高校受験は、多くの子どもたちにとって、自分で進路を決める初めての機会です。
受験生の親が集まると「うちの子はどこの高校に行きたいか何も考えてなさそう」「受験のことを真剣に考えてない」といった話になりがちですが、子どもの声を聞くと「何から考えれば良いのかわからない」というケースも多いようです。
この記事では、体験談を交えつつ、志望高校を決めるポイントを紹介します。
※全国の高校に対応する内容を心がけていますが、体験談は筆者が在住している福岡県の高校の情報が元になっています。
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目次
ママライタープロフィール
15歳と18歳の息子を持つ福岡在住のライター。(※原稿執筆時)
情報誌勤務を経てフリーランスのライターとして活動中。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、興味のおもむくままに楽しんでいます。
息子たちには野球マニア、潮干狩りのプロと呼ばれています。
選択肢はたくさん!高校の種類とは
文部科学省がおこなった令和2年度の調査によると、高校生の91.3%は全日制の高校に通っています(定時制2.4%、通信制6.3%)。
また、高校全体の56.1%が普通科で、総合学科(5.7%)や専門教育を主とする学科(38.2%)に対し過半数を占めています。
そのため「高校=全日制の普通科高校」をイメージしがちです。
しかし、実際には
- 運営母体によって「国立」「公立」「私立」
- 学ぶスタイルによって「全日制」「定時制」「通信制」
- 学ぶ内容の専門性によって「普通科」「総合学科」「専門学科」
などがあり、どのような高校生活を送り、将来どのような仕事に就きたいかによって多くの選択肢があります。
学年による教育課程の区分を設けない「単位制高校」も全日制、定時制、通信制で導入されています。
また、国立高等専門学校は5年制で、卒業すると準学士の称号を得ることが可能です。
総合学科とは?見学した感想
総合学科は、幅広い選択科目の中から生徒が科目を選んで時間割を作る点が特徴で、学びの中で自分の適性を見つけることができます。
私が見学した高校では、高校卒業に必要な履修必修教科のほかに、中国語やファッションデザインなど、普通科の高校では開講されていないような教科を選択することができました。
生徒によって選択する教科が違うので、クラスメイト全員が揃うのはホームルームだけだと聞き、大学のようなイメージを持ちました。
専門学科とは?見学した感想
専門学科には、「理数」「英語」といった特定の科目を深く学ぶ学科や、「商業」「工業」「農業」「福祉」「看護」などの職業系の専門学科、「音楽」「美術」などの芸術系学科があり、専門的な知識を習得したり、検定資格を取得できたりする点が特徴です。
私が見学したのは工業高校。
以前は9割以上が男子生徒でしたが、女子生徒の割合が年々増えていると聞きました。
クラス全員が資格試験に合格した際のクラス写真を見せてもらいましたが、同じ目標に向かって仲間と切磋琢磨できる良い環境だなと感じました。
見学した工業高校では、卒業後の就職率の高さをアピールされていたのも印象的でした。
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将来どうなりたい?卒業後の進路によって志望校の決め方は変わる
「志望高校を決めるのも難しいのに、高校を卒業したあとのことまでイメージできない」と思うかもしれませんが、大学や専門学校に進学するか、就職するかは漠然とでも考えておいたほうが良いです。
というのも、進学する高校によって進学率や就職率が大きく異なるから。
前出の調査によると、専門学科では半数近い46.9%が卒業後に就職しています。
一方で、普通科では卒業生のうち8.5%しか就職していないことを考えると、就職を希望するなら専門学科が有力な志望先になりそうです。
専門学科から大学・専修学校に進学している方も50.2%いるので、進学できないわけではありません。
しかし、普通科と専門学科はカリキュラムが違うため、大学受験をするときに受験できる学科が限られる場合もあります。
指定校推薦枠・系列大学への内部進学も考える
高校受験の段階で行きたい大学が決まっているなら、指定校推薦や系列大学への内部進学の視点から選ぶ方法もあります。
指定校推薦とは、大学が指定した高校の生徒のみ出願できる推薦入試です。
推薦枠は各校数名しかないため、高校内の競争率は高め。
どの学校でも指定校推薦枠があるわけではないので、進学実績を見たり、説明会に参加したりして確認しておきましょう。
私立大学の附属高校では、系列大学への内部進学枠が設けられています。
行きたい大学が決まっている場合は、附属高校に入学することで大学受験の負担を減らせる可能性があります。
高校で何がしたい?高校生活をイメージする
「高校で何をしたいか」「どんなことを頑張りたいか」をイメージすることも志望校を決める際の助けになります。
部活に入って頑張りたいと思うなら、希望する部活動の有無や、部活動と勉強を両立しつつ通える距離にあるかなどを考慮すると良いでしょう。
中学までに部活動やクラブチームで良い成績を修めている方は、進学を希望する高校の部活動の成績や、中学まで続けていた部活動で推薦入学できるかも要チェックです。
その他にも、高校生のうちに留学をしたいなら、留学制度が整っている学校を、理数系の勉強に力を入れたいなら、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)に認定されている学校を選ぶなどの決め方があります。
自分に合ったレベルで学ぶなら「偏差値」が役立つ
志望校は、前述の方法+偏差値で決める方法が一般的です。
模試を受けると自分の偏差値と志望校の偏差値を知ることができ、合格の可能性がどれぐらいあるかがわかります。
自分の偏差値に合った学校を選ぶと、似た学力の生徒が集まっているので、レベルに合った学習ができます。
周囲の生徒と目標とする進学先が似ていることも多いです。
「譲れないこと」「譲れること」をはっきりさせる
自分が通う高校に対して、譲れないことと譲れることをはっきりさせておくことは大切です。
「通学時間がかかるのは嫌」と思っているのに遠方の学校を選んだり、「運動部が活発な学校に行きたい」と思っているのに設備が整っておらず、週に数度しか部活動の練習ができない学校を選んだりして、入学後に後悔することがないようにしておきましょう。
わが子は、併願する私立高校を決める際に、特進クラスのあるA高校と特進クラスのないB高校で迷っていました。
話を詰めていくと「A高校の特進クラスに入れるならA高校に行きたいけれど、入れないならB高校に行きたい」「特進クラス以外ならA高校には行きたくない」と思っていることがわかったため、B高校を受験しました。
A高校の特進クラス合格が確実ではなかったためですが、親子でしっかり話し合ったことで、納得して受験することができました。
オープンスクールや説明会は必ず行く
気になる高校をいくつかに絞ったら、オープンスクールや説明会に必ず行きましょう。
校風や先生の雰囲気は学校に行って触れ合ってみないとわかりません。
オープンスクールや説明会では過去問を配ったり、模擬授業をおこなったりする高校もあります。
運動会や文化祭に行くのもおすすめです。
行くことで勉強のモチベーションが高まったり、「イメージと違うから別の学校にしよう」と判断したりできます。
また、実際に行くことで通学に要する時間やアクセス方法もわかります。
我が家では親子で公立高校2校、私立高校2校の説明会と、志望校がブース出展していた学区説明会に行き、子どもだけで第一志望の高校の運動会と文化祭に行きました。
その他に、中学校が保護者を対象とした説明会バスツアーを組んでくれたため、それにも参加し、親だけで6校を回りました。
結果として10校以上を見ましたが、学校によって雰囲気や力を入れているポイントがまったく異なることがわかり、参考になりました。
先生や先輩の話を聞こう
オープンスクールや説明会では、先生や在校生と話せる場を設けていることが多いです。
特に在校生と話せる場は、生の声を聞ける絶好のチャンス。
私が説明会に参加した高校では、個別ブースで在校生と話せるようになっていました。
周囲に先生はおらず、忖度なしのリアルな話を聞ける状態です。
様子を見ていると、恥ずかしがって質問に行けない中学生が多いのですが、在校生側は「何でも教えてあげよう」とウェルカムな姿勢でいるのが印象的でした。
「厳しい先生はあまりいないけど、予習をしっかりしておかないと授業についていけなくなるよ」「毎朝、英語のリスニングの時間があって、力を入れてる」「体育祭は先生がノータッチ。自分たちで何でもやるから楽しいよ」など、在校生だからこそわかる話を聞かせてもらえます。
受験方法を選ぶ
志望校が決まったら、受験方法を確認しましょう。
多くの学校が、専願、推薦、併願など複数の受験方法を用意しています。
専願は私立高校でおこなわれる受験方法で、1校しか受験しない代わりに、合格したら必ずその学校に進学することが前提になっています。
一般入試で受験するよりも難度が下がるケースが多く、早い段階で合格を決めることができますが、合格すると基本的に辞退はできません。
推薦入試には、中学校長の推薦が必要な「推薦入試」と、基本的に推薦の必要がない「自己推薦型入試」がありますが、すべての学校でおこなわれているわけではありません。
通常の推薦入試では、推薦する生徒を中学校内で選抜するため、推薦入試を希望するなら、早めに中学校に相談しておきましょう。
専願、推薦ともに一般入試に先んじておこなわれるため、受験の意思を早めに固めておく必要があります。
志望校選びは、早いうちから始めておくに越したことはありません。
たくさんの情報をもとに納得して決めよう
高校に通うのは子ども自身。
子どもが「ここに行きたい」と思える高校を見つけ、納得して受験できることが理想です。
記事中で紹介したポイントを参考に、親子でたくさんの情報を集め、志望校選びに役立てましょう。
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ご家族でのお引越しの際、ぜひお気軽にご活用くださいね。
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