お雑煮の中身といえば、お餅はもちろん、にんじん、里芋、大根などの野菜をたっぷり入れたものをイメージするかもしれません。
しかし、お雑煮は地域によって味付けや具材が違います。
味噌ベースのところもあれば醤油ベースのところもあり、いつもと違う味付けや具材のお雑煮を作れば、もはや別の料理を食べる感覚を楽しめるかもしれません。
そこでこの記事では、お雑煮の地域差や国内でも特徴的なお雑煮を詳しくご紹介します。
お雑煮が地域ごとに違う理由
お餅が入った汁ものを「お雑煮」といいますが、お餅以外の具材は前年にとれた農作物を使うことが多かったようです。
地域が変われば農作物や名産品が異なるので、自然とお雑煮に地域差ができるようになったのです。
また、その地域の特産品以外にも、縁起かけやダジャレで具材を選ぶところもあるようです。
地域ごとのお雑煮の違い
お雑煮の地域差とは、具体的に何が違うのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
お餅の形
お餅の形が地域によって異なることは有名ですね。
東日本では四角い形の角餅、西日本では丸餅を食べるのが一般的です。
東日本と西日本の境目は岐阜県あたりといわれていて、角餅と丸餅の両方が売り場に並んでいることも珍しくありません。
かつては日本全国で丸餅を使用していたようですが、東日本エリアでは切り分けて作る角餅が定着したようです。
お餅の調理方法
お餅の調理方法も地域によってさまざま。
東日本では角餅を焼き、中部地方では角餅を煮て食べることが多いようです。
さらに西日本に行くと丸餅を煮て、九州では丸餅を焼いて食べるのだとか。
調理の仕方も幅広いので、たくさん買い込んだお餅を大量消費したいときにはさまざまな料理に挑戦してもいいかもしれません。
汁の味付け
お雑煮の汁は東日本では醤油ベース、西日本は味噌ベースが主流です。
西日本の味噌ベースは京都発祥で、白味噌を使って作るようです。
関東で醤油ベースが広まるようになったのは、武家で失敗することを「味噌をつける」ということから、味噌の使用を避けて醤油を使うようになったといわれています。
なお、鳥取や島根では、おしるこのようなあずき汁がよく食べられています。
具材
冬に多く収穫される大根や里芋、彩りの良いにんじんが全国的に好まれています。
ただ、具材はその土地でとれた特産品やお雑煮の味付けに合うものを使用しています。
醤油ベースの関東では鶏肉、味噌ベースの西日本ではほうれん草や高菜などの葉物野菜を入れて食べるところもあるようです。
北海道と沖縄はお雑煮文化がない?
お雑煮の文化が定着したのは江戸時代のことで、もともと北海道や沖縄にはお雑煮を食べる習慣がありませんでした。
北海道では明治時代に本州からの移住者が持ち込んで親しまれるようになったため、味付けや具材は家庭によって多種多様です。
沖縄ではお雑煮ではなく豚のモツを使った「中身汁」や豚の三枚肉を使った「いなむるどぅち」を食べる習慣があります。
全国のさまざまなお雑煮
調理方法や味付け、具材が地域によって大きく異なるお雑煮ですが、ここでは特に地域性が強く、特徴的なお雑煮をまとめてご紹介します。
くるみ雑煮(岩手県)
「お雑煮にくるみ?」と思われるかもしれませんが、細かく砕いたくるみに甘い味付けをしたダレをあわせた「くるみダレ」とお雑煮のお餅がよく合います。
もちろんくるみダレにつけずにそのまま食べても。
2通りの食べ方が楽しめるお雑煮です。
ブリ雑煮(長野県)
海がない長野県で魚介の入った雑炊が好まれているのは意外かもしれませんが、富山で水揚げされたブリが長野に届けられていたそうです。
ブリのだしがきいて、魚介のうまみが感じられそうなお雑煮ですね。
甘みの強い「松本一本ねぎ」という特産品を入れればブリのだしと相まって自然な甘さを感じられるのではないでしょうか。
味噌凝縮雑煮(三重県)
味噌の味わいをたっぷりと感じられる味噌凝縮雑煮は、三重県で食べられています。
具材はお餅、大根、里芋などの一般的なお雑煮と同じですが、赤黒い汁が特徴的。
味は思いのほかマイルドだそうですよ。
あんもち雑煮(香川県)
お餅のなかにあんこが入った「餅餡」のお雑煮です。
あんこの甘さと白味噌の塩っけの相性がいいのだとか。
江戸時代ではぜいたく品だった讃岐名産の砂糖「和三盆」を使ったあんこを、庶民が役人にバレないようこっそり食べるようになったことが始まりとされています。
ただ、好みが分かれる味のため、香川県内のすべての家庭で食べられているわけではないようです。
納豆雑煮(熊本県)
納豆をそのまま雑煮のなかに食べる家庭もあれば、納豆とお雑煮が別皿になっている家庭もあります。
具材はお餅、鶏肉、さといも、にんじんなど、具材は一般的な具材とほとんど変わりません。
やはりこちらも好みが分かれる味で、熊本県内のごく一部の地域で親しまれているそうです。
まとめ
こうしてお雑煮の地域差を見ると、お雑煮はその土地の食文化や特産品、歴史を知るのに役立つ料理といえますね。
上記でご紹介したもの以外にも特徴的なお雑煮はまだあるので、ほかの地域の具材や味付けにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
いつもと違う味や具材を使ってみて、お気に入りのお雑煮をぜひ探してみてくださいね!