今どきの小学生は意外と忙しく、学校から帰ってくると、塾へ行ったり、習い事へ行ったりしている子どもも多いでしょう。
共働き家庭も増えているので、家族全員で生活が夜型にシフトしてしまっているケースもあります。
また、親の不在中に子どもが家に1人でいる家庭では、子どものスマートフォン使用や、ゲームが常態化していることも……。
スマートフォンやゲームは夜更かしの一因ともなっています。
子どもの睡眠時間の長さは、学力や成長にも関わる大切な要素です。
気になる方は、ぜひこの記事を読んであらためて見直し、そして必要ならば改善してみてください。
目次
小学生の理想の睡眠時間は8~10時間
学校に行く時間から考えて、毎日の起床時間が決まっている子どもも多いでしょう。
もし、朝6時に起きなければいけない子どもの場合、就寝時間はさらに逆算して夜8時が理想です。
しかし、同じ小学生とはいっても、1年生と6年生とでは生活内容もだいぶ違ってくるものです。
放課後のスケジュールや、家でしなければならないことなども異なります。
必要な睡眠時間には個人差もあるので、子どもの様子を見つつ、成長に合わせて寝る時間を決めてみてください。
睡眠時間が小学生の【学力】に与える影響
睡眠時間と学力の関係は、国内外を含めて多くの調査がおこなわれています。
ここでは、2003年に広島県教育委員会より発表された「『基礎・基本』定着状況調査報告書」の内容をもとに、睡眠と学力の関係をお伝えしていきましょう。
調査は小学5年生を対象としておこなわれました。
内容としては、国語および算数の試験点数と睡眠時間との関係を調べたものです。
すると、睡眠時間が5時間台の子どもたちの試験成績と比べて、6時間台の子どもたちのほうが点数が良いことがわかりました。
さらに、8時間台までは、睡眠時間が増えるにつれて成績が上がる結果となったのです。
ですが、10時間以上の睡眠を取っている子どもたちでは、成績が下がってしまいました。
この調査結果からも、やはり先にお伝えしたとおり8~10時間が理想の睡眠時間であるといえるでしょう。
睡眠時間が小学生の【成長】に与える影響
子どもにとって睡眠が大切である理由の一つが、睡眠中に分泌される「成長ホルモン」です。
成長ホルモンは、身長の伸びなど子どもの成長に欠かせない物質で、免疫力強化や骨を丈夫にすること、筋肉を増やすことなどを担っています。
この成長ホルモンをしっかりと分泌させるためには、深く熟睡しなければなりません。
寝ている間は、レム睡眠とノンレム睡眠とを繰り返しますが、成長ホルモンは、深く眠ったときに訪れるノンレム睡眠時に分泌されています。
イマドキ小学生の睡眠時間の実情
ニフティ株式会社による「夜寝る時間と睡眠」に関するアンケート調査の結果、夜10時頃に寝る小学生が最も多く38%、次いで夜11頃が23%にも及ぶことがわかりました。
そして、51%の子どもが睡眠時間が足りていないと感じています。
睡眠不足となる理由は、42%が勉強や塾のためと回答しましたが、遅くまでYouTubeなどで動画を見ていたり、ゲームをしたりしていると答えた子どもも26%いました。
朝6時に起きると想定すると、10時に寝る子どもの睡眠時間は8時間、11時なら7時間となってしまいます。
これは、理想の睡眠時間ぎりぎりか、または短い時間です。
子どもたちには、より多く睡眠を取ってもらいたいものです。
子どもに良い睡眠を取らせるための工夫
家族ごとの生活スタイルや学校の宿題などのため、なかなか早寝ができない子どもも多いのが現実です。
続いては、子どもに良質な睡眠を取らせるためにできることを紹介します。
太陽の光をたくさん浴びる
眠りにつくときにはメラトニンというホルモンが必要となります。
メラトニンは、日中に太陽の光をたくさん浴びることで、夜にたくさん分泌されるのです。
ですが、現代の夜は明るい光があちこちから入ってきてしまいます。
メラトニンを分泌させるため、眠る部屋は暗くしてあげてください。
また、朝一番に太陽光を浴びると、狂った体内時計をもとに戻せます。
生活リズムが乱れていると感じたときは、朝起きてすぐにカーテンを開けて朝日を浴びてみましょう。
寝る前にゲームやスマートフォンを見ない
スマートフォン、テレビ、ゲーム、パソコンなどのブルーライトは、夜であっても脳や体を活動的にさせてしまいます。
大人でもそうですが、子どもはさらに感受性が強いもの。
目が冴えてしまい、寝付けない原因になります。
ですから、眠る前はテレビやスマートフォンなどの画面から出る明るい光を浴びないようにしてあげられると良いでしょう。
また、動画を見たりゲームをしたりしていると夢中になってしまい、夜更かしの原因になりがちです。
「使っていいのは夜〇時まで」と、時間を決めておくといいでしょう。
寝る1~2時間前にお風呂に入る
眠くなっている子どもの手や足を触ると、ポカポカしていますが、これは、手などから体温を放出しているからです。
このとき、一方で深部体温は下がっており、人の身体は体温が下がるときに眠くなるようにできています。
そのため、お風呂を有効活用すると眠りやすくなります。
お風呂に入ると、一時的に体が温まりますが、1~2時間くらいで体温が下がってくるので、そのときが、眠りやすいタイミングです。
お風呂はあまり温度を高くせず、38度くらいのぬるめの設定にしましょう。
副交感神経が優位になってリラックスできます。
寝る時間を決め、そこから逆算して食事やお風呂の時間も決めると良いでしょう。
入眠儀式をする
「入眠儀式」というのは、「これをしたら寝る」というルーティンのことです。
それが習慣になると、眠りに入りやすくなります。
例えば「本を読んだら寝る」、「電気を消して音楽をかけたら寝る」などを実践しているご家庭も多いです。
まだ寝かしつけが必要な子どもの場合は、ママやパパが添い寝をしてトントンするだけでも、入眠儀式として効果があります。
高学年の子どもならば、入眠儀式として何をするか、自分で好きなことを決めてもらうのがいいでしょう。
「ナイトルーティンを作ろう」などと言って、家族で話し合って決めるのもおすすめです。
早起きを徹底させる
早く寝かせたいと思っても、いきなり生活リズムを変えるのは難しいもの。
それならば、まずは起きる時間を変えてみてください。
まずは、早く起きることを習慣にするのがおすすめです。
慣れるまでは、昼間に眠くなるかもしれません。
ですが、1週間もすると早起きのリズムに慣れてきます。
また、早起きをすれば、自然と夜も早く眠くなるので、早寝につながります。
しかし、ここで危険なのが休日の朝です。
平日の疲れや睡眠不足がたまっていると、朝寝坊したくなりがちですが、何とかがんばって早起きを継続しましょう。
そうすれば、早寝早起きの習慣が身についていきます。
まとめ 小学生の睡眠時間は学力にも成長にも密接に関わる大事なこと
さまざまな調査でもわかってきているように、子どもの睡眠時間は学力と密接に結びついています。
また、良質の睡眠を取ることが成長ホルモンの分泌をうながし、健全な成長にもつながっているのです。
生活の忙しさやスマートフォン、ゲームなど、子どもたちを取り巻く環境は昔とは違います。
現代の子どもたちにとって、良質の睡眠を阻むものが多いのは事実です。
しかし、子どもたちに良質な睡眠が必要なこともまた事実です。
今、もし早寝早起きができていないと感じるようならば、ぜひこの記事で紹介したことを参考に、早寝早起きに取り組んでみてはいかがでしょうか。