ママやパパの視力が悪いと、子どもにも影響があるのではないかと心配になる親御さんもいるでしょう。
眼鏡やコンタクトで矯正できるにしても、裸眼で不便なく生活できるならそれに越したことはありません。
この記事では、子どもの視力が悪くなる原因や視力低下を予防する方法などを解説します。
また、子どもの視力矯正器具に関するよくある疑問点もまとめてあるため、眼鏡やコンタクトを購入の際はぜひ参考にしてください。
目次
子どもの約3割が裸眼視力1.0以下
文部科学省では、子どもの発育や健康状態を明らかにするため、幼稚園や学校を通して調査をおこない、健康診断結果を公表しています。
同省の「令和2年度学校保健統計調査」によると、小学生の37.52%が裸眼視力1.0以下であることがわかりました。
年齢が上がるごとに裸眼視力1.0未満の子どもの割合は増えて、小学6年生では約半数の49.47%となっています。
平成27年の調査では、小学生の裸眼視力1.0未満の割合は30.97%で、その後、毎年増え続けています。
小学校入学前の5歳の子どもの裸眼視力1.0未満の割合は27.90%ですので約4人に1人、小学校卒業の頃には約2人に1人という結果です。
このことから、小学生の間にかなりの人数の視力が低下していることがわかります。
※出典:
令和2年度学校保健統計調査の公表について
子どもにメガネをかけさせる視力の目安
裸眼視力が1.0未満だからといって、すぐに眼鏡が必要になるわけではありません。
一般的に、眼鏡の使用を検討する視力の目安は0.6以下といわれています。
学校の視力検査は、A.B.C.Dの4段階で、見えているかどうかをおおよそ測定する方法でおこなわれます。
検査結果でB以下の場合に、学校から保護者宛に要眼科受診と通知されます。
受診の結果、必要であれば眼鏡を作ることになるでしょう。
目の病気が隠れている可能性も否定できないため、視力だけで判断せず、見えにくそうだと感じたら早めに眼科の受診をおすすめします。
※出典:
子供の視力が悪いといわれたら | 古川中央眼科
学校検診・メガネはいつから?
近視のメカニズム
近視とは、簡単にいえばカメラのレンズの焦点が合わずピンボケに見える状態です。
イラストが示すとおり、目に入った光は角膜と水晶体を通り、屈折して眼球の奥の網膜上で焦点が合うことによりハッキリとモノが見えるようになっています。
ただし、屈折率が大きかったり、眼球の形が前後に長かったりした場合、焦点の位置が網膜よりも前になるため、実際に見えるモノはピントがボケた状態です。
イラストのように、焦点の位置が網膜よりも手前になる状態を近視、網膜よりも後ろに焦点が合う状態を遠視と呼びます。
病気が原因でない限り、眼鏡やコンタクトレンズで光の屈折率を調整して網膜上に焦点を合わせれば、モノがハッキリと見えるようになります。
※出典:
近視とは?|日本近視学会 Japan Myopia Society
近視になるメカニズム | 親子で学ぶ近視予防サイト | 日本近視学会監修の予防サイト
子どもの視力が悪くなる原因とは?
視力が悪くなる原因は正確には解明されていませんが、「遺伝的要因」と「環境要因」の2つが関係すると考えられています。
昨今に多いスマートフォンやゲームなどの利用も、環境要因の一つと見られています。
特に、スマートフォンデビューや携帯ゲーム機利用の低年齢化が進んでいることで、子どもの視力への影響を危惧する声も増えました。
しかし、ゲームばかりしている子どもでも、近視になる子とならない子がいます。
昨今特に多いのが、若年層のスマホ老眼です。
子どもでも手元ばかりを見続けているため、目に負担がかかりピント調節機能がスムーズに働かなくなることが原因です。
そのままでは、近視の進行や強度近視の原因になるため、気をつける必要があるでしょう。
また、最近の研究では、日光に当たる時間が短いと近視になりやすいことがわかっています。
近視の多いアジアの国では、子どもの外遊びを推奨する政策が採られています。
※出典:
子供の視力が悪いといわれたら | 古川中央眼科
近視になるメカニズム | 親子で学ぶ近視予防サイト | 日本近視学会監修の予防サイト
子どもの視力を落とさないために親が気をつけること
では、実際にママパパは子どもの視力が落ちないよう、どのように気をつけたら良いか、以下に解説します。
適度に目を休ませる
目は、近くや遠くを見るとき、水晶体の厚みを調節してピントを合わせています。
その働きに欠かせないのが毛様体筋です。
毛様体筋は近くを見るときに筋を収縮させて水晶体に厚みを出しているため、近くを見続けていると毛様体筋の緊張状態が続くことになります。
そのままでは、ピント調節機能である毛様体筋に負担をかけることになり疲労しやすくなるため、機能が衰えてしまい悪影響が出るのです。
テレビ、スマートフォン、パソコン、ゲームなど、近くで画面を見るときは、30分に10分程度は休憩して目を休ませましょう。
また、休憩中は窓から遠くを見たり、目を温めたり、眼球を回したりして毛様体筋の緊張をほぐすのがおすすめです。
ゲームなどに熱中している子どもは、目の酷使に自分で気付けないため、ママパパが「休憩しよう」「窓からあの木を眺めよう」などと声かけをしてあげてくださいね。
勉強や読書は適切な照明と正しい姿勢で
毛様体筋が緊張状態になるのは近くを見るときです。
つまり、スマートフォンやゲーム以外の勉強や読書などでも、熱中して長時間同じ体勢で続けるのはよくありません。
顔を近づけすぎないよう30cm以上離して姿勢をよくすることを心がけるとともに、適度に休憩を挟むことをおすすめします。
照度は300ルクス以上にして十分な明るさを確保してください。
ただし、あまりに明るすぎても目が疲れる原因になります。
部屋全体の照明とデスクライトを併用すると良いでしょう。
日光を浴びさせる
日光に当たることが近視を予防するといわれているのは先述のとおりです。
昔に比べて家庭内での娯楽が増えたためか子どもの外遊びが減少し、近視が増えています。
日光に当たらないこともありますが、狭い空間のなかでは遠くを見る力も養われないでしょう。
木陰など直射日光に当たらない場所でも良いので、1日に2時間は外で過ごす習慣をつけるのがおすすめです。
外遊びで体を動かすことは、緊張した毛様体筋や外眼筋をほぐすなど目にも良い影響があります。
子どもの視力に関するQ&A
子どもの視力に関して、多くのママパパが感じているよくある疑問と回答を紹介します。
Q.子どもにもブルーライトカット眼鏡をかけさせたほうが良い?
A.小児へのブルーライトカット眼鏡の使用は推奨されていません
パソコンやスマートフォン、携帯ゲーム機などの液晶画面から発するブルーライトが気になる方もいるでしょう。
ブルーライトは、太陽光や電球にも含まれています。
太陽光を浴びることが近視の抑制にもつながると説明したため、矛盾を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際に、日本眼科学会や日本小児眼科学会などの科学的観点では、液晶画面が発するブルーライトは微弱であり、網膜に障害を与えるレベルではないと考えられています。
それよりもむしろ、子どもの近視進行を抑えるためには太陽光は有用であり、日中にあえてブルーライトをカットすることは有害であるとの見解を示しています。
よって子どもの発育に悪影響を与えかねないブルーライトカットの眼鏡は不要です。
Q.何歳からコンタクトレンズが使える?
A.中学生以上としている眼科が多いようです。
見た目を気にしたり、球技やダンスで激しく動いたりするため、眼鏡よりコンタクトレンズのほうが適しているのではと考える方もいるかもしれません。
コンタクトレンズの使用開始年齢に特に制限はありません。
ただし、コンタクトレンズは高度管理医療機器にあたり、適切に取り扱いできないと人体に重大なリスクが生じる恐れがあります。
眼科医の判断にもよりますが、着け外しや衛生面から小学生には許可しないケースが多いです。
万一、使用許可が出ても、必ず眼科を受診し、定期検診も受けなければなりません。
また、コンタクトレンズを使用するにしても、結局は眼鏡も必要になります。
Q.眼鏡をかけると近視が進むって本当?
A.眼鏡をかけて近視が進むことはありません。
「眼鏡の着脱を頻繁におこなうのは近視の進行を早める」というのも迷信です。
ただし、自分の度数に合っていない眼鏡を使っていれば近視が進む可能性があります。
見えにくい状態で目を細めてモノを見ることにより、ピント調節機能の働きをする毛様体筋を酷使するほうが、視力低下のリスクが高まります。
例えば大人でいうと、運転用に遠くを見やすくする眼鏡とパソコン作業用の眼鏡とでは、レンズの度数が変わって当然です。
遠くを見るための眼鏡で近くを見ると、毛様体筋が常に緊張を強いられるので疲労しやすく、近視が進む原因になると考えられます。
子どもは身体の成長とともに、裸眼視力も変化しやすく安定しないともいわれています。
定期的に検査をして、その時どきに応じた眼鏡を作ってあげてくださいね。
※出典:
【メガネ屋監修】メガネをかけると目が悪くなるのは本当?!徹底解説! : メガネスタイルマガジンOMG PRESS
まとめ
子どもの目の健康には、一番身近にいるママパパが積極的に声かけをして、近視にならないよう、あるいは近視の進行を少しでも遅らせられるよう手助けしてあげてくださいね。
積極的に外に出て太陽光を浴びる機会も設けましょう。
近視とわかった場合は、早めに眼鏡を作ってモノがハッキリと見える世界を体験させてあげてください。
我が子に不自由な思いをさせずに、もっと早く眼鏡を作ってあげれば良かったという声もあります。