0歳の赤ちゃんとはじめる絵本ライフ~ブックスタートのメリットとは

赤ちゃんの本を読んでいる写真

絵本は0歳から楽しめるもの!

全国各地の自治体でも、赤ちゃんに絵本をプレゼントする「ブックスタート」事業がおこなわれています。

読み聞かせボランティア歴約10年、小6男子の子育て中の筆者が、赤ちゃんとのすてきな絵本タイムをおすすめします。

ご存じですか?「ブックスタート」

子どもが絵本を読む写真

「ブックスタート」をご存じですか?

自治体からすべての赤ちゃんに贈られる、絵本のプレゼントです。

福岡市に住む筆者も、我が子の4ヵ月健診の際、子育てに関するリーフレットなどと一緒に、一冊の絵本をもらいました。

全国多くの自治体でおこなわれている「ブックスタート」

ブックスタートは、0歳児健診などの機会に、「絵本」と、「絵本をひらく楽しい体験」をプレゼントする活動。

日本では多くが自治体の事業としておこなわれており、対象となるのは、その自治体に生まれたすべての赤ちゃんとその保護者です。

絵本のほかに、絵本リストや布製の絵本バッグなどを一緒に渡す自治体もあります。

また、絵本を配るだけでなく、実際に絵本を読み聞かせる場がもうけられていることもありますよ。

筆者も、子どもの4ヵ月健診で、健診項目を終えたあと、会場の一画にもうけられていた読み聞かせコーナーに寄りました。

昼間は一人で赤ちゃんのお世話をする日々を過ごしていたので、ボランティアの方が赤ちゃんに優しく微笑みかけながらかわいい絵本を読んでくれる様子に、心が癒された記憶があります。

ブックスタートの役割って?

ブックスタートはイギリス発祥。1992年、絵本を知らない男の子と出会ったウェンディ・クーリングさんが、「すべての子どもたちに絵本を楽しむ幸せなひとときを」と願って始めた活動です。

すべての子どもたちに絵本と読み聞かせの体験をプレゼントするため、地域に住む赤ちゃん全員が対象になる「健診」の機会を使い、市の事業として営まれることになりました。

日本では、2000年、子ども読書年推進会議の会合でイギリスの活動が紹介され、翌年、12市町村が新規事業としてブックスタートを開始。

2022年9月現在、全国1,741の自治体のうち、6割を超える自治体がいわゆる「ブックスタート」の事業を実施しています。

赤ちゃんのためだけでなく、保護者をサポートする役割もあります。育児を重荷に感じたり、孤立しがちな保護者と、保健師や図書館、ボランティアなどの地域社会をつなぐ、子育て支援の一環でもあるのです。

※参考:NPOブックスタートジャパン

なぜ「0歳から」絵本を読んであげるの?

読み聞かせしている姿

ところで、4ヵ月健診で絵本を受け取って、「ずいぶん早いな」と思った保護者の方も多いのではないでしょうか。

0歳の赤ちゃんは、絵や文章が何を示しているか、理解できそうにないですよね。

なぜ、ブックスタートは「0歳から」なのでしょう。

0歳の赤ちゃんに絵本を読んであげる意味とは、何なのでしょうか?

心のこもった肉声が、言葉の世界の扉をひらく

福音館書店の初代編集長松居直さんは、著書『絵本のよろこび』で、子どもの「感じる」体験の必要性を述べています。

知識を身につけるより先に、五感を活発にはたらかせること。

言葉の場合は、読み書きより先に、肉声による語りをたくさん聞くことです。

現代では、テレビやインターネットを通じた映像や言葉があふれています。

けれど、赤ちゃんにとって、それらは時に強すぎる刺激であり、また、不特定多数に向けられているため、とらえどころのないものです。

すぐそばで、自分に向かって語りかけられるからこそ、赤ちゃんは声や言葉にこめられた気持ちを主体的に感じとろうとするのです。

絵本の読み聞かせは心のふれあいの時間

また、松居さんは、絵本の読み聞かせは、保護者が子育ての楽しさを実感し、赤ちゃんと心を通わせる体験にもなるといいます。

「赤ちゃんに絵本を与える」「絵本を読んであげる」ではなく、一緒に楽しみながら、生きた言葉を伝えればOK!

絵本をひらき、赤ちゃんと同じ挿絵を見ながら言葉を語ると、赤ちゃんが豊かなリアクションを見せてくれることがあります。

それを見ると、保護者はとても幸せな気持ちになり、もっと語りかけたいと思うもの。

もちろん、保護者がうれしいと思えば、その気持ちは声や言葉、表情にこもり、赤ちゃんにも伝わります。

一冊の絵本を通じて、豊かな感情をわかち合うことができるのです。

このように、赤ちゃんと、お世話をする大人とが「ともにいる喜び」を育むことが、生きる力の原点になるそうです。

※参考:松居直『絵本のよろこび』NHK出版

ママ賃貸

赤ちゃんと楽しい絵本タイムをはじめましょう

赤ちゃんへの読み聞かせの写真

ブックスタートの活動や役割、赤ちゃんへの絵本の読み聞かせの意義をおわかりいただけたでしょうか?

お住まいの自治体でブックスタートの事業がおこなわれていない方や、1歳を過ぎた赤ちゃんもだいじょうぶですよ。

保護者や保育士さんなどといっしょに絵本を楽しみましょう。

赤ちゃんがいるご家庭に絵本をプレゼントするのもいいですね。

ここからは、赤ちゃんにぴったりの絵本や、筆者が赤ちゃんだった我が子と楽しんだ絵本を紹介します。

赤ちゃんが好きなのはどんな絵本?

まず、絵は、はっきりした色や形で、一つひとつが大きめに描かれているものがいいといわれています。

赤ちゃんは視力も認知能力も発達途上ですから、シンプルでわかりやすいものがいいですね。

次に、ことばは、心地良いリズムや、響きのおもしろさがポイントです。短くリズミカルなことばの繰り返しは、赤ちゃんをとても楽しませます。

テーマは、身近にあるものの形や食べ物などがわかりやすいのはもちろんですが、意外に、リアルではない抽象的な世界観にも、赤ちゃんはスッと入っていきますよ。

時代が変わっても、赤ちゃんの脳や感覚、発達は変わりません。

たくさんの赤ちゃんを楽しませてきたロングセラーは、絵本選びの大きなヒントになると思います。

参考:福音館書店サイト「0・1・2歳の赤ちゃんと楽しむ絵本」

わが家の「赤ちゃんとの絵本時間」

筆者が我が子に初めて絵本を読んであげたのは、満2ヵ月の頃でした。

晴れた日の午後で、赤ちゃんは空腹でも眠くもなく、ご機嫌な様子。

ふと思い立って、出産祝いに友人からもらった絵本を取り出してみました。

作・絵:三浦太郎『くっついた』 こぐま社

おさるさんやぞうさんなど、かわるがわるいろんな動物が出てきては、次のページで「くっついた」と手をつないだり、鼻をくっつけたりする、かわいい絵本です。最後には「おかあさんとわたし」が「くっついた」と頬を寄せます。

赤ちゃんのすぐ隣に自分も寝転び、赤ちゃんによく見えるようにページをひらいて、ゆっくり読んでみました。赤ちゃんの反応はどうだったかといいますと……

「最近、機嫌のいいときにはニコニコしているが、絵本を読んであげると絵にじーっと見入って、読み終わると、ニコニコどころか“キャッキャッ”と、体をジタバタさせて喜んだ」
(筆者、当時の手帳より)

その様子が本当にかわいらしく、思わず、絵本と同じように赤ちゃんの頬に自分の頬をつけて「くっついたー」と言いましたよ。

それからは、この絵本を読むたびに、最後の頬ずりまでがセットになりました。

ほかにも、我が子が0歳の頃に好きだった絵本をいくつか紹介します。

作・絵:まついのりこ『じゃあじゃあびりびり』 偕成社

ぶーぶー、わんわんなど、身近なものや動物の擬音が絵とともに楽しめます。

※参考:『じゃあじゃあびりびり』 偕成社

作・絵:五味太郎『がたんごとん』 福音館書店

「がたんごとん」とやってくる汽車が、「のせてくださーい」と待っている乗客を乗せて、また「がたんごとん」。繰り返しが楽しい絵本です。

※参考:『がたんごとん』 福音館書店

作:谷川俊太郎 絵:元永定正『もこもこもこ』 文研出版

「もこ」と地面が持ち上がって出てきたふくらみが「もこもこ」と大きくなり、今度は隣に「にょき」と小さなかたまりが。先の読めない不思議な世界が赤ちゃんをひきつけます。

※参考:『もこもこもこ』 文研出版

おわりに 赤ちゃんと絵本を楽しみましょう

今回は、0歳の赤ちゃんと保護者の方へのブックスタートを紹介しました。

全国各地の自治体も、絵本を通じた心のふれあいを支援していますね。

大切なのは、赤ちゃんと保護者が一緒に絵本を楽しむこと。

「読んであげなければ」「喜ばせなければ」とプレッシャーを感じず、赤ちゃんも自分も調子が良いときに、気軽に絵本をひらいてみてくださいね。

お気に入りの絵本とともに、すてきなブックスタートを!

ママライタープロフィール

emi

福岡市在住、小学6年生の子どものママ(※原稿執筆時)。
日本史とテレビドラマ、BTSのオタク気味な雑食ライター。
書くこと、聞くこと、しゃべることが大好きで、子育て中のママたちをはじめ、多様な人々のインタビュー記事を作る活動もしています。
Speak yourself!

ママ賃貸フリーダイヤル