母子家庭(シングルマザー)は、ママ一人の収入でやりくりしなくてはならないため、できるだけ支出を減らしたいと考えることも多いでしょう。
必ず払わなければならないものとはいえ、税金や固定費もできるだけ少ないほうが良いですよね。
では、収入の少ない母子家庭では、年収がいくらなら非課税世帯になるのでしょうか。
この記事では非課税世帯について、年収や条件、住民税の仕組みなどを紹介します。
マンガ:サダイチ
目次
「非課税世帯」は全員の住民税が非課税になる世帯のこと
「非課税世帯」とはどのような世帯のことをいうのか良くわからない方もいますよね。
「非課税世帯」とは、生計を一にしている(生活費を共有している)世帯全員が住民税非課税の世帯のことです。
シングルマザーへの支援策ではないので、「母子家庭だから非課税」ではなく、収入や条件によって課税・非課税が判断されます。
住民税の仕組み
住民税の仕組みと聞くと難しく感じますよね。
住民税は2つの要素があり、「均等割」と「所得割」で構成されています。
「均等割」は所得に関わらず一定の額を納めるもので、「所得割」は所得に応じて納めるものです。
均等割(年額) | 所得割(税率) | |
---|---|---|
市町村税 | 3,500円 | 6% |
都道府県民税 | 1,500円 | 4% |
所得割は収入によって金額が変動するので、収入が少なければ当然金額が小さくなります。
しかし、均等割は所得に関わらず一律でかかるものなので、収入の多い少ないは関係なく、所得がなくても住民税の支払いが発生することを覚えておきましょう。
※出典:
総務省|地方税制度|個人住民税
総務省|地方税制度|個人住民税
「ひとり親」と「寡婦」の違い
シングルマザーには「ひとり親」と「寡婦」があり、それぞれ違いがあります。
- 寡婦:婚姻後の離婚、死別、生死不明などによりシングルマザーとなった方(女性のみ)
- ひとり親:婚姻の事実はなくても良く、未婚の母とシングルファザーはひとり親に含まれる
事実婚の場合は寡婦にもひとり親にも該当しません。
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住民税の均等割と所得割が非課税になる条件や年収
先述のとおり、住民税の「均等割」は収入がなくても一律でかかるものです。
ただし、一定の条件を満たすことで均等割も非課税になる場合があります。
自治体によって金額や条件が異なる可能性があるので、お住まいの自治体へ確認しましょう。
均等割と所得割のどちらも非課税になる方
均等割と所得割のどちらも非課税となるのは下記の条件に該当する方です。
- 生活保護を受けている(その年の1月1日時点)
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与収入なら204万4,000円未満)
- 前年の合計所得が下記の計算で求めた所得以下
・同一生計配偶者または扶養親族がいる:35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円+10万円
・同一生計配偶者および扶養親族がいない:35万円+10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下である方が該当)
つまり、母子家庭で仕事をしているママの場合は、2の「前年の合計所得金額が135万円以下」に該当すれば住民税が0円(非課税)になるということです。
前年の合計所得金額(年収)の調べ方
前年の合計所得金額、つまり年収ですが、どのように調べたら良いのかわからない方もいますよね。
前年の合計所得金額は、会社員なら源泉徴収票で確認ができます。
給与以外に所得がない方の場合は、給与所得控除後の金額という部分をチェックしましょう。
「①給与所得控除後の金額(給与所得)」が135万円以下の場合は住民税が非課税となります。
給与収入だけの場合は「②支払金額」が204万4,000円未満の方も非課税の対象になります。
自営業、フリーランスの方は、確定申告書で確認しましょう。
確定申告書A・Bの第一表「所得金額等」の合計が135万円以下なら住民税が非課税です。
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非課税世帯の母子家庭が受けられるメリット
非課税世帯の母子家庭が受けられるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
いくつか紹介します。
0~2歳の保育料が無料
2019年10月から幼児教育や保育の無償化がスタートしています。
幼稚園や認可保育園、認定こども園などで保育料が無償となる制度ですが、対象は3~5歳児です。
しかし、住民税非課税世帯では、対象外となっている0~2歳児の子どもも保育料が無料となります。
▼幼児教育・保育の無償化について(日本語) : 子ども・子育て本部 – 内閣府
高等教育無償化の対象
2020年4月より、「高等教育の修学支援新制度」が始まりました。
大学などの高等教育を受けるためにはたくさんお金がかかりますが、この制度を利用することで、経済的な理由が原因で進学を諦める必要がなくなります。
ただし、非課税世帯であることの他にも条件があり、対象校に在籍しているか進学する予定の方が対象となります。
また、所定の学力や学習意欲も求められるため、子ども自身の学びたいという気持ちが重要になります。
国民健康保険料、国民年金保険料の減免
非課税世帯では、国民健康保険料の減免を受けることができます。
所得によって、2~7割の減額になりますが、自治体によって違いがある可能性があるので確認が必要です。
国民年金も、状況によって前年の収入が以下の金額を下回る場合、申請することで免除を受けられます。
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
金額を超えている場合でも、一部減額になるので確認してください。
▼所得が一定以下の世帯に対する保険料軽減|茅ヶ崎市
▼国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構
高額療養費制度の自己負担額が軽減
ひと月にかかる医療費が一定の金額を超えると受けられる「高額医療費制度」ですが、これも非課税世帯では自己負担額を軽減できます。
70歳未満の場合、自己負担の限度額は35,400円となり、直近1年以内に3回以上限度額に達した場合はさらに自己負担が軽減される仕組みもあります。
▼高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
介護保険料が軽減
40歳から支払いが始まる介護保険料ですが、所得の少ない母子家庭にとっては大きな負担ですよね。
2019年10月より住民税非課税世帯の介護保険料が軽減されることになりました。
介護保険料が軽減になる所得は細かい段階ごとに決められており、各自治体でも違うのでお住まいの自治体へ必ず確認しましょう。
その他
先述したものの他にも非課税世帯には免税になるものがあります。例えば以下のようなものです。
- 入院中の食事の自己負担額の軽減
- がん検診費用の自己負担金の免除
- 予防接種の自己負担金の免除
- 公営住宅の家賃の減免 など
自治体によって条件や減免になる内容が異なるため、お住まいの自治体に事前に確認しましょう。
非課税世帯の注意点
非課税世帯には減免となるものが多く、制度を利用すれば収入面に不安がある方も安心して子育てができますが、一方で注意すべき点もあります。
国民年金保険料は減免ができますが、全額免除にしてしまうと、将来もらえる年金が少なくなる弊害があります。
ただし、追納が可能なので、余裕ができたら支払うことも考えておきましょう。
基準を超えてしまい課税対象となるのはもったいないと感じるかもしれませんが、収入が増えていったほうが生活は安定します。
あまり非課税にこだわりすぎず、安定した生活を送れるように考えていきましょう。
まとめ
今回の記事では母子家庭(シングルマザー)が非課税世帯になるには、年収はいくらまでなのか、住民税の仕組み、非課税世帯となるメリットや注意点などをご紹介しました。
非課税世帯となることで受けられる減免措置は多くあり、魅力的に感じる方もいるでしょう。
しかし、将来のことを考えると収入を増やし安定した生活を目指すほうがメリットが多い部分もあります。
現状、非課税世帯であるなら受けられる減免措置を受けつつ、非課税にこだわりすぎることなく、年収を増やすことを考えていきましょう。
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