思春期の男の子は、口数が減って干渉を嫌がり、コミュニケーションを取るのが難しくなります。
一方で、この時期は、受験や進路など親子で話し合わなければならない問題が増える時期です。
コミュニケーションが大切な時期なのに、話し合いができないジレンマに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中3と高3の男子を育てる筆者が、思春期男子とコミュニケーションを取るコツを、体験談をもとに紹介します。
一つのケースとして参考になるとうれしいです。
目次
ママライタープロフィール
中学生と高校生の息子たちを子育て中のママライター。(※原稿執筆時)
息子たちの興味に合わせて、鉄道、天体観測、自学などを楽しんできましたが、思春期になったいま、息子との会話は専らスポーツ観戦です。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、種類を問わず興味のおもむくままに楽しんでいます。
思春期とは
思春期は、周囲の影響を受けながら精神的に発達し、一人の大人としての自分を確立する大切な時期です。
この時期の子どもは、親から自立したいという欲求と親元から離れる不安で揺れ動きます。
反抗的な態度をとったかと思うと、甘えて見せるなど、矛盾した態度(両価性)をとることも特徴です。
子どもの変化や、気まぐれな態度に親は戸惑いがちですが、実は戸惑っているのは子どもも同じ。
第二次性徴による身体の変化や、性的エネルギーの増大、友人関係など、思い悩むことが増え、なかには問題行動や身体的・精神的な症状が出現するケースもあります。
親は、単なる問題行動ととらえるのではなく、子どもを理解し、サポートすることが求められます。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット|思春期のこころの発達と問題行動の理解
思春期男子の特徴は「口数が減る」「干渉を嫌がる」
こころの発達面からみた思春期とは、小学校高学年から高校生年代です。
男子は女子に比べると、口数が少ない傾向がありますが、思春期になると輪をかけて無口になり、問いかけを無視して部屋に引きこもってしまうケースも珍しくありません。
親は子どもの素っ気ない態度に寂しくなったり腹が立ったりしますが、何より困るのはコミュニケーション不足によって必要な情報を得られなくなることです。
思春期の男子とコミュニケーションを取る目的を改めて考える
思春期真っただ中にいる本人は、理由のわからないイライラや衝動に振り回されています。
子どもの変化は成長過程において必要不可欠なものなので、親は子どもを変えようとするのではなく、親自身の対応を変化させる必要があります。
冷静になり、子どもとコミュニケーションをとる目的は何かを考えてみると、うまくいくかもしれません。
「学校の連絡事項を伝えてほしい」「進路の話をしたい」など、コミュニケーションを取る目的が定まれば、素っ気ない対応や極端な口数の少なさにも平常心で対応できるでしょう。
ちなみに私自身がコミュニケーションを取る目的は「普段は話してくれなくても、困ったときに相談してもらえる相手でいること」です。
思春期男子とのコミュニケーションを取るコツとは
口数が減り、ぶっきらぼうになるのは「そういうものだ」と受け止め、いちいち過剰に反応しないようにしましょう。
もちろん、他の人に対する態度として問題がある言動は冷静に指摘して叱るべきですが、「態度が悪い」と感情的に怒鳴るのでは心に響かないことが多いようです。
友人や学校のことなど、子どものテリトリーに関する話題は、デリケートです。
根掘り葉掘り聞こうとするほど「干渉されている」と感じて心を閉ざしてしまうので、「子どもは自分が言いたいことは言うが、親が知りたいことは聞けない」と割り切ることも必要です。
【体験談】学校の連絡事項は必ず伝えてもらう
中高生になると学校と親が直接連絡を取る機会が減ります。
情報の橋渡しとなるはずの子どもは思春期真っ只中。
子どもが何も話してくれず、不安になることもあるでしょう。
そんななかで、貴重な情報源となるのが学校からの手紙です。
周囲の話を聞いてみると、学校からの手紙を親に渡さない思春期男子は多い様子。
我が家も、息子が学校からの手紙を「親に渡すべきもの」「渡さなくていいもの」に分け、一部しか渡してくれない時期がありました。
そこで「『保護者各位』と書いてある手紙は絶対に出すこと」を約束し、それ以外の手紙は息子に任せることにしました。
息子の判断を尊重し、親の要望を伝えたことで、「保護者が判断しなければならない部分もある」ということを納得して受け入れたようです。
【体験談】「教えてもらう」スタンスを取る
できることなら、子どもと楽しく話をしたい。
そこで親がやりがちなのが「自分(親)はよく知らないけれど、中高生の間で流行っているらしいもの」を話題にすることです。
「●●っていう曲が流行っているんでしょ?」
「××っていう人、人気なんだよね?」
うまくいくケースもあるかもしれませんが、干渉を嫌がる思春期男子のなかには露骨に拒否反応を示すケースもあります。
思春期男子はテリトリーをしっかり守ろうとするので、雑談の糸口はなかなかつかめませんが、「自分(親)も興味があることで、息子の方が詳しそうなこと」を質問すると話が弾みやすいです。
ポイントは、親が本当に興味を持っている話題であること。
私はスポーツ観戦が好きなので、サッカーに詳しい息子に選手の特徴や戦術の意味を聞くことがよくあります。
家にいるほとんどの時間は自室に閉じこもっている息子ですが、このときはとても楽しい会話ができます。
【体験談】子どもの話は「傾聴」を心がけてひたすら聞く
思春期の男子と話すときは、傾聴に徹すると話を引き出しやすいです。
傾聴(積極的傾聴)とは、相手の立場に立ち、相手の話を否定せずに、真摯な態度で話を聞くコミュニケーション手法。
アメリカの心理学者・ロジャースが、多くのカウンセリング事例から有効だった事例に共通した3つの要素をまとめたものです。
3つの要素とは
- 共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。- 無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。- 自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。
傾聴を心がけて会話をすると、話し終えた息子がすっきりした表情をしていることに気付きました。
親が聞き出そうとしたときには聞けない、思いがけない話を聞けることも多いです。
【体験談】子ども以上に悩まない
幼少期の子どもの悩みは、親の介入が必要なケースが多いですが、思春期になると必ずしもそうではありません。
子ども自身に問題を解決する力がついていることを信じ、見守ることも必要になります。
しかし、わかっていても心配なのが親というもの。
私自身、息子がぽろっと口にした友人とのできごとに過剰に反応してしまい「もう話さない」「言いたくない」と言われたことがあります。
それ以来、子どもの悩みを知っても平常心を保ち、悩みが多い思春期の息子のガス抜きができるよう、心がけています。
「親が心配する姿を見たくないから、悩みを打ち明けるのはやめよう」と思われてしまい、子どもの相談相手になれなくなると、本当に助けが必要なときに力になれないからです。
子どもの悩みを知って平常心を保つのが難しいときにも、傾聴が役立っています。
【体験談】親の体験談は「失敗エピソード」がウケる
「私が中学生の頃は……」と親の体験談を話して、嫌な顔をされた経験がある方は多いのではないでしょうか。
我が家だけかもしれませんが、成功エピソードよりも、失敗エピソードのほうが息子たちの食いつきがよく、話が盛り上がります。
「だからあなたも失敗しないように……」と続けると説教じみて嫌がられるので、単なる思い出として話すのがコツです。
子どもの変化に合わせて親も変化を
不愛想に見える思春期男子ですが、親に聞いてもらいたい話がないわけではありません。
思春期に合わせて親も対応を変え、子ども扱いを変えると、コミュニケーションが取りやすくなることがあります。
思春期になっても子ども自体の性格や人間性が変わるわけではないので、放置してしまうのではなく、諦めずに子どもとのコミュニケーションを取ることが大切です。
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