農林水産省がおこなう「食品価格動向調査」では、ほとんどの食品が例年よりも割高になっています(2023年11月現在)。
物価高が家計を圧迫するなか、これまで以上に節約を考えて買い物をしている方が多いのではないでしょうか。
そんななか、おすすめしたいのが「リボベジ(再生野菜)」です。
少しだけ野菜を使いたいときに、手軽に手に入れられるようになりますよ。
ママライタープロフィール
15歳と19歳の息子を持つ福岡在住のライター。(※原稿執筆時)
情報誌勤務を経てフリーランスのライターとして活動中。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、興味のおもむくままに楽しんでいます。
息子たちには野球マニア、潮干狩りのプロと呼ばれています。
リボベジとは
リボベジはリボーンベジタブル(Reborn Vegetable)の略です。
調理のときに捨ててしまう野菜の根やヘタの部分は、水につけたり土に植えたりすると再び葉や茎を伸ばし始めます。
再生した野菜はサラダや汁物、炒め物に入れて、気軽に使うことができます。
リボベジの始め方
リボベジは、水に付けて発根させる水耕栽培や、根が出たものを土に植える方法、野菜から種を採取して撒く方法で楽しめます。
水耕栽培
水耕栽培は根の部分を水に浸して、葉を再生させる方法です。
大根や人参、カブなどは調理に使ったヘタだけの部分を土に植えても再生しませんが、水耕栽培なら葉が成長します。
ネギ、豆苗、小松菜などは室内で育てたいときは水耕栽培で、屋外で大きく育てたいときは、水につけて発根したあとに土植えにすると成功しやすいです。
気温が上がるとコバエが発生しやすくなるので、水についている部分のぬめりを取り、毎日水換えをすることが大切。
空き瓶やヨーグルトの容器(4つセットのもの)、小皿に醤油を入れる容器など、小さくてかわいい容器を使い、インテリアや観葉植物のように飾るのがおすすめです。
土植え
ネギ、豆苗、ミツバ、小松菜など、根が生える野菜は土に植えて再生できます。
根が生えていない状態で土に植えてもすぐ枯れてしまいますが、根が生えた状態で売っているものや水耕栽培をして十分に根が出たものは、土に植えると大きく育ちます。
種まき
ピーマンやトマトから種を採取して、乾燥させてから撒くと発芽します。
トマトはゼリー状の部分を洗って取って乾かしましょう。
土に直接撒く方法と、濡らしたコットンの上に置いて発芽させてから土に植える方法があります。
トマトやピーマンの種まきに適した時期(春)に撒いた方が良く、収穫までに時間がかかるのが難点ですが、種から野菜を収穫する過程は楽しいです。
子どもとの実験にもおすすめです。
野菜のタイプ別!成功するリボベジ方法
根が生える葉物野菜と、可食部や芯から育てる野菜では栽培の方法が異なります。
野菜のタイプ別にリボベジが成功しやすいポイントを紹介します。
根が生える野菜
根が生える野菜は、十分に発根させることが成功のポイントです。
私は野菜を購入する際に、あえて根が生えているものを選んで再生させています。
春菊など、根より少し上を切って売っている野菜は再生が難しいです。
ミツバやネギ、豆苗は根が生えた状態で売っていることが多いので再生しやすく、小松菜も根に近い部分を切っているので再生させられます。
リボベジしようと決めている場合、野菜を調理するときに、根と葉(茎)の境目を切るのではなく、根についた葉(茎)の部分を長く残すイメージ(根から5cmほど上)でカットします。
ミツバや小松菜などは、小さな葉が残っているとさらに成功しやすいです。
根が生える野菜は上に伸びるため倒れやすく、うまく調整しないと水につからなかったり、逆につかりすぎたりして、十分に根を生やせずに失敗することがあります。
最初は筒形の小さめの容器を使って、水につかりすぎないように調整すると良いでしょう。
スポンジに挿す方法もありますが、私はうまく吸水させることができずに失敗して以来、おこなっていません。
根と茎の境目の部分は腐りやすいので、上のミツバの写真のように根の部分だけがつかるようにできれば成功しやすいと思います。
可食部や芯から育てる野菜
人参、大根、カブ、キャベツなどは、食べる部分や芯の部分を水に浸して葉を育てます。
ヘタの部分をカットして水に浸す場合、断面が広く、置いたときに安定するので、水につかる部分を調整しやすく成功しやすいです。
購入するときに、ヘタから少し葉が生えているものや、ヘタの部分が瑞々しいものを選ぶのがポイント。
実は、大根やカブを冷蔵庫で保存するときに、葉をつけたまま保存すると栄養が葉に取られて、可食部が瘦せるといわれています。
買い物から帰ったら、冷蔵庫に入れる前にヘタの部分をカットし、可食部は冷蔵庫に保存、ヘタはすぐに水につけることを習慣にすると良いかもしれません。
水が多すぎるとぬめりが出たり腐ったりしますが、カットしたばかりのタイミングで比較すると、根が生える野菜よりも水を吸う速度が速いと感じます。
水が少なすぎると葉が元気に成長しないので、状態を見ながら水の量を増減しましょう。
可食部が黒ずんで腐ることがありますが、この状態から復活することはないので廃棄します。
今、リボベジをおすすめする理由
節約や物価高という側面以外にも、今だからこそリボベジをおすすめする理由があります。
SDGsにもつながる!リボベジでごみ削減
私はリボベジ用に、消費期限が近く値下げされた野菜を購入することがあります。
特に、根がしっかり出た野菜を見つけると、可食部に多少傷んだ部分があっても購入して再生させます。
食べられる食品を廃棄する食品ロスが問題になっていますが、リボベジは食品ロス対策にもなります。
また、リボベジは、本来捨ててしまう部分を使って再生するため、SDGsの目標のうち「飢餓をゼロに」「つくる責任つかう責任」といった複数の項目に当てはまります。
家にあるものと、食べるために買ってきた野菜を使うので、初期費用も必要ありません。
寒い季節はリボベジを始める好機!
リボベジのデメリットである虫の発生や、腐敗のリスクが低いのは寒い季節です。
「虫が湧いたら嫌だな」と躊躇している方や、「すぐ腐ってダメにしてしまった」という経験がある方は、室温が低い時期に始めるとリスクを下げられると思います。
もちろん、水換えやぬめり取りは必要です。
一方で、気温が高く十分に日光が当たる季節には植物が成長しやすいというメリットがあります。
観葉植物として楽しみながら、気軽に収穫可能
リボベジは、はまるととても楽しいです。
植物が再生していく様子を毎日見るのも楽しいですし、野菜を食べる楽しみも増えます。
水耕栽培は室内でおこなうので、可愛い器に入れて観葉植物のように楽しむこともできます。
「ちょっとネギが欲しい」「お吸い物の具が足りない」といったときに、さっと収穫できるのも魅力。
いろいろと試してみると「この野菜も再生できた!」「こんな風に再生するんだ……」と新たな発見があります。
リボベジで食卓の野菜不足を防ぎ、物価高に対抗!
リボベジにはたくさんの楽しみがあります。
野菜を食べる機会が増え、室内にグリーンが増えます。
食品ロス対策や節約のためにおこなうと考えると堅苦しくなってしまいますが、楽しみが増えると思って気軽に始めてみませんか。
野菜再生の仕組みがわかるので、子どもと一緒に試してみるのもおすすめです。