木枯らし1号ってなあに?どんな風なの?気になる疑問を解説します!

銀杏並木

木枯らし1号が発表されると、いよいよ冬が訪れると感じますよね。

ニュースや天気予報では風に吹かれて舞っている落ち葉や寒そうにしている人々が映るため「木枯らし1号=強い風」をイメージしがちですが、ただ強い風が吹いたから木枯らし1号と呼ぶわけではありません。

この記事では、木枯らし1号の定義や木枯らしができる仕組み、木枯らし以外の風の名前などを解説します。

知っているようで知らない木枯らし1号とは、どのような風を指すのでしょうか。

木枯らし1号とは?

丘の上の風車

木枯らし1号とは、その年に初めて吹く北寄りのやや強い風のことを指します。

冬の訪れを知らせる風として知られており、晩秋から初冬にかけて吹くのが特徴です。

気象庁が「木枯らし」を観測・発表し始めた歴史は意外と浅く、昭和になってからでした。

木枯らし1号の記録が残っているのは東京地方が1951年から、近畿地方は1980年からです。

呼び方を「木枯らし1号」として統一するようになったのは1960年以降とされています。

木枯らし1号に統一されるまでは「初木枯らし」「木枯らしNo1」などと呼ばれることもあったのだとか。

ちなみに、時期や条件を満たした風を「木枯らし」と呼びますが、発表されるのは木枯らし1号のみで2号以降は発表されません。

木枯らし1号の定義

木枯らし1号は関東と近畿で発表され、それぞれ定義が異なります。

木枯らし1号の定義は以下のとおりです。

地域東京(関東)大阪(近畿)
期間10月半ば~11月末まで10月23日頃(霜降)~12月21日頃(冬至)まで
気圧配置西高東低の冬型の気圧配置西高東低の冬型の気圧配置
風向西北西~北寄りの風北寄りの風
風速最大風速8m/s以上最大風速8m/s以上

関東と近畿とでは西高東低の冬型の気圧配置と最大風速の条件は同じですが、期間や風向が少し異なります。

なお、近畿の木枯らし1号の期間として定義されている霜降と冬至はその年によって日にちが変わるため、10月23日頃、12月21日頃としています。

ところで、なぜ関東と近畿のみで発表されるのか気になりますよね。

二つの地域が選ばれたのは、人口の多さや木枯らしの定義と合致する風が吹くことが理由とされています。

木枯らし1号が吹かない年もある

クエスチョンマークの木製ブロック

先述した条件を満たしていない風は木枯らしと認定されないため、木枯らし1号は毎年必ず発表されるわけではありません。

「期間中に強めの風は吹いたものの風速が当てはまらなかった」「風向・風速は当てはまるものの期間が過ぎていた」などの場合は、木枯らし1号が発表されないこともあります。

実際に2018年、2019年、2021年の東京地方では、木枯らし1号が発表されませんでした。

記録が残る1951年から2021年までで木枯らし1号が吹かなかった年は1959年、1962年、1977年、1979年、2018年、2019年、2021年の7回のみです。

※出典:
木枯らし1号について | 広島市江波山気象館公式ホームページ


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条件の「風速8m/s以上」はどのくらいの風?

木枯らし1号の条件の一つ「風速8m/s以上」は、どのくらいの強さなのかも気になりますよね。

気象庁が風の強さの目安を表記している風力階級によると、8.0~10.7m/sの風は「葉のあるかん木が揺れはじめる。池や沼の水面に波がしらが立つ」状況とされています。

次の階級10.8~13.8m/sでは「大枝が動く。電線がなる。傘はさしにくい」状況になります。

10~12月の寒くなる時期に吹く北寄りの風なので、気温以上に寒さを感じそうです。

実は、春先に吹く「春一番」も風速8m/s以上が条件の一つですが、春一番は南寄りの風を指すため暖かい風が吹きます。

※出典:
日本財団図書館(電子図書館) 気象海象のはなし

木枯らしができる仕組み

木枯らしができる仕組みは以下のとおりです。

  1. ユーラシア大陸で吹く冷たい季節風が、日本海の水蒸気を含みながら日本へ流れてくる
  2. その風が日本列島の中央に位置する山脈にぶつかり、日本海側で雨や雪となり水分を失う
  3. 水分を失い乾燥した風が山脈を越えて太平洋側へと吹き込み木枯らしとなる

木枯らしができるのは、季節風と日本の地形が影響しているからです。

また、木枯らしは日本列島の中心に位置する山脈を越えて太平洋側へ吹き込む風のことなので、日本海側では観測されません。

木枯らし以外の風の名前【冬】

雪に覆われた山々

木枯らし以外にも風には名前がつけられています。

「そよ風」や「つむじ風」など聞き慣れた風の名前から、「貝寄せ」「雁渡し」など一見すると風とは思えないような名前まで、その数は2000種類以上もあるそうです。

最後に冬に吹く木枯らし以外の風の名前をご紹介します。

空(から)っ風

「空っ風」は、太平洋側の関東・東海地方に吹く北西の季節風のことです。

空っ風が吹く仕組みは木枯らしとよく似ており、冷たくて乾燥した強い風が吹きます。

特に埼玉県の北部や群馬県で吹くことが多く、関東地方では「上州の空っ風」が有名です。

風速は毎秒20m程度になることもある、とても強い風が空っ風です。

玉風(たまかぜ)

「玉風」は東北・北陸地方に位置する日本海沿岸地域で北西から吹く、激しい風のことです。

「たま」は「霊魂」を意味し、亡霊が吹かせるともいわれています。

また、一時的に吹く風の意味で「玉風6時間」といわれることもあるのだとか。

まとまった風なので「束風(たばかぜ)」と呼ばれることもあり、この風が吹くと陸では豪雪、海上は大しけとなります。

おろし

おろしは山から吹き下ろす冷たい強風のことを指します。

「筑波おろし」「六甲おろし」など、地域によって異なる名前で呼ばれることも。

一般的には太平洋側に吹き下ろす強風のことで、日本海側では山から吹き下ろす風を「だし」と呼ぶことがあります。

おろしやだしが吹くのは、大気が安定している、山から流れ込む大気が山麓よりも冷たい、急斜面など条件が揃ったときです。

まとめ

木枯らし1号とは毎年10~12月に吹く、北寄りの冷たい風のことです。

木枯らし1号には期間や気圧配置、風向、風速の定義があり、条件を満たした風のみが関東・近畿地方で発表されます。

ただし、条件を満たした風が吹かない年もあるため、毎年必ず発表されるわけではありません。

何気なくニュースで見ていた木枯らし1号も、定義を知るとおもしろいですよね。

木枯らし1号のニュースが流れたら、子どもと一緒に風の名前を話題にしてみるのも楽しいのではないでしょうか。


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