小学校でプログラミング教育が導入され、「プログラミング的思考」の重要性はますます高まっています。
文部科学省の資料*によれば「プログラミング的思考」とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」とされています。
また、「児童は試行錯誤を繰り返しながら自分が考える動作の実現を目指しますが、思い付きや当てずっぽうで命令の組合せを変えるのではなく、うまくいかなかった場合には、どこが間違っていたのかを考え、修正や改善を行い、その結果を確かめるなど、論理的に考えさせることが大切」ともあります。
プログラミング教育では、このような子どもたちの論理的思考力や学習の姿勢を育てることが狙いです。
では、家庭ではどのように「プログラミング的思考」を育てれば良いのでしょうか?
子どもたちの〈遊び〉のなかに、そのヒントが隠されています。
今回は、子どもの〈遊び〉を通して、「プログラミング的思考」を鍛えられるトイ・ボードゲームを3点、最新型のロボットから温もりのある木のゲームまで厳選してご紹介します!
プログラミング導入前のお子さんや、プログラミングアプリ*以外でも論理的思考力や発想力などを育てたい方におすすめです。
目次
toio (トイオ) ロボット「キューブ」と遊べば遊ぶほど「ひらめき」が育つ
※toio「キューブ」[ソニー・インタラクティブエンタテインメント](公式サイトより)
toio(トイオ)はソニー・インタラクティブエンタテインメントから発売されています。
小さなキューブ型ロボットトイ・toio(トイオ)は、ロボット「キューブ」と一緒に遊ぶことで、”論理的思考力”や”創意工夫する力”を育むことができます。
「キューブ」は白い四角いロボットで、子どもの手のひらにすっぽり入りますが、その小さな体には無限の可能性が秘められています。
小学校で必修となったプログラミングの授業で使われているほか、2022年ロボット大賞文部科学大臣賞も受賞しており、教材としても広く活用されています。
参考:toio (トイオ)[ソニー・インタラクティブエンタテインメント] [公式サイト]
toio(トイオ)とは
※toio製品例(公式サイトより)
遊ぶときには、ロボット「キューブ」(toio コア キューブ)を中心とするtoioの本体と、toio専用タイトルが必要になります。
専用タイトルには、「トイオ・コレクション」や「工作生物 ゲズンロイド」、「トイオ・ドライブ」、「おんがくであそぼう ピコトンズ」、新感覚ボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」、「GoGo ロボットプログラミング〜ロジーボのひみつ〜」があり(2022年12月現在)、子どもの関心に合わせて選ぶことができます。
プログラミングの入り口にもなり、そのまま本格的に進めることもできます。
対象年齢は6歳からです。
toioで遊んでみた!①トイオ・コレクション
※トイオ・コレクション(公式サイトより)
「トイオ・コレクション」の「選べるあそびリスト」には、「クラフトファイター」、「リズム&ゴー」、「スカンクチェイサー」、「フィンガーストライク」、「フリームーブ」があります。
例えば「クラフトファイター」はブロックや人形、工作してつくった「ファイター」をロボット「キューブ」の上に載せて、相手を倒す遊びです。
子どもは自分の手作りの「ファイター」を改良し、その「ファイター」にどの必殺技を加えると相手に勝てるのか試行錯誤します。
※娘と私の対戦の様子(筆者撮影)
うちではレゴブロックを載せて、戦ってみました。
ファイターが倒れないようにブロックを組み替えたり、より相手を倒しやすい形に変形したり、必殺技をいろいろ試したり……。
娘(左)の方が操作が上手なので、結局娘が勝ち続けました。
ブロックや工作遊びが好きな方にぴったりです。
toioで遊んでみた!②「おんがくであそぼう ピコトンズ」
※toio「おんがくであそぼう ピコトンズ」遊び方例(公式サイトより)
「おんがくであそぼう ピコトンズ」は、音あそびから音楽の基礎、作曲体験と幅広い音楽あそびができます。
絵や言葉の上にキューブをタッチすると、音や音楽が鳴るしくみになっています。
娘は、作詞をすると歌を作ってくれる遊びで「わたしはねこがすき」の歌を作り、ずっと歌っていました。
音楽が好きな方、子どものはじめての音楽あそびを検討している方におすすめです。
※「私は猫が好き」の歌を再生中(筆者撮影)
toioのおすすめポイント
シンプルなロボットだからこそ子どもの「好き」を尊重できますし、ものづくりを自然に体験させながら、試行錯誤し、論理的思考やひらめき=発想力を育てていきます。
子どもと対決したり協力したり、親子のコミュニケーション・ツールにもなるところも魅力です。
子どもの手のひらでプルプルと動くキューブくんが小さなお友だちのようで、愛着を感じてしまいます。
ちなみに、パソコンやタブレットと無線(Bluetooth)でつないで「toio Do」というアプリを使えば、小学校の授業などでも使われるビジュアルプログラミングもできてしまうそうです!
グラビティ・メイズ 重力迷路で脳を鍛える
グラビティ・メイズは、結論から考えて組み立てる重力迷路です。
問題カードに示されているのは、スタートとゴールだけ。
プレイヤーは、ブロックを使ってスタートとゴールをつなげていきます。
ボールの通り道がふさがらないように、タワーを配置するにはどうしたらよいのか?
立体的に考え解決策を導き出す、解きごたえのある立体迷路です。
グラビティ・メイズの遊び方
グラビティ・メイズは、決められたスタートとゴールを高さや回路の異なるブロックで連結し、球がゴールまで到達する迷路を完成させる、立体迷路です。
問題カードは、初級・中級・上級・エキスパートの4段階の難易度で、全60問。
対象年齢は8歳からです。
◇問題カードに書かれている「スタート」と「ゴール」のタワーをセットします。
◇問題カードには、迷路を完成させるために必要なブロックも書かれているので、これを用いて「スタート」と「ゴール」をつなぐ経路を考えます。
◇スタートから球を入れて、ゴールにたどり着いたら成功です!
グラビティ・メイズで遊んでみた!
※筆者撮影
今回は、分かりやすいように、初心者(beginner)①の問題カードを解いてみます。
オレンジブロックがスタート、赤ブロックがゴールブロックです。
使用するブロックには、紫ブロックとグレーブロックが指定されています(ADD TO GRID)。
スタートとゴールの間には2マス空いているので、2つのブロックがそこに入ると分かります。
ブロックには球が通る通路があるので、通路同士をつなげる必要もあります。
※筆者撮影
完成した物がこちらです。
カードの裏に答えがあるので、分からないときは答えを見ながらつなげてみてください。
グラビティ・メイズのおすすめポイント
グラビティ・メイズは、〈問題解決のための筋道〉を論理的に考えるトレーニングになります。
普通の迷路は平面をたどる遊びですが、グラビティ・メイズは立体になっており、ブロックの高さも異なっているため、立体的な図形を頭に描くようになります。
色がカラフルで、おしゃれなデザインも魅力の一つですね。
コリドール・キッズ 5歳でも遊びながら「戦略」を学ぶ
戦略的思考回路を育む「コリドール」のキッズ版です。
チーズが置いてある向かい側まで自分のネズミを進め、チーズを獲得します。
遊びながら数学的ロジックを極める、エデュケーショナル・ゲームです。
対象年齢は5歳から、2〜4人で遊べます。
コリドール・キッズの遊び方
基本的な遊び方は次のようになります。
◇自分の好きな色のネズミとチーズを選び、相手と向かい合って配置します。
◇自分のターンでは、ネズミを1マス進めるか、あるいは緑色のフェンスを置いて相手の進路を邪魔します。
◇先に相手側の陣地まで進み、チーズを取りましょう!
コリドール・キッズで遊んでみた!
※筆者撮影
向こう側のチーズを、ネズミさんたちが狙っていますね。
相手を邪魔しつつ、先に進んでいきます。
対戦型ゲームですので、自分の思い通りになかなか進みません。
一手ごとに変わる戦況で、自分の勝ち筋を考え続けます。
何度も対戦するうちに、途中から娘に勝てなくなりました。
コリドール・キッズのおすすめポイント
相手が次に何をするか予測する、先読みの力がつきます。
〈勝つための最短ルート〉を自然と論理的に考えるようになり、子供用なので短時間で試行錯誤を繰り返すことができます。
戦略性の高いゲームですが、木の温もりが感じられるデザインもポイントです。
※ついネズミさんで遊んでしまう。(筆者撮影)
プログラミング的思考は遊びながら鍛えよう
「プログラミング的思考」はプログラミングの授業を受ければすぐに身に付く訳ではありません。
生活のなかで、失敗を恐れず試行錯誤したり、論理的に物事を考えたりする姿勢が身に付いているかどうかが鍵となります。
子どもたちは〈遊び〉―ものづくりやゲームで戦うなかで、自然とこの姿勢を身に付けることができます。
また、今回ご紹介した3選は親子のコミュニケーション・ツールとしても優れていますし、「脳トレ」にもなりますよ。
ぜひ子どもと一緒に遊びながら、「プログラミング的思考」を鍛えてください!
お礼:本記事執筆にあたり、「toio」:ソニー・インタラクティブエンタテインメント・田中章愛様、「グラビティ・メイズ」「コリドール・キッズ」:株式会社CAST JAPAN様より、商品画像や紹介内容についてご協力をいただきました。ありがとうございました。
ママライタープロフィール
小学5年生の娘を持つママライター(記事執筆時)。
塾講師など教育経験が長い、元大学教員の博士ママ。現在はフリーで活動中。
厳選した蔵書は300冊以上の絵本マニア。