小学生でも便秘状態、あるいは便秘予備軍の子どもは多いものです。
ところが子どもが小学生にもなると、毎日きちんとうんちをしているかどうか、親は案外気にしていないことが多く、その分気付くのが遅れることも……。
よく話を聞いてみると「実は前から便秘ぎみだった」ということもあります。
場合によっては生活習慣の改善が必要になるかもしれませんので、自分の子どもはどうか一度チェックするのがおすすめです。
今回は小学生の便秘の原因、対処法、生活習慣などをまとめました。
目次
小学生の3人に1人が便秘・便秘予備軍
特定非営利活動法人日本トイレ研究所とカルビー株式会社が実施した「子どもの生活習慣および保護者の意識についての現状把握」によると、小学生の10%が便秘状態、21.3%が便秘予備軍に該当します。
つまり小学生の3人に1人は、改善させるべき症状があるということです。
ところが便秘状態にある子どもの保護者のうち、48.4%が、子どもの便秘状態に気がついていない、という調査結果も……。
子どもの小さなSOSサインを見逃さないようにし、また、ときには子どもにおなかの状態を聞いてみることも必要です。
うちの子は大丈夫?おなかの状態チェックリスト
それでは、子どものおなかの状態を知る目安をチェックリスト形式でご紹介します。最近子どもの便の状態を知らない! という場合、子どもに直接ヒアリングをし、いくつ当てはまるか聞いてみましょう。
【うんちの状態】
- かたい、コロコロしている
- 3日以上出ない
- うんちをするときに痛みや出血がある
- いきんでも出ない
【おなかの状態】
- いつもおなかが張っている
- おなかが痛い
- 便意を感じない
【生活習慣】
- 水分をあまりとらない
- 朝食を食べない
- あまり運動をしない
確認しておきたい項目は以上です。
当てはまるものが多かったら、おなかの調子を改善させたほうが良い可能性もあります。
原因を探り、対策をしてみましょう。
※参考:
小学生の便秘 イチジク浣腸20|イチジク製薬株式会社
子どもの便秘 | コーラック | 大正製薬
小学生が便秘になる原因
小学生が便秘になる原因は、どのようなことなのでしょうか?
当てはまるものがあれば改善の余地があるかもしれません。
学校で我慢している
学校でうんちを我慢する子どもは多いですが、これが便秘の原因になっていることがあります。
学校では便意があっても、友達にからかわれるのではないか、知られたくない、という思いから我慢をして、排便のタイミングを逃してしまうのです。
また小便器と個室が別々になっているトイレの場合、個室に入ること自体を恥ずかしいと感じてしまう子どもも少なくありません。
一方、自宅で洋式トイレに慣れており、学校の和式トイレでうんちができない子どももいます。
大人からみるとささいな原因ですが、子どもにとっては大きな問題です。
※参考:
小学生の10.0%が便秘状態で21.3%は便秘予備軍 外出自粛のときだからこそ便秘予防(加藤篤) – 個人 – Yahoo!ニュース
なぜストレスがたまると便秘になるの?【医師に聞く】
新しい生活様式によるストレス
昨今、新型コロナウイルスの流行によって子どもが受けているストレスも、便秘の原因の一つです。
感染への不安があることはもちろん、学校に毎日行けない、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなど、今までの生活からガラリと変わったことで、子どもたちにはとても辛い思いをしていることでしょう。
新型コロナウイルスを原因としない場合でも、小学校に入学したばかりの1年生は環境の変化によるストレスを抱えているかもしれません。
ストレスがかかると交感神経が優位になりますが、これが腸の動きを悪くし、便秘を誘発してしまうことがあります。
※参考:
子供の便秘症|便秘を放置するとどうなる?|京都市右京区の林真也クリニック
こどもの便秘症のお話 | 広島大学大学院 医系科学研究科 外科学
便秘を放っておくとどうなるの?
子どもの便秘を放っておくと、大人が思うより大ごとになるかもしれません。
まず排便機能が育たないので、大人になっても便秘に悩むことになる可能性があります。
さらに排便習慣が身についていないと、精神面も悪影響を及ぼします。
イライラしたり、多動になったり、学習障害を引き起こすこともあるようです。
便秘かも?と疑問に思ったら、放置することなく、親子で改善に取り組むのがおすすめです。
※参考:
こどもの便秘症のお話 | 広島大学大学院 医系科学研究科 外科学
子供の便秘症|便秘を放置するとどうなる?|京都市右京区の林真也クリニック
快便習慣を身につけるためにやるべきこと
快便習慣は、いくつかの対策を毎日継続することで、徐々に身につく可能性があります。
どのようなことをしたらいいかチェックしてみましょう。
朝食を食べてうんちをしてから学校へ
快便体質になりたいなら、「朝食を食べて、学校に行く前にうんちを出す」という習慣をつけるのがおすすめです。
「朝スッキリ出す→学校で運動→たっぷり睡眠→朝食を食べる→自然な便意でスッキリ出す」
このサイクルを目指しましょう。
しかし、朝に時間がないと、ゆっくりトイレに座っていられないため、サイクルを作る妨げになります。
朝にゆとりを持って起きられるように、夜更かしをほどほどにするなど、夜の過ごし方も見直しが必要です。
学校に行く前にうんちをしていれば、学校で便意を我慢する回数も減らすことができます。
毎朝決まった時間に、ゆとりを持ってトイレに座れるように工夫してみてください。
※参考:
小学生の便秘 イチジク浣腸20|イチジク製薬株式会社
明日からできる!子どもの便秘解消法 – 子供の便秘 | イーベンnavi
バランスの良い食事を取る
便秘改善のためには、バランスの良い食事を日に3度、しっかり取ることも大切です。
おなかのために良いといわれている食材には、以下のようなものがありますので、積極的に取るようにしましょう。
【おなかのために積極的に取りたい食材一覧】
食材の種類 | おなかに良い食材 | 便秘に対する食材の効果など |
---|---|---|
オリゴ糖や乳酸菌を含むもの | りんご、バナナ、ヨーグルト | 腸内環境を整える |
水溶性食物繊維 | 海藻類、果物、いも類、ネバネバ野菜 | うんちをやわらかく、出しやすくする |
不溶性食物繊維 | 豆類、根菜類、きのこ類、皮付き穀類や雑穀 | うんちの素になって腸の動きを促す |
ここで大切にしたいポイントは「おなかに良い」といわれているものばかりを取るのではなく、さまざまなものを食べること。
また、嫌いな食材は無理強いしないようにしましょう。
※参考:
明日からできる!子どもの便秘解消法 – 子供の便秘 | イーベンnavi
Vol.2 便秘解消に役立つ食べ物や飲み物とは? | コラム|便秘解消! | 酸化マグネシウムE便秘薬|健栄製薬
便秘解消におすすめの食べ物・食事|スルーラック【エスエス製薬】
水分を取る
便秘を解消するためには水分補給も必要です。
便秘を解消するために水分を取っても、便の量はあまり変わらないともいわれますが、水分はうんちをやわらかくするためには不可欠な要素ですので、便秘にならないように予防的に摂取するには大切と考えて良いでしょう。
水分不足はうんちを固くして動きにくくしてしまうことが知られており、特に夏場は汗で水分が失われるため便秘になりやすいという事情もあります。
新型コロナウイルスの流行後、学校には水筒を持参することが増えていますが、休日も飲み物を携帯しこまめな水分補給を心がけるといいですね。
たくさん体を動かす
うんちは、腸の「ぜん動運動」によって肛門へと送り出されています。
ところが、運動不足によって腸を動かす筋力が落ちてしまうと、腸の動きにも影響が出るのです。
子どもは遊ぶのが仕事!学校や外で、元気に遊んで体を動かすことが、腸を動かすことにもつながります。
このほか、子どもにもできる便秘解消体操を取り入れるのもおすすめです。
※参考:便秘になる原因・理由は?|スルーラック【エスエス製薬】
病院に行く目安
ここまで挙げてきたような方法でさまざまに工夫をしても便秘が解消しない場合、一度病院を受診してみるのがいいかもしれません。
病院に行く目安としては、
- 1週間以上、便が出ていない
- お腹が張っていて痛みがある
- 嘔吐や下痢がある
- 肛門が痛くてうんちができない
などがあります。
これらの症状がなかったとしても、ほかに子どもが不快に感じる症状がある場合は、病院に受診、相談してみるのがおすすめです。
逆に、夜間に強い痛みに襲われるなど、強い症状がある場合は、救急病院への受診や救急車の要請も必要になることがあります。
子どもの顔色を日頃からチェックし、いつもと違う場合はためらわず専門医を頼りましょう。
※参考:子どもの便秘は何が原因なの?~日常生活でできる対策と受診の目安~ | メディカルノート
自己判断で薬を使わない
子ども用の浣腸やお腹の薬は市販されており、身近な薬局でも手に入りますが、安易に自己判断で薬を使うのはちょっと待ってください。
症状や状態は一人ひとり違いますので、薬を使いたいならきちんと医師に診断してもらい、必要であれば薬を処方してもらうことが望ましいでしょう。
必ず小児科や小児外科、あるいはかかりつけの先生を受診し、医師の判断を仰ぐことをおすすめします。
※参考:便秘ガイドライン〈患者様〉
まとめ 小学生の便秘は放置しないで!心配なことは受診して相談を
小学生の便秘は、生活リズムの改善、運動、食事の見直しなどをおこなうことで改善する可能性があります。
大人になるまで心身ともに影響する可能性もありますので、「そのうち治る」と放置せず、親子で改善に取り組んでみてください。
場合によっては小児科、小児外科を受診するのもポイントです。
日頃から生活リズムに気をつけ、子どものおなかの状態が快適に保てるよう見守ってあげましょう。