面会交流とは、離婚後、別居した親と子が会って交流することを指します。
離婚でシングルマザーになった方なら、一度は悩んだでしょう「面会交流」。
これから離婚を考えている方でも、離婚前にある程度見通しを持っておくことが助けになります。
この記事では、面会交流にまつわる様々なトピックを総合的にご紹介します。
ご自身のご家庭にあった「面会交流」を考えるヒントにお役立てください。
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監修者プロフィール

NPO法人シングルマザーズシスターフッドは、シングルマザーの心と体の健康を支援する団体です。
子育ての責任を一手に担うシングルマザーが、自分の身体や心をケアする時間を持ち、地域を超えて交流することで、互いを励まし合えるような機会を提供しています。
※当団体の講座は寄付金や助成金で運営されているため受講料は無料です。
面会交流って何? うちにも必要なもの?

そもそも、面会交流とはどんなものでしょうか。
まずは、2023年現在の日本でよく行われている方法、目的、メリットとデメリットなどを掘り下げて紹介します。
面会交流とは
離婚や別居時にすぐに訪れる不安は、その後の親子関係をどうしたらよいか、ということです。
縁を切りたいから、離婚後は元パートナーと連絡を絶ってしまうケースも多いです。
しかし、たとえ離婚をきっかけに離れて暮らしていても、子どもにとっては「親」であり続けます。
もし、子どもと元パートナーとの関係を、離婚後も継続して作っていきたい場合、それを子ども自身も望む場合……そのとき、考えておきたいのが「面会交流」です。
離婚後すぐに考えたい、離婚後の親子関係
面会交流とは、離れて暮らす親子が、継続的・定期的に交流すること。
かつては離婚すると、別居した親に会うこともなく成人した子どもも多いとされていました。
しかし、現在の日本では、「子どもの福祉」の目的で、離婚後、別居した親と子との面会交流が勧められています。
家庭裁判所での話し合いにあたる「調停」や、裁判での離婚の場合、平均は月1回程度といわれています。
また、直接会うだけではなく、電話やメール、写真、手紙を送るなども「間接交流」として、面会の一種とされています。
※この記事はシングルマザー向けであるため、子どもと一緒に住んでいるシングルマザーを「同居親」、元パートナーを「別居親」とします。
ところが、実際はシングルファーザーも少なからずいて、同居親、別居親それぞれに様々な事情や課題を抱えています。
どちらかの親、性別の肩入れをしたいわけではない点をご了承ください。
また、この記事では、あくまで「子どもの福祉」のためとして、面会交流を扱います。
参考ホームページ(面会交流は「親子交流」として定義されています)
法務省:親子交流(面会交流)
面会交流の法的側面や権利とは
まず押さえておきたい点は、面会交流は義務ではなく権利だということです。
現在の日本では、民法744条に規定されており、平成24年以降は、離婚届に面会の事項を決めたかどうかのチェック欄が設けられるようになりました。
同時に、離婚調停を利用した場合、積極的に面会交流を勧められることもあるようです。
ただしその目的は、あくまで、子どもの福祉。
この記事では 子どもの福祉、子どものためにどうか、という点で、面会交流の必要性を考えていきます。
こんな場合はどうする? よくあるQ&A
面会交流のよくある疑問をまとめてみましょう。
Q.面会交流は、どんな場合も必ずしなければいけませんか?
A.義務ではありません。
離婚後の家庭では、DV等の事情で元パートナーから居場所を隠しているケースや、事情があって会うことに危険があるケースもあります。
そういった場合はもちろんのこと、「子どもの最善の利益」ではない場合、面会交流は必要がありません。
子どもの気持ちを大切にしながら、自分たち親子にとって良い判断をしていきましょう。
Q.養育費を払ってもらうためには、別居親の言う通りに面会しなければいけませんか?
A.養育費と面会交流は関係がありません。
養育費をもらうには面会交流が必要である、または、養育費がないから面会交流もしない、というものではありません。
両者の関係がないことは、法務省の作成した「こどもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」にも明記されています。
ただ、養育費も面会交流も、子どもの育ちに大きく寄与します。
特に養育費は親の義務であり「親の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)」とされています。
どんな事情があるにせよ、養育費の支払い義務が果たされた上で、子どもにとって良い経験となる面会交流を行う、という形であってほしいものです。
参考URL 「こどもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」
Q.別居した元パートナーの父母(同居親にとっては元義父母、子どもにとっては祖父母)も、面会交流を希望しているようですが……?
A.祖父母の面会交流に関しては、民法766条に明確な規定がありません。
子どもと祖父母との関係もあるでしょうから、子どもの希望や、家庭ごとの事情に合わせて判断していきましょう。
Q.今後、どちらかが再婚したら、面会交流もなくなりますか?
A.面会交流は、親子の間の交流であり、親の再婚とは別問題です。
ただし、再婚後の親と養子関係を結ぶかどうか、また、再婚に伴う生活の変化にどう対応するか、など、ステップファミリーには多くの課題があります。
子どもの生活全体をよく見直した上で、都度判断していくのが望ましいと考えられます。
面会交流のメリット

子どもの福祉のため勧められている、面会交流。
しかし実際、実行するとなると……難しさを感じる方も多いのではないでしょうか。
そもそも、元パートナーとの間に様々な傷つきや葛藤があったから「離婚」という選択肢を取ったはず。
同居時の様々な経験や離婚時の葛藤から、元パートナーとの連絡を一切遮断しているシングルマザーも少なくありません。
そんな中、「面会交流」によって、子どもが得られるメリットとは、どんなものがあるでしょうか。
子どものすこやかな育ちにつながる
子どもは、親の想像以上に両親の関係に心を痛めるもの。
特に幼い子どもは、発達上、身の回りの出来事すべてを「自分の責任」と感じやすい傾向があります。
親の離婚を、「自分がいい子でなかったせい」と感じたり、別居親と会えないことを「自分は別居親には必要ないんだ」と感じる子どもも多くいます。
そんな中で、両親ともに会うことができる、いつまでも親の役割は変わらない、と示すことができたら?
また、同居親ではなく、別居親も自分を理解し支えてくれる、大切な居場所だと感じられたら?
子どもにとっては何よりの安心、安全につながるでしょう。
思春期以降、自分の育った家庭から巣立ちたいと子どもが感じたとき、頼ることができる大人、モデルにできる大人は、豊かにいて良いはずです。
風通しの良い親子関係につながる
面会交流がない離婚家庭では、親子で別居親のことを話したり、聞いたりすることがなくなる、という事例もあります。
そうなると、同居親と子どもとの親子関係にも、ある種の、触れてはいけない「タブー」が存在することに。
見えないもの、「なかったこと」になっているものには人は、幻想をめぐらせます。
成長とともにそれが違和感をもち、やがて、同居親への不満やしこりになってしまうケースもあります。
筆者自身も、親の離婚により、別居親のことを知ることも、会うこともできない知人を複数、知っています。
人それぞれ色々な気持ちがあると思いますが、「別居親のことをわかっていて会えない」ことと、「わからない、会えない、居場所を知ることもない」というのは、質の違うつらい体験になりうるのでは、と感じました。
そうした点では、面会交流をきっかけに、同居親との親子関係にも良い影響を生じさせることもできるのではないでしょうか。
参考資料:『離婚家庭の子どもの気持ち』 離婚家庭の子どもの気持ち | 太田垣 章子, 新川 てるえ, Wink |本 | 通販 | Amazon
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面会交流の課題

子どもにとってプラスの経験となる「面会交流」。
ですが、中には面会交流を積極的に避けるべき場合もあります。
以下はその例をご紹介します。
子どもの生活ペースや体調、心理状態に無理がある場合
面会交流はあくまで、「子どものため」のもの。
子どものためではなく、別居親が「会いたい」から、同居親が「会わせるべき」だから、の面会交流になっていないでしょうか?
一度振り返ってみてください。
例としては、乳幼児の子に、身の回りの世話をしたことのない別居親と宿泊つきの面会をさせる、塾や部活で忙しい思春期の子どもに、「決められた面会回数をこなさなければならないから」と、子ども自身の希望する予定よりも面会交流を優先する、などです。
実は1つめの例は筆者の実体験です。
私は別居時、「子どもから一方的に父親を奪ってしまったかも」という罪悪感を強く感じていました。
そんなとき、元パートナーから「どうしても宿泊で面会させてほしい」と言われ、断りきれず……。
当時子どもは3歳未満。
それまで、ずっと私と一緒、私がいない状態で元パートナー、元義父母に会うこともほとんどなかったものの、「仕方ないのかも、これも経験かも」と思い、承諾しました。
宿泊後、お迎えに行って後悔しました。
子どもの様子がなんとなく落ち着かず、泣き止まず……。
その後数日間調子を崩し、親子ともにしんどい日々を過ごしました。
聞くと、面倒を見ていたのはほとんど義父母で、子どもは私がいないパニックから、ほとんど食事にも手をつけなかったとのこと。
後悔した私は、ふだんから通っている園の保育士さんに相談。
すると、「その年齢なら、1、2時間が限界じゃない? 離婚云々ではなく、まず子どもの体調や心身の安全を優先してあげて」とのこと。
無理をさせすぎてしまったな……と反省し、次回から時間を短く、自分も付き添うことにしました。
面会交流も子どもの生活の一部。
だからこそ、無理をしないことが大切です。
元パートナーとのいがみ合いが激しく、子どもが板挟みになっている場合
面会交流の目的は、あくまで、子どもの心理的な安全基地を増やすこと。
そのため、同居親と別居親との葛藤が激しく、調停や話し合いなどで係争が続いている場合、お互いへの不信感がつのり、通常のやりとりもできない場合……。
こうした場合は、急いで面会交流をさせることが、必ずしも子どものメリットになるとは限りません。
最悪のケースとしては、別居親・同居親それぞれがお互いの悪口を子どもに聞かせあう、「向こうの親には内緒だよ」と秘密を作らせる、子どもをメッセンジャー代わりに伝言を伝えさせる……という例も。
子どもにとっては、別居親と関係を築くどころか、同居親との関係にすら影響します。
子どもの立場からすれば、まるで帰る家がなくなってしまうような絶望を味わうことも、想像に難くありません。
DVやモラハラ、子どもへの無関心など、子どもにとって悪影響がある場合
かつてはDV(家庭内暴力)といえば、「身体的暴力」に限られていました。
しかし、身体的暴力以外にも、精神的暴力や経済的暴力をはじめ、様々な形の暴力があります。
2023年5月、改正DV防止法が成立し、こうした広い意味での家庭内暴力を「DV」であるとし、裁判所が加害者に、被害者に近づくことを禁止する「保護命令」が出せるようになりました。
様々な形で、社会全体の「DV」や「虐待」への意識が変化し、より、一人一人の人権や尊厳を大切にしていこうという社会になってきています。
そんな中、離婚前の家庭にDVがあり、同居親が子どもを守るための離婚だった場合は、当然、別居親との面会交流は、子どもにとって悪影響を及ぼしかねません。
また、直接自分自身がDV被害を受けなくても、他者へのDVを目撃する「面前DV」によっても、子どもの発達が歪められることが研究でわかっています。
もし、離婚前の家庭に、DVやモラハラなどの、「子どもの福祉」とは程遠い状況があったら?
国内・海外を問わず、面会交流がきっかけで、痛ましい事件になるケースも発生しています。
断固として、子どもと自分の安心と安全を優先しましょう。
参考資料:
配偶者暴力防止法の令和5年一部改正法情報
虐待が脳を変える―脳科学者からのメッセージ | 友田 明美, 藤澤 玲子 |本 | 通販 | Amazon
子ども自身が面会を望んでいない場合
面会交流が当事者同士での話し合いが決まらない場合、家庭裁判所で「面会交流調停」を起こし、調停委員が間に入って話し合うこともできます。
また、面会交流を支援するための民間サービスを利用し、当事者同士ではなく、第三者が立ち会った上での面会交流を行うこともできます。
こうした制度が整ってきたからこそ、悲しいことですが、子ども自身の意志が反映されない場合も生じてしまいます。
「面会したくない」という子どもに対して、周囲の大人たちが、「まだ子どもだからわからない」「成長の一過程」「会ってみれば気持ちも変わる」など、よかれと思って面会交流を勧め、結果、子ども自身の意志や感情を無視してしまうようなケースです。
子どもにとっては、「望んでいない面会交流を強制される」「大人が自分たちの気持ちを聞いてくれない」という、マイナスの経験を積むことになり、自分の気持ちなんてどうでもいいんだという気持ちや、社会への不信感を育てることにもなりかねません。
参考資料:
離婚後の子どもをどう守るか 「子どもの利益」と「親の利益」
面会交流の課題の解決策

それでは、私たち親子にとって、面会交流はどんな経験になりそうでしょうか?
プラス面とマイナス面を踏まえ、どんなふうに面会交流を判断していくと良いのでしょう?
まずは無理せず、一歩ずつ
面会交流は、短時間から・人の目があるところで・元パートナーにはビジネスライクに礼儀正しくが鉄則とされています。
はじめから長時間ではなく、まずは短時間から。
公園やファミリーレストランなど、周囲の人の目があることで、お互いに礼儀正しく、親子ともに安心して過ごすことができます。
また、元パートナーとは、どんなに葛藤があった同士でも、子の親という意味では対等な関係です。
もっとも関係がよくない場合でも、挨拶をする、時間を守る、必要な事務連絡は行う……など、子育てという仕事を一緒にできるぐらいのビジネスライクな態度が最低限必要、といわれています。
参考資料:
別れてもふたりで育てる――子どもを犠牲にしない離婚と養育の方法 | ジョアン・ペドロ-キャロル, 丸井妙子 |本 | 通販 | Amazon
話せる相手、相談できる専門家を見つけよう
離婚の話し合いの途中や、離婚直後などは特に、お互いを傷つける言動があることも。
元パートナーへネガティブな感情が溢れ出すことも自然なことかもしれません。
ただ、それが子どもの耳に入り、気を遣わせないためには、安心して話せる大人の場所を持っておくことをおすすめします。
カウンセラーなどプロでもいいし、信頼できる友人や家族でも、あなたが話せてよかったな、安心する、と思える方、心が楽になる相手がいるといいですね。
また、調停や養育費などの法的な問題が関係してきたとき、あなたや子どもの希望を丁寧に聞いた上で専門的なアドバイスができる弁護士や区役所等の専門窓口職員を、粘り強く探してみましょう。
例えば行政の窓口では、ひとり親関連の支援センターや、役所のひとり親関連部門でも、無料相談窓口を用意しています。
自分に合った窓口が一つでもあると、心がふっと楽になります。
参考資料 東京都ひとり親家庭支援センター
大切なのは観察力
何より大切なのが、面会交流が子どもにどんな影響を与えているのか、よくよく観察することです。
面会交流直後や直前の子どもの様子や表情をよく、見てください。
表情は明るいでしょうか?
普段となにか、雰囲気が違うところはありませんか?
なにか言えない、抱え込んでいるものがありそうな感じはしますか?
体調はいつも通りですか?
子どもは、親の思う以上に、親を無条件で愛してしまう存在です。
どんなに小さい、言葉もわからないのではと思うような子どもでさえ、親の気持ちに沿いたい、と親の顔色を読んで、行動します。
面会交流すること、あるいはしないことは、本当に子どもの意思に沿っているでしょうか。
可能な範囲で、親以外で信頼できる、普段の様子を知っている大人、例えば保育士や学校の先生、学童保育の先生、スクールカウンセラーや親子での友達などにも、様子を聞いてみることも有効です。
様子によって、回数を増減する、内容を変えるなど調整してみましょう。
面会交流の時間や回数など、決まった数値に子どもを合わせていくのではなく、子ども自身の発達や心理状態に、面会交流を合わせていけるのが理想なのではないでしょうか。
親子の危機を、ポジティブに乗り越える

私自身も、離婚前の別居から数年間、面会交流を続けています。
お話したように、最初の面会交流では、別居親は挨拶もせず立ち去り、お互いに一方的な要求を突きつけるような、高葛藤状態でした。
しかし、様々な変化と年月、偶然も重なり、今では、子育ての方針や教育のことを話し合い、柔軟に内容や回数を決めていけるところまできました。
お互いに本当に努力したと思うし、それ以上に、幸運だったと思っています。
一方で、元パートナーから約束を破られたことがあまりに多く、到底安心して面会交流はできない、本当は会わせてあげたいけれど……と、頭を抱えているシングルマザーの友人もいます。
離婚は、親子ともに確かに試練です。
しかし、離婚を通じて身についた子どもを観察する力や、自分をケアする力、人とつながる力は、かならず良い親子関係に寄与していくはずです。
家族のあり方が多様化する現在、面会交流に正解はありません。
自分たち親子にぴったりな方法を、都度都度選んでいけますように。
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