「食育が大切だとは聞くけれど、食育とは何だろう?」「どうやって食育を家庭で教えたらいいのだろう?」
そのように迷うママやパパもいるのではないでしょうか。
幼稚園や保育園、小学校では集団生活ならではの食育をおこなっています。
家庭でも、家庭らしい食育をおこなっていきたいですね。
この記事では、そもそも食育とは何かということから、食育をするメリット、そして家庭で取り組める食育を紹介します。
食育に興味のあるママやパパは、ぜひ読んでみてください。
食育とは?
食育とは何なのか、農林水産省のホームページから引用して紹介します。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
※引用:食育の推進|農林水産省
具体的にいうと、食育を通して身につけたいことは、以下の6点となります。
- 食べ物を大事にする感謝の心
- 好き嫌いしないで栄養のバランスよく食べること
- 食事のマナーなどの社会性
- 食事の重要性や心身の健康
- 安全や品質など食品を選択する能力
- 地域の産物や歴史など食文化の理解など
※出典:食育って何?|文部科学省
食べ物の知識だけではなく、マナーや食品の安全性、地域の産物や歴史を学ぶことまで食育に含まれるのですね。
「食育」が指すものは、とても幅広いです。
なぜ食育が大切なの?
今、子どもたちの食事に関するさまざまな問題が起きています。
朝食抜きで登園、登校してしまう子、ひどい偏食の子、また、子どもが1人で食事をする「孤食」といった問題もあります。
そのような問題が起きているなかで、食育がなぜ大切なのかを続いてお伝えしていきましょう。
学力・体力がアップする
食育をすすめている農林水産省による資料「家庭における食育の推進」によれば、朝食を食べることと学力には関係性があるそうです。
調べによると、朝食を毎日食べている子どものほうが学力調査の平均正答率が高いことがわかりました。
毎日食べている子どもの平均正答率がもっとも高く、次いでどちらかといえば食べている子ども、あまり食べていない子ども、そしてまったく食べていない子どもはもっとも正答率が低いという結果でした。
同じく農林水産省の調べでは、学力だけではなく体力テストにおいても同様の結果が得られています。
なお、「朝食を食べないことがある」と答えた小学6年生は全体の12.5%で、中学3年生になるとその割合は16.2%でした。
精神面に良い影響がある
食育では、誰かと一緒に食事をとる「共食」が重視されています。
共食している方は、していない方と比べてバランス良く食事ができていたり、規則的に食事をしていたりと、良い面が多いことがわかっていますが、特に心の健康状態が良いことも注目されています。
これは、年齢に関係なく表れているメリットです。
小学生の場合は、朝の疲労感や体調不良がなく、健康への自己評価も高くなっています。
また、中学生でも心の健康状態が良いことが報告されています。
そして、成人~高齢者においても自分の健康に対して評価が高く、ストレスを感じておらず、自分の健康への評価も高いそうです。
逆に、孤食しがちな高齢者は、うつ傾向にあることもわかっています。
食事マナーが身に付く
小さいうちから家族などとともに食事をしていると、周りの大人から食事マナーを学ぶこともできます。
食事マナーは、家族や気心の知れた友達との食事ではあまり意識しないかもしれませんが、仕事での会食や結婚披露宴などでは最低限のマナーが必要になりますよね。
大人になってから食事マナーを1から学ぶのは意外と大変です。
小さいうちから学んでおくことで、自然と食事のマナーが身に付けば、のちのち役に立ちます。
食事のときの姿勢や、箸の持ち方・使い方、「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶をすることやその意味など、食べながら学べることがたくさんありますよ。
家庭ですぐに実践できる食育
食育は何も特別なことをしなくても良いのです。
家庭での食育は、日常生活にあたり前にあることから学べます。
食育というと、何だか勉強の科目のような印象を持ってしまう方もいるかもしれませんが、肩ひじ張るようなことではありません。
できることから始めていきましょう。
子どもと一緒に買い物に行く
小さい子どもならば、一緒に買い物に行くことで野菜やくだものの名前、種類を知ることができるでしょう。
それだけではなく、同じ野菜でも産地がいろいろとあり、その土地ごとの名産品があることなどもわかります。
また、頻繁に買い物に行っていると、季節ごとに売られている食品が変わることもわかり、食べ物の旬も学べるでしょう。
正しく配膳する
家で日常的に正しい配膳を目にしていれば、自然と覚えてしまう子もいるかもしれません。
「ご飯は左、汁物は右」などの基本的なことから、主菜、副菜、香の物なども含めた配膳や、その理由も教えられるといいですね。
ちなみに、日本の配膳の仕方は中国の「左上位」の考え方によって成り立っています。
そのため、主食であるご飯を左手前に置くのですね。
お箸の持ち方や、マナー、食事中の姿勢も、食事中の声かけによって、少しずつ身についていくでしょう。
子どもと一緒に料理をする
家庭での食育の基本は「一緒」に楽しみながらやってみることです。
料理も、シンプルで楽しくできる煮物や炒め物などを一緒に作ってみるのがおすすめ。
そのときに、食材を入れる順番や理由、調味料の「さしすせそ」が何か、調味料を入れる順序などにも触れてみましょう。
料理を自己流で作っているママも、いろいろと知るきっかけになるかもしれませんね。
まだお手伝いが難しい子には見せるだけでも十分です。
普段食べている料理が、どのように作られているかがわかるだけでも良いのです。
苦手なものでも一口は食べる
食卓に自分の苦手なものが並んでいても、一口でもいいので食べるように誘ってみてください。
そのうえで、「どんなところが苦手なの?」と聞いてみましょう。
例えば、野菜のにがみが苦手ならば、「焼くと甘みが出るから、次は焼いて食べてみようか」などと、一緒に食べ方を話し合ってみるのもいいですね。
味付けを変えてみたり、小さく刻んでハンバーグに入れたり、いろいろと工夫して少しでも食べられるようになると、子どももうれしいものです。
後片付けをする
食べることに関してだけではなく、片付けも食育の一環としてとらえます。
お皿洗いのお手伝いをしている子も多いようですが、それだけではなく、おかずが残ったときにどうするか、何に入れて保存するか、冷蔵か冷凍かなどの判断の仕方も教えてあげましょう。
また、残しておけないものや落として食べられなくなってしまったものなど、食べ物を処分しなければならないときには、食品ロスやゴミについて考えるきっかけにもなります。
将来、自分で食事を用意して食べ、片付けまでおこなうときに、どう行動すれば良いかが子どものうちに自然に身に付くといいですね。
まとめ
食育とは、いわば健康に生活するための基本となることです。
食べ物を大切にし、感謝する心を持つことや、食材や料理に対する興味を育ててあげることは家庭でもできる食育でしょう。
また、食事のマナーも家庭で声かけをしてあげたいポイントです。
食育とは、「楽しく」「子どもと一緒に」をキーワードに進めていきましょう。
まずは、欠食することなく家族で一緒に食事することを目指すといいですね。
そうすれば、学力や体力、心の健康にも良い影響が期待できます。
子どもの今と将来の健康のために、食に関する正しい知識を身に付けさせてあげましょう。