近年では、ママの出産に合わせて育休を取得し、育児に積極的に参加したいパパが多くなっています。
しかし、実際の育休取得率は低いのが現状です。
育休中の金銭面や職場に対する不安が大きいことも考えられます。
男性の育児休暇制度はしっかりできているため、制度への理解を深めて気持ちよく利用したいものです。
この記事では、男性の育児休暇に関する制度や給付金、育休取得時のポイントを紹介します。
記事を参考に男性も育児休暇制度を活用しましょう。
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男性の育児休暇取得の現状
厚生労働省の「令和2年度雇用均等基本調査」によると、平成30年10月1日~令和元年9月30日までの男性の育休取得率は12.65%でした。
このうち28.33%が育休期間5日未満となっています。
育休を取得しても、3割近い男性は短期間の取得になっているという現状です。
男性の育児休暇取得率は令和元年度の7.48%よりも上昇していますが、女性の取得率81.6%と比べるとまだまだ取得する男性は少ないことがわかります。
国が男性の育休取得を促進
国は男性の育休取得を促進するために、2021年6月に「育児・介護休業法」を改正しました。
これにより、男性の育休がより取得しやすい仕組みになるとしています。
この項で解説する3つの制度が施行されるのは、令和4年10月1日からです。
出生時育児休業
令和4年10月から施行される「出生時育児休業」は、ママの産後休暇中(子どもの出生後8週間以内)にパパが4週間まで取得できる男性版の産休です。
「産後パパ育休」とも言われる制度で、育休を分割して2回取得することも可能になります。
1回目は退院時と直後数日、2回目は里帰りから自宅に戻ったときなどに利用すれば、柔軟なママの産後のサポートや育児参加も可能になるでしょう。
出生時育児休業は、労使協定を締結している場合に限り利用できる制度です。
仕事が忙しい時期でも、制度が認められているため取得しやすくなります。
ちなみに、現行の「パパ休暇」は、産後8週間以内にパパが出生時育児休業を取得すると、もう一度育休が取れる制度です。
育児休業の分割取得
出生時育児休業とは別に「育児休業の分割取得」では、子どもが1歳になるまで育休を分割して2回取得できます。
育児休業を分割取得できるのは最長2歳までです。
保育園には入れないなどの理由がある場合に限り、1歳以降の延長ができます。
現行の制度でもこれは可能ですが、制度改正後は延長の開始日を柔軟に決められるのが大きなメリット。
そのため、改正後にはパパとママと交代で育休を取ることも可能になります。
【育児休業の分割取得例】
ママの育休:1歳までの予定
パパの育休:生後2ヵ月までママと一緒に育休、ママの職場復帰に備えて生後10ヵ月から2回目を取得
個別の周知・意向確認の措置の義務化
「個別の周知・意向確認の措置の義務化」では、会社側は育児休業やパパ休暇などの制度や申し出先などを、妊娠(または妻の妊娠)を申し出た本人への周知を義務化しています。
育休を取得するかどうかの意向確認も、会社側からおこなうべき義務とされています。
そのため「育休を取りたいけど言い出せない」といった問題の解消が期待できるでしょう。
制度があることも知らずに利用し損ねることもなくなります。
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育児休暇中にもらえるお金
育児休暇中は勤務先から給料が出るわけではありません。
給付金や保険料の支払い免除などの制度は国が実施しているため、国のほうからお金がもらえます。
受けられる給付金は、男性女性問わず条件に違いはありません。
金銭面であまり心配せずに男性も育休を取得しやすい仕組みはすでにできています。
育児休業給付金や児童手当、社会保険料の免除額の計算方法や目安となる具体例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
育児休業給付金
「育児休業給付金」は、雇用保険に加入していると受給できるものです。
「休業開始時賃金日額」の67%、6ヵ月を過ぎると50%が支給されます。
休業開始時賃金日額は「育児休業開始前6ヵ月間の総支給額÷180」の計算式で6ヵ月の平均を算出した額です。
休業開始時賃金日額の計算例を紹介しますので、一つの目安として参考にしてください。
【休業開始時賃金日額の例】
- 育休開始前2ヵ月の月給が37万円
- その前4ヵ月の月給が35万円
{(37万円×2ヵ月)+(35万円×4ヵ月)}÷180日=約11,888円
※育児休業給付金については「【徹底解説】育児休業給付金の給付額から申請方法まで」もご覧ください。
児童手当
児童手当は、生後15日以内に住んでいる自治体に申請すると支給されるものです。
子どもが3歳になるまでの月額は15,000円で、毎年6月、10月、2月にそれぞれの前月分までが支給されます。
児童手当は、必ずしも育休と直接関係するものではありません。
しかし、金銭面で不安を感じやすい育休中には心強い制度の一つになります。
直接的な勤務先からの給料がなくても、児童手当は育児休業給付金と合わせて生活を支えるためのお金となるでしょう。
社会保険料の免除
「健康保険法第159条」により、月末が育休期間に含まれていればその月の保険料は免除されます。(2021年10月現在)
例えば、7月25日~8月5日の12日間を育児休暇として取得すると、7月の社会保険料は免除されます。
一方で、7月15日~7月25日の11日間では社会保険料の免除はありません。
このことから保険料免除を目的に、月末1日だけの育児休暇を取得するケースもあるなど、本来の「男性の育児参加」という育休の目的とは異なる使い方が問題視されてきました。
2022年10月1日施行の改正健康保険法では、免除の基準が「2週間以上の育児休業を取得した月」に変更されます。
ボーナス月にかかる保険料は、1ヵ月を超える育休を取得した場合のみです。
社会保険料の支払いが免除されると、育児休業給付金とあわせて休業前の約8割がカバーできることになります。
「パパママ育休プラス」で1歳2ヵ月まで育休が延長できる
「パパママ育休プラス」を活用して夫婦どちらも育休を取得すれば、育休期間は1年から1年2ヵ月まで延長できます。
それぞれの育休期間は1年ですが、育休をあとから取得したほうに育休の延長が適用されるものです。
ママと入れ替わりでパパが育休を取得するケースや、ママの育休中にパパも育休を取って一緒に子育てに集中する期間をつくるなど、さまざまな活用方法があります。
ご家庭の事情に合わせてフレキシブルに対応できるのがパパママ育休プラスのメリットです。
ママの育休6ヵ月後に入れ替わりでパパが育休を6ヵ月取ると、育児休業給付金も1歳2ヵ月になるまで67%給付されます。
男性が育児休暇を取るためのポイント
男性が育児休暇を取得するには、制度活用のほかに家庭や職場への配慮を欠かさないことも大切なポイントです。
夫婦で育休について話し合う
男性が育児休暇を取得する際は、パパの育休をいつ取るのか、ママも働いている場合はお互いの取得のタイミングについて十分な話し合いをしておきましょう。
本来は制度にしたがって堂々と取得すれば良いのですが、実際には職場の雰囲気など気になることも多くあります。
業務の繁忙期であれば取りにくいこともあるため、まったく何も気にしないわけにはいきません。
会社のことも気にしながらも、夫婦にとってベストなタイミングを話し合って決めておくのがポイントです。
職場の良好な人間関係を築く
男性に限らず、育児休暇を誰かが取るとほかの従業員に仕事のしわ寄せが行ってしまう可能性もあります。
しかし、だからといって育休取得を申し出たことで嫌がらせや文句を言われるのは「ハラスメント行為」です。
事業主には、ハラスメント行為への対策を講じることが義務化されています。
ただし、育児休暇をとる行為に対して、口には出さなくても不快に感じる方はいるかもしれません。
「多少の負担は引き受けてもいい」と思ってもらえるように、日頃から良好な人間関係を築いておくのも大切なポイントです。
業務の引継ぎや連絡事項は完璧に
育児休暇を取得する場合は、休むあいだの自分の業務を同僚に引き継ぐことになります。
このときに、引き継がれた方が困ることがないように完璧を期すつもりでしっかりおこなうのが大切です。
育休に入る直前に引き継ぎをすると慌ててしまうので、期間にも余裕を持って実施しましょう。
また、社内だけではなく、社外の方にも育休期間やその間の担当者など、自分が休んでも迷惑を書けないように連絡をしておくこともポイントです。
まとめ
男性の育児休暇取率は増えつつありますが、伸び率は今一つで育休の期間も短いのが現状です。
国は男性の育休取得を促進するために「育児・介護休業法」を改正しました。
制度を活用すれば、男性の育児休暇はより取得しやすくなります。
また、育児休業給付金や児童手当、社会保険料の免除額を合わせると、金銭的な不安をだいぶカバーできるのではないでしょうか。
職場の人間関係を良好にしておくなど、いくつかのポイントにも配慮しながら制度を活用することをおすすめします。
男性の育児休暇取得でパパとママが協力し合えば、より豊かな育児になるでしょう。
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