山口県宇部市周辺の御朱印めぐり② ~中津瀬神社・松涛神社~

御朱印巡り中津瀬神社アイキャッチ

宇部市役所が近い、宇部市の中心部、新天町商店街の中に中津瀬神社があります。商店街のアーケードに面した場所にライオン像…??和の趣のある神社に西洋風の彫像があるというのも不思議な感じがしたので、少し調べてみました。

中津瀬神社

中津瀬神社

創建は江戸時代後期

創建されたのは江戸時代後期の1801年(享和元年)、徳川将軍の代でいうと、第11代・徳川家斉(1773年-1841年)の時代で、伊能忠敬(1745年-1818年)が日本地図の測量を始めた頃のようです。

もともとは真締川のそばに建てられていた

現在、宇部市中心部を真締川という河川が流れています。かつての宇部は水害が度々起こっていたので、江戸時代に水害が起きないようにする工事が行われました。東側から流れてくる塩田川と西側の真締川の合流する場所に堤防を築いて、川の流れを南側に変えたのだそうです。それが現在の私たちが知っている真締川の姿となりました。市内の中心部は宇部新川という地名ですが、その「新川」の名の由来はそこにあったようです。そして、中津瀬神社は元々はその川のそばに建てられていました。現在のヒストリア宇部(旧山口銀行宇部支店)がある場所に中津瀬神社の井戸があったとされる標榜が立っています。

ヒストリア宇部

中津瀬神社の御朱印

中津瀬神社の御朱印

中津瀬神社でいただいた御朱印がこちらになります。

水神とは水を司る神様のことです。

水害に苦しんだ歴史があって、勢いの有り余る水が起こす災害は、昔も今も変わりないのかもしれません。

それでも、水は私たちの暮らしの中で必要不可欠なものです。

だからこそ、水神様に水にまつわる暮らしが穏やかであるようにとの願いを込めて建てられたお社なのだろうと感じました。

狛犬がライオン像?!

狛犬がライオン?

社殿の両脇には、普通ならば狛犬がいるのですが、こちらの神社では西洋風のライオンです。

こちらのライオン像が狛犬となったのは、第二次大戦後の昭和30年代のことです。

きっかけは、戦時中の1945年(昭和20年)7月2日に宇部大空襲があり、社殿が火災に遭い全焼してしまったことにあるそうです。宇部の町は工業用プラントも多かったので、そういった都市部は空襲の対象になってしまったのです。7月というと、終戦の約1ヶ月前のことです。広島で原爆を落とす前の予行演習としての空襲もあったということが、読んだ本に書かれていたので、とても恐ろしいことだと思いました。

そして戦後、神社を再建するために、常盤湖の神社の社殿を移築したそうです。

戦後の苦しい時代に狛犬を新しく作ることは難しかったのだそうですが、そんな折に、真締川にかかる錦橋の建て替え工事があり、その際に橋の東西に置かれていたライオン像4体のうちの2体が、中津瀬神社の狛犬として置かれることになりました。

錦橋

名称中津瀬神社
所在地山口県宇部市新天町2丁目2番19号 地図を見る
電話番号0836-32-4138
ホームページhttp://ube-city.main.jp/nakatsuse/

…とすると、あと残り2体のライオン像はどうなったのでしょう…?

調べてみると、もうひとつの神社に置かれていることが分かりました。

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松涛神社

それが、宇部市上町にある松涛神社です。社殿の両脇には、中津瀬神社と同じライオン像の狛犬が鎮座していらっしゃいますね!

江戸時代の工事で新しく生まれた「宇部新川」

その川に架かる橋の東西のたもとにあった4体のライオン像が、現在も川を挟んで宇部市の中心部の東西を守ってくれているのだなぁと思うと、とても感慨深いです。

松涛神社

松涛という名前の由来

松涛という名の由来

出典:国立国会図書館 ホームページ「近代日本人の肖像」
渡辺祐策(わたなべ すけさく)

「松涛」という名は、宇部ではおそらく知らない人はいないはずの宇部興産の創業者・渡辺祐策(1864年-1934年)の別荘「松涛園」があった場所からのようです。

創建されたのは昭和30年代で、商店街の人々が中心となって、出雲大社から御祭神を分けて頂いて建てられた神社なのだそうです。

昭和30年代といって思い浮かぶのは、映画『ALWAYS3丁目の夕日』の世界でしょうか。

1945年(昭和20年)の終戦から十余年経ち、日本が高度経済成長を続けている最中です。

宇部市は戦前から石炭を主産業とした町として栄えてきました。その当時は炭鉱で働く人たちも多く暮らし、商店街も賑わいをみせていました。

こじんまりとした佇まいの神社ですが、堂々とした雰囲気があり、神社が創建された時の当時の人々の高揚感が伝わってくるようです。

松涛神社の御朱印

松涛神社の御朱印

こちらが頂いた御朱印になります。

社殿脇の建物の窓に、「御用のある方はこちらへご連絡を」という貼紙があったので、そちらへ連絡をしたところ、御朱印を頂くことができました。

名称松涛神社
所在地山口県宇部市上町2丁目3-1 地図を見る
電話番号0836-21-5272

おわりに

宇部新川の「新川」という意味、戦後の宇部の町の発展を願った人々の思いを感じることができました。宇部に来られた際には、ライオン像の狛犬さんを訪ねてみてはいかがでしょうか? 今回、冒頭に載せているライオン像の写真は、1921年(大正10年)に宇部村が宇部市になった時の記念に作られた像で、錦橋にあったライオン像と作者が同じなのだそうです。また、商店街は開いている店舗数は少ないですが、訪れてみると何か新しい発見があるかもしれませんよ。

参考文献
・『宇部ふるさと歴史散歩』黒木 甫/著(発行:宇部時報社/1994年)
・『宇部大空襲 ー 戦災50年目の真実 ー 』(編集・発行:宇部市の空襲を記録する会/1995年)
・山口県ホームページ 特集「山口県のローカル線めぐり」 JR宇部線 後編

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