子どもが歯磨きをしたあとに、ママやパパによる仕上げ磨きをきちんとしていますか?
毎日しているママやパパのなかには、「仕上げ磨きはいつまでしてあげればいいのだろう」と悩んでいる方がいるかもしれません。
幼稚園や保育園に通っている年齢なら仕上げ磨きは自然なことに感じますが、小学生になると自分で十分できるイメージがあり、やめてしまう方もいます。
そこでこの記事では、いつまで仕上げ磨きをすればいいのか、正しい仕上げ磨きはどのようにおこなえば良いのかなどを解説します。
監修者プロフィール

すぎやまデンタルクリニック院長 杉山真一
歯科医療に携わって20年、生まれ育った岡山の街や皆様を元気にすることを目標に、岡山市南区新保に歯科医院を開院。
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岡山市南区新保1314-2 ディアリオC
TEL:086-259-3380
クリニックHP:https://www.sugiyama-dent.com/
仕上げ磨きはいつまで必要?
仕上げ磨きが必要なのは幼児期だけではありません。
子どもの大切な歯をしっかり守るためにも、早くても10歳まで、できれば12歳まではしてあげるのが理想です。
10歳まではしっかり
子どもの歯は一般的に、6歳~12歳までに生え変わります。
この時期の口のなかは抜けそうな乳歯や新たに生えてきた永久歯など、乳歯と永久歯が混在しており、お子さんが自分ですみずみまで磨くのが難しい状態です。
特に6歳臼歯は、しっかり生えるまでに時間がかかり、奥に生えるので汚れが溜まりやすくむし歯にもなりやすいのが特徴です。
この時期は子どもだけで完璧に磨くのが難しいため、せっかく生えてきた歯をむし歯にしないためにも仕上げ磨きをしっかりしてあげましょう。
できれば12歳まで
子どもは大きくなるにつれて、親に仕上げ磨きをしてもらうのが恥ずかしいと感じるようになってきます。
しかし、12歳臼歯をはじめ、生えてきたばかりの永久歯は未完成でやわらかいため虫歯になりやすいのが特徴です。
小学校高学年になれば、友達と好きなお菓子を買いながら遊ぶ、親が仕事の間に好きなものを食べているなど、親は子どもの食べ物のコントロールも難しくなります。
そのため、永久歯に生え変わるまでは仕上げ磨きをしてあげるのがおすすめです。
小学校高学年になってからの仕上げ磨きは、子ども主体で磨かせて、親はチェックをしつつ磨き足りない部分の仕上げをしてあげるだけで構いません。
正しい仕上げ磨きのやり方
仕上げ磨きといっても、何となく自己流でおこなっているママやパパも多いはず。
正しいやり方を知り、効果的におこなってあげましょう。
仕上げ磨きに適した歯ブラシ
正しく仕上げ磨きをするためには、仕上げ磨きに適した歯ブラシを選ぶことも大切なポイントです。
普段使用している歯ブラシでは、すみずみまでしっかり磨けない可能性があるからです。
ヘッドが小さくハンドルは長くて奥歯までしっかり届くもの、余計な力が入りにくいものを選びましょう。
仕上げ磨き専用の歯ブラシがあるので、チェックしてみると良いですよ。
ブラシ部分が開いてきたら、交換のサインです。
歯ブラシの使い方
歯ブラシの使い方にも注目しましょう。
歯ブラシは以下の点に注意して使います。
- 1.歯の面に垂直にあてる
- ブラシの毛先は歯に垂直にあたるようにします。
表面だけでなく歯と歯の間や歯と歯茎の間など、磨く部分にしっかりあてるように意識するのがポイントです。
- 2.軽い力で
- 磨くときは、ブラシの毛が真っすぐな状態を保てるくらい軽い力で磨きます。
- 3.小刻みに揺らして1本ずつ
- 歯全体を一気に磨くのではなく、1~2本ずつ小刻みに揺らして磨きましょう。
1本につき20回以上動かすと、歯垢もしっかり落とせます。
ブラッシングの時間は、3分以上とるのが目安です。
仕上げ磨きの姿勢
仕上げ磨きをする際は、基本的には「寝かせ磨き」をします。
お口の中をしっかり見て仕上げみがきをするためには「寝かせ磨き」が基本です。
成長してどうしても嫌がるようになったら「立たせ磨き」に切り替えましょう。
寝かせ磨きとは、座ったママやパパの膝の上に子どもの頭を乗せて仰向けにしておこなう姿勢です。
立たせ磨きは、子どもを立たせたまま後ろから歯磨きをしてあげる姿勢のことです。
磨くタイミング
歯を磨くタイミングは、可能なら3回の食事とおやつのあとにおこなうようにするのがベストです。
とはいえ、学校で食後の歯磨きを実施してれば3食後にきちんと磨けますが、そのような習慣のない学校だと給食後に歯を磨くのが難しいことも……。
その場合は朝と夜にしっかり磨きましょう。
特に夜寝る前の歯磨きは、1日の汚れをきちんと落とすつもりで念入りにおこないます。
就寝中は唾液が減って口のなかで菌が増殖するため、朝晩両方磨くことが大切です。

しっかり磨ける仕上げ磨きのコツ
仕上げ磨きのコツは、前歯と奥歯で異なります。
それぞれの磨き方のコツを意識しておこないましょう。
また年齢に応じた、むし歯になりやすい場所を知っておくと仕上げ磨きを効率的に行うことができます。
前歯
前歯を磨くときは、片方の手で歯と歯茎の間が見えるように唇を押さえながらブラッシングします。
特に汚れが溜まりやすい歯と歯茎の境目はていねいに磨くのがポイントです。
歯の裏側のくぼんでいる部分は、汚れをかき出すようにブラシを動かしましょう。
また、歯茎と上の唇をつなぐ上唇小帯に歯ブラシがあたると痛いので、あたらないように上唇小帯を片方の手の人差し指でガードして注意しながら動かします。
むし歯になりやすい歯と歯の間の汚れもしっかり落とすため、最後の仕上げに歯間ブラシやデンタルフロスを使用するのがおすすめです。
前歯でむし歯になりやすい場所
乳歯では、上の前歯の歯と歯の間、前歯の表側の歯茎との境目は特にむし歯ができやすい場所です。(下の前歯はほとんどむし歯になりません。)
永久歯になると、歯と歯の間、表側の歯茎との境目に加えて裏側のくぼみにも注意が必要です。
仕上げ磨きの時には必ずチェックしてあげて下さい。
奥歯
奥歯は奥から手前に向かって磨くのがコツです。
大きく口を開けさせると歯ブラシが奥まで入りづらくなるので、大きく開けすぎないようにしましょう。
奥歯は特に歯垢が溜まりやすい歯面の溝や、歯と歯茎の境目をていねいに磨きます。
虫歯になりやすい6歳臼歯が生えてきたら、それまで以上に注意してくださいね。
奥歯でむし歯になりやすい場所
乳歯では、真ん中から数えて4番目の歯と5番目の歯との間が一番むし歯になりやすい場所です。
デンタルフロスを使って歯の間の汚れをしっかり落としてあげてください。
乳歯、永久歯に限らず、生えかけの奥歯の噛み合わせの溝は、上下の歯がしっかり噛み合うまでは高さが低く、子どもが自分でブラッシングしても汚れが非常に残りやすいのでむし歯になることが多い場所です。
特に6歳臼歯、12歳臼歯は上下で噛み合うまでの期間が非常に長く、歯茎がかぶさっていることもあり、噛み合わせの面の仕上げみがきは必須です。
子どもが仕上げ磨きを嫌がったら?
子どもが仕上げ磨きを嫌がることもありますよね。
その場合は、無理に磨く必要はありません。ただ、やらずに放置しているとむし歯になってしまうため、何らかの対策は必要です。
無理やり磨かない
大泣きするほど嫌がっている場合は、無理に押さえつけてまで磨いてはいけません。
無理やりやってしまうと、子どもは「歯磨き=嫌なこと」と認識してしまうからです。
「たまにはいいか!」と割り切って、子どもの機嫌が良いときを狙っておこないましょう。
仕上げ磨きまでしっかりできたときには「最後までがんばって偉いね!」など、たくさん褒めてあげてください。
歯磨きが楽しくなる工夫をする
歯磨きの時間が楽しくなるように、好きなキャラクターの歯ブラシを使ったり、仕上げ磨きのときに歌を歌ったりするのもおすすめです。
また、歯磨きの大切さを伝える絵本やむし歯になるデメリットを伝える絵本を見せて、歯磨きに興味を持たせるのも良いですね。
歯医者さんの力を借りる
仕上げ磨きが嫌いでほとんどできない場合や、仕上げ磨きはしているけれどきちんと磨けているか心配な場合、大きくなって仕上げ磨きをさせてくれなくなった場合は、歯医者さんの力を借りましょう。
歯科検診では歯の状態をチェックしたり、歯ブラシ指導をしてくれたりするので、定期的におこなうのが理想です。
お子さんのお口の中の状態やリスクに応じて、歯医者さんと相談して定期健診の期間を決めてください。
むし歯を予防するためにも、ママやパパによる仕上げ磨きはできなくても、チェックはしっかりしておきましょう。
まとめ
仕上げ磨きをいつまでするのか迷っている方は、なるべく永久歯に生え変わる12歳までしてあげるのがおすすめです。
生えてきたばかりの永久歯はむし歯になりやすいため、仕上げ磨きをしたほうが安心だからです。
仕上げ磨きに適した歯ブラシを使用し、前歯と奥歯の磨き方のコツを意識しながらおこないましょう。
子どもが嫌がる場合は無理に磨くよりも、歯磨きを楽しむ工夫をしたり、歯医者さんの力を借りたりするほうが良いですよ。
仕上げ磨きや定期的な歯科検診で、健康な歯を守りましょう。
