小学生の不登校は年々増加傾向にあり、実はとても身近な問題です。
小学生の子どもを持つ保護者のなかには、不登校についての悩みを抱えている方も増えています。
この記事では、不登校で考えられる原因や親にできる対応、避けたほうがいいNG行動を解説します。
不登校は、子どもからのSOSかもしれません。
「大人はわかってくれない」なんて思われないように、焦らずにしっかり対応してあげられると良いですね。
不登校の小学生はどのくらいいる?
「小学校で子どもが不登校」などと聞いても、自分や我が子にはまだ関係ない、あるいは自分の子が不登校で悩んでいるのが特別なのではと思う保護者もいるかもしれません。
しかし、2020年度には小・中学校における不登校の児童生徒数が20万人に達し、過去最多を記録しています。
具体的な人数を知ると、思っていたより多いと感じた保護者も多いのではないでしょうか。
不登校の小中学生は8年連続で増加中
文部科学省の「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校の長期欠席者の数は、28万7,747人もいます。
さらに、長期欠席者のなかには19万6,127人の不登校児童がいます。
不登校の小学生は6万3,350人にもおよび、2019年度と比較すると1万人増加しています。
不登校の児童数は高学年になるほど増加し、不登校は誰にとっても他人事ではない規模で増えています。
参照:令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要
小学生から中学生になると不登校が増える?
中学校に進学して環境が大きく変わることも原因の一つですが、小学校の不登校児に比べて中学での不登校児の数は2倍近くも増加しています。
中学生でも、学年が上がるにつれ人数は増え続け、中学生全体で考えると100人に4人近くの子が不登校です。
小学校高学年から中学生の時期は、心と身体の成長が不安定で、同級生や家族などの人間関係の悩みを抱える子が多いのが大きな特徴です。
子どもが不登校になる原因やきっかけは
小学生が不登校になる原因やきっかけで多い理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、大きな理由になる事柄を3つ紹介します。
学校の勉強
不登校は、学校の授業がわからないことやつまらないことがきっかけになることもあります。
「先生の言っていることが理解できず学校に行きたくない」やその反対で「勉強が簡単すぎて学校に行く意味がわからない」などです。
学習障害や発達障害を持っているにも関わらず、小学校に入っても大人が気付いてあげられないケースが影響することもあります。
読字障害や書字障害は、症状の程度に大きな差があり、知的発達に遅れがない子もいるので気付かれにくく、専門家でもすぐには診断が難しいケースが多いです。
ほかにも、一生懸命話を聞いていても耳からの情報が脳に入ってこない子や、どうしても落ち着いて席に座っていられない子、関心のないことになかなか興味を持てない子もいます。
子どもに合った環境を整えることや、学習の補助など適切な支援が必要です。
人間関係のトラブルやいじめ
人間関係のトラブルやいじめも不登校の大きな理由になります。
クラス全体を巻き込むような大きないじめではなくても、からかわれた、喧嘩したなど、先生との間や生徒同士でのトラブルがきっかけになることもあります。
傷つきやすく、繊細な性格の子もいる一方、語彙が少なくて、人を傷つける発言をしてしまいがちな子もいます。
言った本人は傷つけるつもりがないことや、言われた方もうまく説明できないことで、周囲もなかなか問題に気付けないこともあるでしょう。
ほかにも、親子間や兄弟間の家庭内のトラブルや問題が影響するケースもあります。
感染症回避など健康問題
2020年、2021年と新型コロナウィルスなどで休校や学校閉鎖などが続いたことで、学校に行きにくくなるケースも増えているようです。
発表式や運動会などの行事も減り、歌や実験、調理実習などを中止している学校も多くあります。
友達との交流も限られ、学校へ行くモチベーションがなくなってきたなどの理由も増えているようです。
また、10歳頃から見られる起立性調節障害など、さまざまな病気や怪我の入院、感染症にかかったあとなどがきっかけとなり、不登校につながるケースも少なくないようです。
不登校になったときの親の対応
子どもが不登校になったとき、親はどのような対応をするのが正解なのでしょうか。
どのような子にも合う正しい対応というのは難しいですが、避けたほうがいいことや選択肢などを紹介します。
子どもの様子に合わせた対応が選べると良いですね。
まずは休ませて話を聞く
不登校の理由にもよりますが、まずはゆっくり休ませて話を聞くことが大切です。
休みたがることを責めるのではなく、「家族はみんなあなたの味方だからゆっくり休んでいいんだよ」という気持ちを感じられれば、子どももしっかり休んで切り替えられることもあります。
「テストで点数が悪かった」もしくは「からかわれた」などの理由で学校に行きたくなくなった場合でも、数日休めれば充分気持ちが回復することも。
睡眠不足やストレスで心身ともに疲れている場合もあるかもしれません。
数日ゆっくり休んで、おいしいものを食べて、くつろげる環境でじっくり少しずつ話を聞いてあげると、悩みやわだかまりが解消することもあります。
第三者や相談機関に話をする
少し休ませても不登校の理由がわからない場合、先生やスクールカウンセラー、周囲の友達の話を聞いて様子がわかることもあります。
また、親には言い出しにくいことも、おじいちゃんおばあちゃんや、習い事の先生など周囲の親しい大人や年上の友達などには話をしてくれることもあるでしょう。
気付かないうちに親の対応が子どもの重荷になっていることもあるので、第三者を交え、解決を探る方法もあります。
スクールカウンセラーや医療機関など外部に相談することで、学習障害や発達障害など、それまでわからなかった問題の可能性が明らかになるケースもあります。
その場合は、行政の発達支援やカウンセリングを受けると解決に向かうこともあります。
転校やフリースクール、ホームスクールも検討
小学校の校風や環境が子どもに合わないこともあります。
髪型や制服に関する厳しい校則で生きづらさを感じる子もいるでしょう。
不登校の理由が、学校での人間関係のトラブルやいじめ問題の場合は、引っ越しと転校、またはフリースクールや自宅学習のほうが落ち着くケースも。
いじめで転校すると逃げているような印象を受ける保護者もいるかもしれませんが、そんなことは決してありません。
可能なかぎり多くの選択肢を探り、どれが最適かよく話し合ってみましょう。
避けたほうがいいNG対応は?
避けたほうがいいNG対応は、引きずってでも行かせる、怒って無理やり行かせるなどの行動です。
「不登校=甘やかしている」などと親が責められるケースもありますが、それは違います。
子どもの気持ちを無視して無理やり行かせることは解決方法にはつながらず、悪化するケースのほうが多いでしょう。
「自分の気持ちをわかろうともしてくれない」「親には話してもムダ」だと思われ、信頼関係を築くのは難しくなるので注意が必要です。
まとめ:焦らずにじっくり時間をかけて対応を
子どもの不登校には、多くの理由があり、なかには大人がすぐ理解しがたいものもあるかもしれません。
子どもが不登校になってしまうと親の余裕もなくなり、早く解決させたいと思ってしまいますが、焦れば焦るほど問題がこじれ、親子関係が悪化してしまうことも。
不登校は子どもからのSOSだと思って、大事に受け止めてじっくり向き合うきっかけにしたほうが良いでしょう。
親も大変ですが、不登校の子どもたちにとって家庭や大人が強い味方になってあげられることを心から願っています。
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