自宅で介護が必要な家族がいる方にとって、その負担が重くなってくると、仕事との両立は難しい問題となります。また、介護施設やデイサービスに頼らず自宅で介護をして利用料を減らしたいという理由で、介護離職の選択を考えてしまう方もいるのではないでしょうか?
そこで、今回は介護離職をすることとはどういったデメリットがあるのか、そして介護離職をしないために知っておくべき制度についてご紹介します。
どうして介護離職をするのか
介護離職を考える人が一番不足していると感じているのは「時間」です。仕事をしていると介護に十分な時間をかけられていないと感じるてしまうのです。また、他にも洗濯・掃除・食事の準備や、家庭を持っている女性は子育てなど、益々時間はなくなってしまいます。
そして、介護の出費で家計を圧迫し体力も限界…。それらが積み重なり、介護離職を選択することになるのです。
介護離職を選択するということは
介護離職したことにより仕事をしていた分の時間が増え、介護をする自分、あるいはされる人が希望したとおりに介護に専念し、費用も節約できました。
しかし、そのことにより収入は確実に減っています。費用を抑えた金額以上に、収入が減った可能性は大いにあるのではないでしょうか。また、定期的な収入の減少だけが注意すべき点ではありません。正社員の女性は介護離職したことにより定年時に受け取るはずの退職金が減り、会社が厚生年金に入っていた場合、原則65歳以降から受け取れる公的年金額にも大きく影響を与えます。
介護離職によって、一生涯で受け取れる収入が減ってしまうのです。
デメリットは、お金の問題だけではありません。介護に専念することで、プライベートの時間が少なくなり、また、社会からの孤立感で精神的に負担が増します。
そして、介護後の再就職。介護の期間は平均5年間といわれています。5年後、何歳になっているでしょうか?年齢が高いほど再就職は難しくなります。再就職できたとしても、介護離職前の年収より減ってしまう可能性は大いにあるのです。
介護離職をしないで仕事を続けるために
介護離職をしないためにはどうしたら良いでしょう?
介護は重労働のうえ休みがなく、次第に疲労が溜まっていき精神的に追い込まれていきます。それを軽減するために、在宅介護サービスやショートステイなどの「レスパイトケア」の利用、または、有料の老人ホームを利用し、働く時間、つまり介護から離れる時間を作りましょう。
また、原則として『要介護状態』の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき介護休業もしくは介護休暇を取得することが出来ます。
育児・介護休業法に基づいた介護の休業・休暇制度
介護休業
労働者は、申し出ることにより、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護のための休業を取得できる制度。
介護休暇
対象家族が1人の場合、年に5日まで、2人以上の場合、年に10日まで、半日単位で取得できる制度。
その他にも、「勤務時間の短縮などの措置」や「法定時間外労働の制限」、「深夜業の制限」などの制度もあります。
また、介護をしていく中で仕事を休まなければならないが収入が減るのが不安という方もいらっしゃるでしょう。そんな経済的不安を軽減する制度もあります。
雇用保険
介護休業給付
雇用保険の被保険者が、要介護状態にある対象家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと介護休業給付を受給できる。受給額は、「休業開始時賃金日額×支給日数(賃金月額)×67%」
さらに最近では、介護休業の取得期間の延長や介護目的の有給休暇制度の新設、介護休業中の給与の一部もしくは全額を支給する制度、賞与や手当の一部支給の制度、見舞い金の支給制度など、法律以上の独自の制度を整備する会社も増えています。自分の勤務先にどのような制度があるか、一度確認しておきましょう。
まとめ
介護離職を考えている方へ知って頂きたいことは以下の通りです。
- 介護に当てる時間を得ることはできるが、長い目で見れば大幅な収入減につながるデメリットがある。
- 収入減と同じく精神的負担や社会的孤立を招きやすい
- 法律に基づいて介護の為に休業や休暇を取れる制度がある
- 法律以外にも会社独自の制度を設けている場合がある
家族の誰かを介護する必要が起きた時、すぐに介護離職を選択するのではなく、今回ご紹介したこれらの制度や介護サービスを利用し働き続ける道も考えてみてはいかがでしょうか?
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