乳幼児の頃からの癖で爪を噛んでしまう子は少なくありません。
子どもは爪を噛むことでストレスを軽減させたり、緊張を緩和させたりするともいわれています。
親としてはこの癖が気になって直したいと思うのも当然ですが、癖を直すことだけではなく、原因を突き止めることも大切です。
この記事では、子どもが爪を噛む癖がなぜ良くないのか、気長に直していく方法をご紹介します。
監修者プロフィール
すぎやまデンタルクリニック院長 杉山真一
歯科医療に携わって20年、生まれ育った岡山の街や皆様を元気にすることを目標に、岡山市南区新保に歯科医院を開院。
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爪を噛む癖は「咬爪症(こうそうしょう)」かも?
咬爪症とは、文字通り爪を噛んで(咬んで)しまう症状をいいます。
就学前の子どもや小学校低学年くらいの子どもによく見られる症状で、たいていの場合は爪を噛んでいるように見えて、実際には爪の周りの皮膚や指の皮膚も噛んでいるようです。
爪を噛むのが癖になってしまうと、爪が変形したり、かみ合わせやあごの骨格形成に悪影響を及ぼしたりすることがあります。
爪先や指の傷口から雑菌が入り、感染症になるリスクも高まります。
もしも子どもが爪を噛む癖があったら、直してもらうために親は適切に対処しなければなりません。
※出典:
漢方薬局/漢方相談/東京都池袋の一二三堂薬局 – 相談の多い病気
子どもが爪を噛む原因とは
子どもが爪を噛んでしまう原因として次の3つが考えられます。
詳しく見ていきましょう。
ストレス・不安
慣れない場所や慣れない人がいるときなど、子どもが何らかのストレスを感じているときに爪を噛むことで心を落ち着かせる子もいます。
ほかにも、自分の気持ちをうまく伝えられないとき、あるいは物事が思い通りにいかないときなどにイライラが募り爪を噛む行動に出るケースもあります。
子どもの心は繊細かつ未熟ゆえに、大人にとっては「これくらいのことで?」と思うような些細なことでも不安やストレスを感じることがあるとわかってあげましょう。
愛情不足
親が仕事で忙しいときや、下の子が生まれて以前のようにかまってもらえないときなど、愛情不足を感じているときに爪を噛むようになる子もいるようです。
爪を噛んでいると「噛んじゃダメだよ」と親に注意されます。
愛情不足が原因で爪を噛んでいる場合、そうしてかまってもらえることがうれしくて癖が直らないことがあるので注意が必要です。
単なる癖
特にストレスを感じているわけではなく愛情不足でもない場合、単純に癖として爪を噛む子もいます。
伸びてきた爪が気になったり、ささくれが気になったりといった些細なことが原因かもしれません。
このように爪を噛む癖が精神的な理由ではなかったとしても、ささくれのケアや爪をこまめに切るなどして対策することが求められます。
爪を噛む癖を直したほうがいい理由
爪を噛む癖は「なんとなく見た目が悪いから」という理由だけでなく、健康を害するおそれがあるのでできるだけ直したいものです。
下記に直したほうがいい理由を具体的に挙げてみます。
皮膚の感染症や病気になるリスクがある
爪で守られるべき皮膚が露出して、そこから雑菌が入り感染症になるリスクがあります。
場合によっては出血したり化膿したりして、傷になって残ってしまうことも。
さらには骨にまで雑菌が入り込み、重大な疾患につながるかもしれません。
子ども本人の健康を守るためにも、爪を噛む癖は早く直しましょう。
爪が変形する
咬爪症の人の爪を見ると、先端がボロボロになっていたり、爪の面積が狭く深爪になったりしていることがあります。
見た目がきれいな状態ではなくなってしまうのです。
指先は人目に触れる機会が多く、爪が変形していると手を見せることを恥ずかしく思うようになり、コンプレックスを抱えてしまう可能性があります。
歯やあごにも悪影響を及ぼす
爪噛みの癖が治らないことで前歯が閉じなくなったり出っ歯になったりと歯並びが悪くなり、見た目だけでなく、発音や飲み込みなどの機能的な面で影響が出ることがあります。
また、爪を噛むときの独特なあごの動かし方をすることから、あごの骨格形成に悪影響が出る可能性も。
上あごの骨が前方に突出した形に成長したり、本来なら上の歯が下の歯より前にいくはずが、反対に下の歯が上の歯より前に出てくる「受け口」になったりするリスクがあります。
歯並び、発音や飲み込み、あごの骨格を改善するために、将来的に矯正治療が必要になることも多くあります。
※出典:
【口腔習癖と歯並び】なかなかやめられない「爪噛み」(咬爪癖)。どうしたらいい? | ミライズ矯正歯科南青山
社団法人豊橋歯科医師会 ニュースダイジェスト 地元新聞社
爪を噛む癖を直す方法
子どもの爪を噛む癖を直すために、親は次のようなサポートをしましょう。
原因を探る
子どもはいつ、どのような状況のときに爪を噛んでしまうのか、原因を探ってみましょう。
子どもが爪を噛むタイミングをよく観察することで、ストレスや精神的な不安を感じている時がわかるかもしれません。
先述したとおり、親が仕事が忙しくてかまってあげられない、下の子の世話で手いっぱいで上の子のケアがおろそかになっているといった家庭環境のほか、クラスが変わってなじめていないなどの集団生活での変化など、さまざまな要因が考えられます。
子どもがストレスを感じている原因がわかったら、可能な限りフォローしてあげることです。
さりげなく口から手を放してスキンシップを取る
子どもが爪を噛んでいるところを見つけたら、そっと手をとって口から離してあげましょう。
「噛んじゃダメ」と言葉にすると、かえって子どもにとってストレスになるかもしれないので、何も言わずに手を握ったり、そのままハグしたりしてスキンシップを取ります。
そうすることで子どもは安心感を得られ、精神的な不安の解消にもつながります。
爪を短く切っておく
爪が長い状態が気になって噛んでしまう子もいるので、そうした場合はこまめに爪を短く切りそろえましょう。
爪を噛めなくなるほどの深爪である必要はありませんが、極力短い状態を保つよう、親がケアしてあげることです。
爪が短ければ長いのが気にならなくなり、噛むこともできない状態になれば自然と癖が直る可能性もあります。
自分で切らせずに親が丁寧に切ってあげましょう。
保護キャップや絆創膏で覆う
爪を絆創膏や保護キャップで覆い、強制的に噛めないようにする方法です。
噛む癖を直すだけでなく、指の保護にもなります。
絆創膏や指サックは100円ショップなどで購入できるので、試してみてはいかがでしょうか。
ただしこの方法で爪を噛む癖を直す場合、絆創膏や指サックが邪魔で手を使いにくくなるので、「爪噛みを直したい」という、本人の意思も少なからず必要となるでしょう。
専用のマニキュアを塗る
絆創膏や指サックが邪魔で効果がなかった場合、専用のマニキュアを塗る方法もあります。
舐めると強い苦みを感じる透明のマニキュアで、爪噛みや指しゃぶりといった癖を直したいときに使われています。
舐めるとたしかに苦くて体に悪いのでは?と心配になりますが、人体に有害な成分は含まれていません。
ただし、素手でお菓子をつまんで食べるときなど、指先が口に入って苦いと感じることがあります。
爪のおしゃれをする
女の子の場合、ママと一緒にネイルをしたり、好きなアニメキャラのシールを貼ったりして爪のおしゃれを楽しむこともできます。
きれいな爪を保ちたいという気持ちから、爪を噛む癖を直そうとするかもしれません。
子ども向けのキャラクターが描かれたネイルを活用してもいいですね。
子どもが小さいうちは休日しかできませんが、大きくなったら毎日楽しめることを伝えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
子どもが爪を噛む原因や癖を直す方法をご紹介しました。
爪噛みしているところを見つけたら原因を突き止めて、子どもの精神的なストレスを緩和させることが大事なポイントです。
爪噛みを続けることのリスクを理解してもらったうえで、子どもと一緒に爪噛みを克服できるといいですね。
上記でご紹介した爪噛みを直す具体的な方法をぜひ参考にしてみてください。
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