厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、母子家庭の母親の81.8%が働いています。
しかし、そのうち43.8%がパートやアルバイトでの非正規労働です。
そのため、ママ自身の平均年収入は200万円、世帯年収348万円(平均世帯人数3.31人)程度で、十分とはいえない経済状況のなかで子育てをしなくてはなりません。
そこでこの記事では、助けになる国や自治体から受けられる手当や利用できる制度を紹介します。
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母子家庭が受けられる手当や助成
母子家庭では、さまざまな手当や助成を受けることができます。
家庭の事情によって受けられるものに違いがあるので、確認してみましょう。
児童扶養手当
「18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は満20歳)を監護する母、監護し、かつ生計を同じくする父又は養育する者(祖父母等)」が支給対象になります。
支給要件は、両親が離婚してしまった場合や父母のどちらかが亡くなってしまった場合、父母のどちらかが一定程度の障害の状態にある児童、父母のどちらかの生死がわからない児童を監護などしていることです。
所得制限は全部支給(2人世帯)で160万円、一部支給(2人世帯)で365万円で前年度の所得に基づき算定されます。
【支給額】
全部支給 | 一部支給 | |
---|---|---|
月額 | 43,160円 | 43,150~10,180円 |
加算額(児童2人目) | 10,190円 | 10,180~5,100円 |
加算額(児童3人目以降1人につき) | 6,110円 | 6,100~3,060円 |
※出典:
児童扶養手当について|厚生労働省
児童手当
児童手当の支給対象者は中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人です。
児童が日本国内に住んでいる、両親が別居中は児童と同居している方に優先的に支給されるなどの支給のルールがあります。
【所得制限限度額】
扶養親族等の数 | 所得制限限度額 | 収入額の目安 |
---|---|---|
0人 (前年度に子どもが生まれていない場合 等) | 662万円 | 833.3万円 |
1人 (児童1人の場合 等) | 660万円 | 875.6万円 |
2人 (児童1人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等) | 698万円 | 917.8万円 |
3人 児童2人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等) | 736万円 | 960万円 |
4人 (児童3人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等) | 774万円 | 1,002万円 |
5人 (児童4人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等) | 812万円 | 1,040万円 |
【支給額】
児童の年齢 | 児童手当の額(一人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上 小学校修了前 | 10,000円 (第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
特別児童扶養手当
特別児童扶養手当は、20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。
この手当は、支給することによって障害のある子どもの福祉の増進を図ることが目的とされるものです。
支給額は障害の重さによって変わり、1級が月額52,500円、2級が34,970円です。
所得制限があり、受給資格者(障害児の父母等)もしくはその配偶者又は生計を同じくする扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。
【所得制限額】
扶養親族等の数 | 受給資格者本人 | 受給資格者の配偶者及び扶養義務者 | ||
---|---|---|---|---|
所得額 | 収入額の目安 | 所得額 | 収入額の目安 | |
0 | 459.6万円 | 642万円 | 628.7万円 | 831.9万円 |
1 | 497.6万円 | 686.2万円 | 653.6万円 | 858.6万円 |
2 | 535.6万円 | 728.4万円 | 674.9万円 | 879.9万円 |
3 | 573.6万円 | 770.7万円 | 696.2万円 | 901.2万円 |
4 | 611.6万円 | 812.9万円 | 717.5万円 | 922.5万円 |
5 | 649.6万円 | 854.6万円 | 738.8万円 | 943.8万円 |
※出典:
特別児童扶養手当について|厚生労働省 – 障害者福祉
障害児福祉手当
重度障害児に対して、その障害のために必要となる精神的、物質的な負担を軽減する助けとして手当を支給し、特別障害児の福祉の向上を図ることが目的とされる手当が障害児福祉手当です。
精神または身体に重度の障害があり、そのために日常生活において常時の介護を要する状態にある在宅の20歳未満の人に支給されます。
支給額は年齢や重度によって左右されず、一律で月額14,880円です。
受給資格者本人や受給資格者の生計を維持する扶養義務者の前年の所得が一定額以上の場合は支給されないので注意しましょう。
【所得制限額】
扶養親族等の数 | 受給資格者本人 | 受給資格者の配偶者及び扶養義務者 | ||
---|---|---|---|---|
所得額 | 収入額の目安 | 所得額 | 収入額の目安 | |
0 | 360.4万円 | 518万円 | 628.7万円 | 831.9万円 |
1 | 398.4万円 | 565.6万円 | 653.6万円 | 858.6万円 |
2 | 436.4万円 | 613.2万円 | 674.9万円 | 879.9万円 |
3 | 474.46万円 | 660.4万円 | 696.2万円 | 901.2万円 |
4 | 512.4万円 | 702.7万円 | 717.5万円 | 922.5万円 |
5 | 550.4万円 | 744.9万円 | 738.8万円 | 943.8万円 |
※出典:
障害児福祉手当について|厚生労働省
住宅手当
住宅手当は配偶者のいないひとり親家庭で、10,000円以上の家賃を払っている人が対象になります。
家賃補助の制度のほかにも、公営住宅の抽選が優遇されるものなどもあり、状況によって上手に利用しましょう。
ただし、住宅手当は市町村独自の制度なので各自治体や年度によっても内容が異なってきます。
例えば、神奈川県厚木市では20歳未満の子どもを養育するひとり親世帯に、15,000円を限度として手当が支給されます。(10,000円を超える家賃の場合のみ)
千葉県浦安市では18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童と同居、養育するひとり親世帯の10,000円以上60,000円以下の家賃の場合補助が受けられます。
このように、子どもの年齢や支給額に差があったり制度自体がない自治体もあったりするので必ずお住まいの自治体で直接確認しましょう。
児童育成手当
東京都独自の制度ですが、「児童育成手当」というものがあります。
都内に住所がある、18歳になった最初の3月31日までの児童を養育している人に支給される手当で、離婚や死別などで母子家庭になってしまった家庭などが対象です。
手当額は子ども一人につき、月額13,500円です。区市町村の子ども担当課などが窓口になります。
また、東京都以外の自治体でも、名称が異なる似たような制度がある可能性もあります。
受給できる手当がないか自治体に直接確認してみましょう。
※参考:
児童育成手当(育成手当)(東京都制度)|東京の福祉オールガイド|福ナビ
遺族年金
遺族年金とは、夫もしくは妻が死亡した場合に受け取れる年金のことです。
遺族年金は加入している年金の種類によって受け取れる金額が異なります。
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者である配偶者が死亡し、かつ18歳未満の子どもと同居している家族が対象です。
また、支給対象に年間850万円以上の収入または年間655万5,000円以上の所得がある場合は支給対象になりません。
支給期間は子どもが18歳になるまでの期間で、78万6,500円に第1〜2子は1人あたり22万6,300円を加算した金額が支給されます。第3子以降は1人につき7万5,400円加算です。
遺族厚生年金は、死亡した配偶者が厚生年金に加入しており、その人によって生計が維持されていた「子のある妻または子」などが対象になります。
支給期間は、妻が受け取る場合は妻が亡くなるまでで、遺族基礎年金と合わせて受給できます。
支給額は、本人が受け取る予定だった厚生年金の4分の3の金額です。
※参考:
遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構
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母子家庭が利用できる制度や減免
母子家庭で利用できる制度や減免にはさまざまなものがあります。
自治体によって条件や名称が違うもの、または自治体によって制度がないものもあるので確認しましょう。
ひとり親家庭医療費助成制度
ひとり親家庭医療費助成制度は、健康保険に加入している母子家庭などのひとり親家庭などの人が、病気やケガで病院にかかった場合、一部負担金を自治体が変わって負担してくれるという制度です。
この制度を利用するには、例えば横浜市の場合なら、横浜市に住所があり何らかの健康保険に加入している必要があります。
対象となるのは、18歳未満の子どもがいる父母で、離婚や配偶者の死亡等によりひとり親家庭になった人です。
一定の所得を超えていないことも条件になるので、しっかり確認しておきましょう。
自治体によって所得制限の金額が異なるため、自分の住む自治体のHPや窓口で確認する必要があります。
こども医療助成
子どもの健康維持や健やかな成長のために、医療費の一部を自治体が負担してくれる制度です。
申請する自治体に住所があり、何らかの健康保険に加入している人が対象です。
自治体によって、子どものみが対象の場合や保護者まで対象の場合があります。
また、対象となる子どもの年齢も自治体によって違いがあるので注意が必要です。
助成の内容も自治体によって異なり、一部負担金の有無などが違うのでお住まいの地域の自治体に確認する必要があります。
なお、ひとり親家庭等医療費助成が利用できる場合はそちらが優先になります。
電車やバスの運賃割引制度
母子家庭などのひとり親世帯では、交通費が家計を圧迫することもあるでしょう。
そのようなとき知っておきたいのが電車やバスの運賃割引制度。
自治体の多くではJRの通勤定期が3割引となる場合が多くあります。
通勤定期の割引以外では、横浜市では市営地下鉄やシーサイドラインの無料特別乗車券交付、沖縄県ではバス通学定期券が半額になるなどがあります。
お住まいの自治体にどのような割引制度があるか調べてみましょう。
上下水道料金の割引
子どもがいるとどうしてもかさんでしまう水道料金も割引の対象になることをご存じでしょうか。
児童扶養手当または特別児童扶養手当を受給している人を対象に、上下水道の料金を減免してもらえます。
東京都では水道料金は基本料金と1ヵ月あたり10m³までの重量料金の合計額に100分の110を乗じて得た額、下水道料金は1ヵ月中8m³までの料金が減免になります。
上下水道料金の割引の制度は自治体ごとの制度です。
申請方法や詳細は各自治体に確認しましょう。
保育料の免除や減額
保育料は国が定める上限額の範囲内で自治体ごとに定められているのですが、ひとり親世帯や多子世帯などには認可保育園の利用料の減免があります。
ひとり親世帯などで市町村民税非課税世帯は第1子から無料になり、年収約360万円未満相当のひとり親世帯は第1子から半額、第2子以降は無料となります。
年収や子どもの年齢によっても減免になる金額などが変わってくるのでしっかりと確認しましょう。
まとめ
何かと大変なことが多い母子家庭(シングルマザー)ですが、経済的な負担は大きく精神的にもすり減っていく問題です。
ですが、母子家庭(シングルマザー)が受けられる手当や利用できる制度はたくさんあります。
手当や制度を利用し、負担を少しでも減らすことは子育てをするうえで経済的にも精神的にも必要なことです。
自治体によって詳細は異なるものも多いため、漏れなく利用できるようにしっかりと確認し、少しでも負担を減らして生活できるようにしましょう。
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