに「えをかく」ことを伝えてくれる絵本です。
エリック・カール『えをかくかくかく』偕成社2014
作:林綾野 絵:たんふるたん『新装版 ぼくはヨハネス・フェルメール 絵本でよむ画家のおはなし』講談社
画家に焦点を当てた絵本のシリーズから、フェルメールのおはなしをご紹介します。
フェルメールがどのような時代を生き、この絵を描いていたとき、どのような気持ちで描いていたのだろう……と、別の視点から絵画を楽しむことができます。
少し大きくなったお子さん向けです。
※関連のシリーズに、モネ、ゴッホがあります(2022年8月現在)。
作:林綾野 絵:たんふるたん『新装版 ぼくはクロード・モネ 絵本でよむ画家のおはなし』講談社2015
作:林綾野 絵:たんふるたん『新装版 ぼくはフィンセント・ファン・ゴッホ 絵本でよむ画家のおはなし』講談社2017
作:林綾野 絵:たんふるたん『新装版 ぼくはヨハネス・フェルメール 絵本でよむ画家のおはなし』講談社2015
楽しむアート絵本
最後に、さまざまな楽しみ方のできるアートな絵本をご紹介します。
結城昌子『小学館あーとぶっく ひらめき美術館』小学館
先ほどご紹介した『小学館あーとぶっく』のシリーズです(第1館〜第3館。2022年8月現在)。
この本は、「モナ・リザ」を初めとする絵画から「ミロのヴィーナス」のような彫刻まで、幅広く取り扱っています。
例えば第1館では、さまざまな画家の描いた顔を鑑賞して、自分でも顔を描いてみるといったワークショップの要素も盛り込まれています。
この本を通して、読み手の子どもが自分なりにアートを感じたり、楽しむ方法を見つけることができるようになるでしょう。
結城昌子『小学館あーとぶっく ひらめき美術館 第1館』小学館1996
新井洋行・鈴木のりたけ・高畠那生・よしながこうたく『おえかきしりとり』講談社
この絵本は、大人気の絵本作家さんたちのお絵描きバトルとも言える絵本です。
絵だけでしりとりをしていくので、みんなでわいわい何の絵か当てながら読んでいくのが、とても楽しいです。
絵本作家さんたちの迫力のある絵をたくさん味わうことのできる絵本なので、楽しむアート絵本として今回はご紹介しました。
新井洋行・鈴木のりたけ・高畠那生・よしながこうたく『おえかきしりとり』講談社2014
五味太郎『らくがき絵本 五味太郎50%』ブロンズ新社
『きんぎょがにげた』(福音館書店1982)など数々の作品を生み出している五味太郎さんの『らくがき絵本』です。
絵本の絵に、直接らくがきできる絵本です。
普段は本にらくがきすると怒られてしまいますが、こちらは自分で絵を加えたり、色を塗ったりして、絵本を自分で完成させます。
この他、『らくがき絵本PART2 五味太郎25%』ブロンズ新社(1992)などもあります。
五味太郎『らくがき絵本 五味太郎50%』ブロンズ新社(1990)
大好きな絵本で、芸術の秋を楽しんで
今回ご紹介したアート絵本から、好きな画家や絵を見つけたり、絵を描いたり、芸術の秋を楽しんでくださいね。
※書影の掲載につきましては、各出版社の著作物の利用に関する規約に従っています(2022年8月)。
ママライタープロフィール
小学5年生の娘を持つママライター(記事執筆時)。
塾講師など教育経験が長い、元大学教員の博士ママ。現在はフリーで活動中。
娘の習い事はピアノとバイオリン。プログラミング教育に関心あり。
短時間で勉強を済ませるコツを研究中。