夏休み明けは不登校になりやすいタイミングということをご存じでしょうか。
夏休みを思い切り楽しんでいる子どもも、少し元気がないように見える子どもも、2学期が始まったときにきちんと学校へ行けるのかと、親としては気になるところです。
子どもたちは、どのような理由で不登校になるのでしょうか。
この記事では、子どもが発するSOSや、SOSが出たときの対応方法をご紹介します。
子どもの不登校問題が気になっている方は、ぜひチェックしてみてください。
「不登校」ってどういう状態?
文部科学省では、以下のポイントによって不登校を定義しています。
- 何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因や背景によって登校しない、あるいは登校できない状況にある
- 年間30日以上欠席している
- ただし、病気や経済的な事情による者を除く
ケガや病気で入院する場合などに、長期間の欠席をしなければならないことがありますが、それは不登校ではない、ということですね。
※出典:
不登校の現状に関する認識
小学生の不登校は63,350人
文部科学省の「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、小学校では不登校の児童が63,350人いることがわかっています。
これは、日本の全児童の1%に当たる数字です。
過去にさかのぼって見ると、平成27年(2015年)の不登校児童は27,583人で全児童の0.42%でした。
それ以降、不登校の児童は人数も全体のなかでの割合も増え続けています。
なお、これは病気や経済的理由、新型コロナウィルス感染回避による長期欠席を含まない「不登校」の人数です。
※出典:
R2児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(P.67)
夏休み明けに子どもが不登校になりやすい理由
実は、夏休み明けは子どもが不登校になりやすい時期です。
それは、なぜなのでしょうか。
続いて解説します。
生活リズムが戻せない
長期休みの間は、朝早く起きる必要がなくなり、夜更かしが増えがちです。
そうなると、新学期になっても夜型の生活から戻れない場合があります。
夜眠れなかったり、朝起きるのがつらかったりする様子が見られたら、生活リズムの乱れを考えましょう。
生活リズムの乱れは、自律神経の乱れにもつながります。
そして、自律神経の乱れは体調面へ悪影響を及ぼすこともあり、学校へ行くのを嫌がる原因の一つへと発展しかねません。
1学期は大変だったと休み中に気が付く
1学期は新入学や進級によって環境が変わったばかりで、子どもたちも気が張っています。
気が張っていると、忙しいことや大変なこと、自分がストレスを感じていることなどに気付きにくくなります。
そして、夏休みになってようやく一息つける状況になると、実は自分が学校でがんばっていたことに気が付くのです。
「学校が大変だった」と自覚した子どもは、また大変な思いをするのが嫌で学校に行きたくなくなってしまいます。
新学期をがんばるための元気が溜まっていない
先にお伝えしたとおり、1学期の間は知らず知らずのうちに気を張ってがんばっていた、という子どもは少なくありません。
しかし、多くの子どもは夏休みの間にリラックスし、また元気を取り戻すことができます。
休み中に疲れやストレスを癒して、2学期から登校するための元気をチャージできれば、また今までどおりに学校へ行けるはずです。
しかし、1学期の疲れやストレスが強かった場合、パワーを十分に溜められず、学校に行く元気が出ないこともあり得ます。
親が見逃してはいけない子どもの不登校サイン
子どもに不登校のサインが表れたとき、親は見逃さずにキャッチしてあげたいものです。
続いては、親に気付いてほしい、子どもの不登校のサインをお伝えします。
眠れない・起きられない
睡眠に問題がある場合、ストレスが原因となっているかもしれません。
強いストレスのために寝付けなかったり、朝起きられなかったりする場合もあります。
また、睡眠不足は自律神経の乱れやうつ病など、より深刻な状態を引き起こしかねません。
早寝早起きが必要なくなった夏休み中に、夜更かしが常態化してしまう子どもは多いものです。
しかし、学校が始まっても早起きができない場合は、単純な生活リズムの乱れではなく、心のなかに潜む学校への抵抗感のために起きられない可能性もあります。
体調不良を訴える
子どもが頭痛や腹痛、吐き気などを訴える場合も気を付けてください。
それらの症状は、ストレスが体調不良となって現れている可能性があるためです。
風邪や胃腸炎などではないのに、食欲不振になってしまうこともあります。
子どもたちのなかには、体調不良を不安に思う子どももいるでしょう。
そのような不安を口にしているときは、病院を受診して医師の診断をもらい、安心させてあげることも大切です。
口数が減る
「学校に行かなきゃいけないことはわかっているけれど、行きたくない……」といった具合に、子どもも本当は学校へ行くべきだとわかっています。
しかし、何らかの悩みを抱えているために学校へ行けない、または行きたくないのかもしれません。
そのような気持ちを家族に言えないで抱えていたり、うまく説明できなかったりする場合、親や兄弟との会話が減ったり接触を避けてしまったりするケースがあります。
夏休み明けに不登校サインが見られたら?
ここまで解説してきたような不登校のサインが出てきたら、親はどうしたら良いのでしょうか。
続けて解説します。
注意深く見守る・話をよく聞く
もしも子どもが「学校に行きたくない」と言い出したら、理由をそれとなく聞いてみましょう。
ただし、あまり話したがらないときは、無理に聞き出そうとしないでください。
その代わりに、じっくりと子どもの様子を見ていましょう。
子どもの言動に注意を向けていれば、どのような悩みを抱えているのかわかることもあります。
そして、まずは1日ゆっくり休ませてあげましょう。
自分の気持ちを親が聞き入れてくれたことで満足し、次の日には本人の気持ちやパワーが回復する場合もあります。
しかし、そうではない場合もあるので、引き続き休んだほうが良いかどうか子どもを見守り、見極めることが必要です。
無理に登校させない
子どもが学校に行きたがらないと親は焦ってしまいがちですが、無理に行かせるのはやめましょう。
いやいや学校へ行って、余計にダメージを受けてしまうこともあります。
子どもが行きたくないと言うならば、「無理して行かなくていいよ」と子どもにはっきり伝えてあげると安心します。
やってはいけないのは、「学校に行かないなら家で勉強をしなさい」と言うことです。
何らかのストレスを抱えて学校に行きたくない状態なのであれば、家では好きなようにのんびり過ごさせてあげるのが大切です。
学校や専門機関へ相談する
1日や2日では学校へ戻る気が起きず、休みが長引きそうなら学校に相談をしてみましょう。
相談相手は担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭などで、信頼のおける先生に話をしてみてください。
また、各自治体にも相談窓口があるため、学校以外の専門家を頼る選択肢もあります。
第三者に相談をすると、子どもの様子や今後に関するママやパパの心配事も相談できるのでおすすめです。
自分たちだけで悩まずに、たくさんの子どもたちを見てきたプロに相談してみてください。
まとめ
夏休み明けに不登校になりやすいのには、いくつかの理由があります。
夏休みに生活リズムが乱れてしまったときや1学期にがんばり過ぎてしまったとき、そのがんばりによって疲れた心と体が癒されていないときです。
そのようなとき、子どもたちは「学校に行きたくない」と言い出すかもしれません。
「子どもが不登校になるかもしれない」と思うと親もドキドキしますが、無理に学校へ行かせたり家で勉強させようとしたりせず、まずはゆっくりと家で休ませて、子どもの様子をよく見守ってあげましょう。
そして、必要であれば学校や専門機関などに相談してみることをおすすめします。