【針供養とは】どんなことを行うの?起源や由来、風習についてご紹介

裁縫道具の写真

私たちの生活に、裁縫針は欠かせません。

普段、裁縫をしなくても洋服のボタンが取れたときに、針がないとたちまち困ってしまいます。

日本人は古くから、針に親近感を抱き、大切に扱ってきました。

その表れが、傷んだ針を供養する「針供養」です。

この記事では、針供養の基礎知識や歴史、針供養をおこなう方法を紹介します。

ママライタープロフィール

ayu

15歳と19歳の息子を持つ福岡在住のライター。(※原稿執筆時)
情報誌勤務を経てフリーランスのライターとして活動中。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、興味のおもむくままに楽しんでいます。
息子たちには野球マニア、潮干狩りのプロと呼ばれています。

針供養とは

豆腐にまち針

針供養という言葉に耳なじみがない方も多いかもしれません。

ここでは、針供養の基礎知識や、針供養がおこなわれる日程を紹介します。

針供養の基礎知識

針供養とは、折れたり錆びたりして使えなくなった針を供養する行事です。

「供養」とは亡くなった方や祖先の冥福を祈る行いを指しますが、日本では人間以外の“モノ”にも魂が宿っていると考え、人形や刃物、筆、眼鏡など、さまざまなモノを供養してきました。

日常生活に欠かせない針を大切する気持ちや、使えなくなったからといって簡単に捨てるのは忍びないという気持ちから、針の供養がおこなわれてきました。

針供養はいつ行うの?

針供養は2月8日、12月8日におこなわれます。

2月8日と12月8日は「事八日(ことようか)」と呼ばれ、2月8日は農作業を始める「事始め」、12月8日は農作業を終える「事納め」とされてきました。

事八日には、日常的な行事を控える習わしがあります。

そこで、人々はこの日に針仕事をすることを控え、針を供養する日に充てました。

ちなみに、12月8日を年越しの準備を始める「事始め」、2月8日を正月の行事が終わる「事納め」としている地域もあります。

2月8日と12月8日の両方に針供養をおこなう地域もありますが、ほとんどの地域ではどちらかの日におこないます。

針供養の起源や歴史、由来

針供養は9世紀頃に中国から伝わったといわれていますが、その起源ははっきりしません。

わかっているのは、江戸時代に全国各地に広まったということです。

針供養を全国に広めたのは「淡島願人」と呼ばれる人々。

淡島願人は、和歌山県加太にある「淡島神社」のご祭神である淡島明神のご利益を全国各地で説いて回りました。

淡島明神は女性の守り神として知られ、裁縫を世の中に広めた神様ともいわれます。

淡島願人の活躍もあり、全国には淡島神社から勧請した「淡島堂」「淡島神社」が建てられ、これらの場所で針供養がおこなわれるようになりました。

針供養のやり方

神社の写真

針供養は、折れたり錆びたりして使えなくなるまで役立ってくれた裁縫針の労をねぎらうため、豆腐やこんにゃくなどの、やわらかいものに刺しておこないます。

神社や寺、自宅でおこなう針供養の方法や注意点を解説します。

自宅でおこなう場合

供養したい針を用意し、豆腐、こんにゃくなど、やわらかいものに刺します。

針を刺した豆腐やこんにゃくを神棚や仏壇に供えます。

神社やお寺でおこなう場合

「淡島堂」「淡島神社」「針供養」などのキーワードで探すと針供養をおこなっている神社やお寺を見つけられます。

全国的に知られているのは、浅草寺(東京)、淡嶋神社(和歌山県)、虚空蔵法輪寺(京都)、淡島神社(福岡県)などです。

針供養をおこなっている日を確認し、神社やお寺に供養したい針を持ち込みましょう。

予約制の神社やお寺もあるので、ホームページで日程が確認できないときは問い合わせてみてください。

針を処分する際の注意点

自宅で針供養をおこなったあと、針を刺したまま庭に埋める方法もありますが、庭がない場合や針が露出する危険がある場合は、針供養をおこなっている神社やお寺に持参するか、自治体のルールに則って処分しましょう。

針をそのままごみ袋に入れると、袋を貫通してしまい大変危険です。

尖った先端が隠れるようにガムテープに貼り付けると、針がバラバラにならず、貫通や刺さるリスクを軽減できます。

針供養は、道具に感謝し、心置きなく手放す儀式

針仕事の写真

私の裁縫箱には、傷んだ針を入れるケースに錆びた裁縫針、曲がった待ち針、折れたミシン針が無造作に入っています。

そのまま捨てるのは忍びないと思いつつ、捨てる以外の処分方法を思いつかず、そのままになっていた針たちです。

「供養」は、私のように不要になった道具を手放せない方にとって、道具への感謝の気持ちを表して、心置きなく道具を手放せる儀式。

私も次回の事八日には、お寺や神社に足を運び、針供養に参加したいと思います。

参考
淡島神社|針供養
浅草寺|針供養会
虚空蔵法輪寺|針供養



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