【歯科医監修】子どもがむし歯になる原因は?予防方法は?基本知識をチェックしよう!

【歯科医監修】子どもがむし歯になる原因は?予防方法は?基本知識をチェックしよう!

子どものむし歯の原因からケアの仕方、予防法まで詳しく解説します。

乳歯は生え替わりますが、むし歯を放置しておくと永久歯にも深刻な影響が出ることもあります。

赤ちゃんの歯が生えてきたら、歯のケアをしっかりとしてあげましょう。

歯科医監修の元、子どもの歯のむし歯に関する基礎知識をわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

監修者プロフィール

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杉山真一

すぎやまデンタルクリニック院長 杉山真一
歯科医療に携わって20年、生まれ育った岡山の街や皆様を元気にすることを目標に、岡山市南区新保に歯科医院を開院。
〒700-0945
岡山市南区新保1314-2 ディアリオC
TEL:086-259-3380
クリニックHP:https://www.sugiyama-dent.com/

むし歯ができる原因とは?基本知識をチェック

むし歯ができる原因とは?基本知識をチェック

はじめに、子どもの歯がむし歯になる原因をわかりやすく解説します。

むし歯の原因には、「歯の質」「糖質」「細菌」の3つの要素があり、複数の要素が重なるとむし歯がより発生しやすくなります。

ここでは、むし歯の原因となる3つの要素の具体的な内容や要素が重なる原因も解説するので、ぜひ参考にしてください。

歯の質:乳歯や生えたばかりの永久歯に注意

歯は、硬いエナメル質や象牙質でむし歯菌からガードされています。

しかし、エナメル質や象牙質の強さには個人差があります。

むし歯になりやすい方は、体質的にエナメル質や象牙質が弱い可能性もあるでしょう。

逆に多少歯磨きをサボってもむし歯にならない方は、エナメル質や象牙質がしっかりしているおかげです。

子どもの場合、乳歯や生えたばかりの永久歯は大人の歯のようにエナメル質や象牙質が強くありません。

表面が荒く傷つきやすいので大人と同じように歯のケアをしていても、むし歯になる可能性があります。

また、歯の石灰化が完全に完了して大人の歯と同じ強度になるためには、2~4年かかるのが一般的です。

したがって、永久歯が生えたら最低でも2年間は大人の歯よりも丁寧なケアが必要です。

糖質:おやつや飲み物に注意

砂糖は、むし歯菌(ミュータンス菌)が歯をとかす酸を作る原料になります。

おやつや食事のあとに歯を磨くのは、歯の表面に付着した砂糖(糖類)を洗い流し、むし歯菌に長時間に渡って酸を作らせないためです。

また、口は常に唾液で潤っているので、歯が磨けないときは唾液が歯を洗う役割をしてくれます。

しかし、ガムや飴などを常に口に含んでいる「だらだら食べ」は、歯に砂糖が付着しっぱなしになり、むし歯ができやすくなります。

子どものおやつは時間を決めて、だらだら食べをできる限り減らしましょう。

このほか、飲み物にも注意が必要です。

例えば清涼飲料水には砂糖が、牛乳には乳糖、果汁100%ジュースには果糖が多く含まれているため、水の代わりに摂取するとだらだら食べと同じことになってしまいます。

水分の補給は水やお茶にして、その他の飲み物は”おやつ”として決まった時間に量を決めて楽しむようにしましょう。

細菌:ミュータンス菌に注意

むし歯菌の別名で知られるミュータンス菌は、大きさ約0.001mmの細菌です。

歯垢(プラーク)を形成すると、歯の表面に付着して酸を産生し、その酸が歯のカルシウムやリンを溶かして歯をもろくしてしまいます。

むし歯の予防は、歯に付着したミュータンス菌を小まめに落とすことが重要です。

歯垢を形成しないよう、こまめに歯磨きをしましょう。

むし歯が進行する流れを解説

むし歯は、以下のような流れで進行します。

  1. ミュータンス菌と食べ物の糖質(特に砂糖)が口の中で、一緒になるとプラーク(歯垢)が作られる。
  2. 糖質が分解され、酸が作られる。
  3. 歯に含まれるカルシウムやリンが酸によって溶け出して脱灰になる。
  4. 歯に穴が開き、むし歯が発生する。

1の状態のときまでに、歯を小まめにケアしておけばむし歯が予防できます。

3の状態でも適切にケアすればむし歯まで進行することはありません。

子どもがむし歯になりやすい習慣と対策

子どもがむし歯になりやすい習慣と対策

ここでは、子どもがむし歯になりやすい習慣を解説します。

適切なケアと併せて、これからご紹介する習慣を改めれば、よりむし歯になりにくくなるでしょう。

「だらだら食べ」を続ける

前述したように、時間を決めておやつやご飯を食べるより、遊んだりテレビを見たりしながらだらだらお菓子を食べ続ける「だらだら食べ」のほうがむし歯になるリスクは上がります。

アメやガム、グミ、チューブ入りアイスキャンディ、チョコレート、スナック菓子などは口の中に長期間留まり、食べ応えも少ないのでだらだらと何個も食べてしまいがちです。

禁止することはありませんが、時間と量を決めて食べると良いでしょう。

おやつにはむし歯になりにくい食べ物を選ぶことも大切です。

果物やスルメなどのようによく噛まないと食べられないものは、むし歯予防に必要な唾液の分泌を促します。

氷菓やゼリーのようにお口の中をすぐ通り抜けていくものは、酸を作る時間が短くなり、比較的むし歯になりにくいおやつです。

また、寝ている間は口腔内の唾液が減ってむし歯のリスクが上がります。

寝る2時間前くらいになったら水やお茶以外の飲食(特に甘いもの)を控えましょう。

スポーツドリンクや乳酸菌飲料にも注意

甘い食べ物だけでなく、清涼飲料水やスポーツドリンク、乳酸菌飲料にも砂糖が含まれています。

水の代わりに飲ませるのはやめましょう。

暑い日でも水分補給はスポーツドリンクに頼るのではなく、麦茶や水などと併せて摂取するのがおすすめです。

夕食は眠る2時間前までに食べ終わり、しっかり歯磨きを心がけてください。

歯みがきにみがき残しが出やすい

子どもが自分で歯を磨く習慣を身に付けるのは、とても大切です。

しかし、子どもが自分で歯みがきをする場合、歯ブラシが届きにくい奥歯や新しく生えた歯に磨き残しができがちです。

子どものむし歯の多くが、臼歯の溝(小窩裂溝)から発生しているという説もあります。

子どもが自分で歯磨きをしたら、かならず保護者が仕上げみがきをしましょう。

生え変わりが完了する12歳頃までは仕上げ磨きは必要です。

また、子どもの歯と口にあうサイズの歯磨きで仕上げ磨きをしてあげてくださいね。

子どもは口呼吸になりやすい

コロナ禍の長期にわたるマスクの着用で、口呼吸の癖がついているお子さんが増えています。

子どもは鼻腔が狭く呼吸が浅いため、マスクをしていると鼻呼吸では息苦しさを感じてしまい、一度に大量の空気を取り込める口呼吸になりやすい傾向があります。

口呼吸になると唾液が乾燥し、むし歯菌の増殖を抑えたり、むし歯菌の作る酸を中和したり、歯の表面を洗い流したりといった唾液の作用が極端に弱まります。

そのため、口呼吸はむし歯のリスクを格段に高くしてしまいます。

口呼吸の癖をつけないためには、鼻で十分に呼吸できる状態でなければなりません。

アレルギー等で鼻炎がある場合は耳鼻科の先生に相談しましょう。

また、鼻で呼吸しても息苦しく感じないように、意識的に深呼吸をさせて、深く呼吸する習慣を身につけさせましょう。

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子どものむし歯予防方法は?

子どものむし歯予防方法は?

最後に、子どものむし歯予防のうち、おすすめのものを紹介します。

子どものむし歯予防法に迷っている方は、これからご紹介する方法を参考にしてください。

正しい歯のみがき方を学ぶ

かかりつけの歯科医院を作り、子どもに正しい歯磨きの方法を学ばせてもらいましょう。

小学校でも歯磨き教室などがおこなわれていますが、マンツーマンだとより確実に正しい歯磨きの方法が身に付きます。

歯みがき方法の習得時期は手先の動きが器用になり、歯みがきの重要性も理解できるようになる5~6歳頃にはじめるのがおすすめです。

その後、何度か歯磨きの仕方を学び、8~9歳までには、ごはんやおやつを食べたあとは歯を磨き、大人が仕上げ磨きをする習慣を付けましょう。

フッ素塗布やフッ素入り歯みがき粉を使う

歯医者で定期的にフッ素塗布を受けたりフッ素入り歯みがき粉を使ったりするのも、むし歯予防には効果が見込めます。

フッ素塗布は、まだうまく歯が磨けない小さな子どものむし歯予防には大変効果的で、費用もお手頃です。

近所にフッ素塗布をしてくれる歯科医院を見つけて、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半くらいから定期的に受けるようにしましょう。

子ども用のフッ素入り歯磨きも市販されているので使うのもおすすめです。

うがいができるようになる(2歳半~3歳)まではフッ素濃度の低いタイプのものを、うがいができるようになったら大人と同じフッ素濃度(950ppm~1450ppm)のものを選びましょう。

シーラント処置で予防する

奥歯や前歯の裏側にある溝は汚れが溜まりやすく、むし歯ができやすい部分です。

こまめに歯磨きをしていても磨き残しも発生しやすいでしょう。

「シーラント処置」と呼ばれる、フッ素が放出される詰め物で溝を埋め、汚れやバイ菌が入り込まないようにする予防法が効果的です。

特に親がむし歯ができやすい場合は、子どももむし歯になりやすい可能性があるので、シーラント処置も積極的に検討してみましょう。

ただし、シーラント処置をした場合は必ず定期的な検診が必要になるので、かかりつけの歯科医院を作ってくださいね。

まとめ:子どものむし歯予防の大切さを伝えよう

むし歯で歯を失うと、二度と再生しませんし、歯を失うと生活にも支障が出ることがあります。

子どもにも、むし歯予防の大切さや必要性を伝え、子どもの頃から、むし歯予防や歯磨きをしっかりと習慣付けることが大事です。

そのためには規則正しい生活習慣を心がけることと、正しい知識や方法を身につけるため上手に歯科医院を利用することが欠かせません。

ご飯を食べたり歯を磨いたりしたあとは自然と歯磨きをするようになると理想的ですが、仕上げ磨きも続けてあげてくださいね。

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