2022年10月1日からパート・アルバイトの社会保険加入条件が変更になったことは知っていますか。
「今までと変わりなく扶養の範囲内で働くから大丈夫」と思っていても、加入条件が変わったことで実は自分が該当しており、パート先の社会保険に加入せざるを得ないケースも起こるため、気をつける必要があります。
どのような働き方がベストなのか、社会保険加入のメリットやデメリットを踏まえ、現状や将来も含めて考えてみましょう。
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目次
社会保険への加入が義務付けられるパート・アルバイトの条件
短時間勤務のパート・アルバイトでも、以下の条件に当てはまれば社会保険に加入しなければなりません。
- 週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない(※休学中や夜間学生は加入対象)
- 従業員数101人以上の勤め先
以下に、それぞれの条件を詳しく解説します。
※出典:パート・アルバイトのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省
1.週の所定労働時間が20時間以上
所定労働時間とは、雇用契約で取り決めた始業から終業までの休憩を除いた勤務時間を指します。
残業時間などを含んだ実働時間ではなく、あくまでも契約上の勤務時間が所定労働時間です。
所定労働時間の一週間の合計が20時間以上になる場合は、パート・アルバイトでも社会保険に強制加入となります。
ただし、所定労働時間が20時間未満の契約でも、常に残業が発生するなど、実働時間が週20時間以上の状態が2ヵ月続いた場合は、3ヵ月目から社会保険加入の対象となります。
2.月額賃金が8.8万円以上
8.8万円は源泉所得税が発生する目安の金額です。
社会保険もそれに合わせ、月額賃金が8.8万円以上になる場合は社会保険加入の対象です。
年収にすると105.6万円以上となるため、四捨五入して「106万円の壁」と呼ばれています。
給与明細で支給額が8.8万円を超えていても、残業代、通勤手当、家族手当などは含みません。
自分の月額賃金がわからない場合は、次の計算式で求めることができます。
「月額賃金=時間給×週の所定労働時間×52週÷12ヵ月」
※賞与や祝い金などは含まれません。
3.2ヵ月を超える雇用の見込みがある
雇用期間が2ヵ月以内の短期契約であっても、雇用契約書・労働条件通知書などに「更新の可能性あり」などの記載があれば、社会保険加入の対象になります。
また、同様の雇用契約で働く従業員が、更新で2ヵ月以上労働した実績がある場合も、2ヵ月を超える雇用の見込みがあると判断され、雇用の最初から社会保険が適用されます。
4.学生ではない
パート・アルバイトとしての雇用契約であっても、学生は社会保険加入の対象とはなりません。
ただし、対象外となるのは昼間学校に通う学生のみであり、夜間学校、通信制、定時制などに通う学生あるいは休学中の学生は、社会保険の加入対象になります。
また、卒業後もその会社に就職する場合、週の所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上あれば、社会保険の加入が必要です。
5.従業員数101人以上の勤務先
パート・アルバイトの社会保険の適用は、以前は従業員数が501人以上の企業に適用されていました。
しかし、2022年10月の法律改正により、従業員101人以上の企業で働くパート・アルバイトは社会保険の加入対象となりました。
さらに、2024年10月からは「従業員51人以上の企業」が社会保険強制加入の対象になります。
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パートの社会保険加入条件は2022年9月までと何が変わった?
2022年9月まで | 2022年10月~(現行) | 変更の有無 | |
---|---|---|---|
勤務先の従業員数 | 501人以上 | 101人以上 | 有 |
週の所定労働時間 | 20時間以上 | 20時間以上 | 無 |
月額賃金 | 8.8万円以上 | 8.8万円以上 | 無 |
雇用見込み期間 | 1年以上 | 2ヵ月以上 | 有 |
学生か否か | 学生でない | 学生でない | 無 |
2022年9月までは、上記の表のとおり「勤務先の従業員数が501人以上」の会社であり、また「雇用見込み期間が1年以上」のパート・アルバイトに対して106万円の壁が存在しました。
しかし、2022年10月からは、従業員数が「101人以上」かつ雇用見込み期間が「2ヵ月以上」となったことで、社会保険の加入対象者が増えたことになります。
この法改正により、今までとは働き方が変わらなくても、社会保険加入の対象者になっているかもしれません。
さらに、2024年10月からは勤務先の条件が拡大されるため、現在対象外でもいずれは社会保険の加入対象になるかもしれないことを理解しておきましょう。
それによっては従業員数の少ない企業への転職や、労働時間を短縮するなどの対策も視野に入れなければなりません。
パートで社会保険に加入するメリット
社会保険料に加入するということは、配偶者の扶養から外れることを意味します。
よくわからないまま扶養の範囲内で働いている方もいるかもしれませんね。
ここでは、社会保険に加入する主なメリットを4つ解説します。
将来受け取れる年金額が増える
扶養から外れて自分が社会保険に加入することで、国民健康保険の老齢基礎年金にプラスして厚生年金が上乗せされます。
夫の扶養内で働いている場合は国民年金第3号被保険者となり、受け取れる年金は老齢基礎年金のみです。
つまり、厚生年金を自分で払えば、給与や賞与の金額や加入期間に応じて老齢厚生年金が加算されるため、将来的に毎月受給できる年金額が増えることになります。
傷病手当金や出産手当金が受給できる
社会保険に加入していると、病気やケガ、出産などで働けないときも傷病手当金や出産手当金が受け取れます。
例えば、病気やケガが原因で働けず、連続して会社を欠勤した場合、4日目以降、欠勤した分に対して傷病手当金が支給されます。
また、出産で出勤できなかった場合も同様に、出産日以前42日(出産日含む)と出産翌日以後56日目まで、休んだ日数分を対象として出産手当金が支給されます。
このように収入が得られないときも、手当金によって生活が保障されるのが社会保険に加入する方の特権です。
休んだ分の全額保障というわけにはいきませんが、3分の2程度の額を受給できるため心強いですね。
ただし、夫の扶養に入っている場合は、扶養している妻や子に対してのこれらの手当金はありません。
※出典:
傷病手当金 | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
出産で会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
130万円の壁を気にせず働ける
これまでは夫の扶養内で働こうとすると、社会保険の扶養から外れなければならない、いわゆる「130万円の壁」を気にする必要がありました。
現在は、年収106万円(月収8万8千円)以上が社会保険加入の目安となります。
社会保険加入を前提とする場合、もう130万円の壁を気にすることなく働けるようになるため収入も増やせます。
保険料を会社と折半できる
健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、雇用側が労働者の保険料の半額を負担して納めています。
つまり、毎月天引きされる社会保険料と同額を、毎回会社が上乗せして支払っていることになります。
これを労使折半といい、会社の法定福利費として、社会保険に加入している従業員全員の半額分を会社が負担することを法律で定めました。
会社を辞めて国民健康保険料を自分で納めることになった方が保険料が高いと感じるのは、今まで半額で済んでいたためです。
扶養内で働く場合は社会保険料の負担はありませんが、社会保険に加入すれば、保険料は半分の負担で手厚い保障が受けられます。
パートで社会保険に加入するデメリットは手取りが減ること
夫の扶養に入っていた場合は、扶養から外れてパート先の社会保険に加入すると、社会保険料を給与から天引きされるため手取りが減ります。
そのため、扶養内に調整していたほうが手取りが多くなる逆転現象が見られることも珍しくありません。
手取りだけに目を向ければ社会保険加入はデメリットと感じられるかもしれませんが、長期的な視点ではメリットも多くあります。
今後は、やりたいだけ思う存分働けるので、上限を気にせず収入を増やせます。また、年金が増えるので老後の安心感も得られるでしょう。
年間給与 | 保険料額 |
---|---|
120万円 | 9,000円 |
150万円 | 11,600円 |
200万円 | 15,600円 |
250万円 | 18,300円 |
300万円 | 23,800円 |
※出典:配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省
夫の扶養内で働きたい場合は?
夫の扶養から抜けたくない場合は、勤務先の社会保険の加入対象条件から外れように働かなくてはなりません。
つまり、働く時間と日数を調整して、週の労働時間を20時間を超えないようにすることです。
その場合でも、正社員の3/4未満かつ、年収106万円を超えないように調整する必要があります。
しかし、それでは家計の足しにならないという場合は、パートをかけ持ちする方法もあります。
106万円の壁は、1カ所の勤務先での話です。
ただし、かけ持ちしている勤務先の合計年収が130万円を超えると夫の社会保険の扶養から外れてしまうため、その辺の見極めが難しいところです。
まとめ
フルタイムでなく短時間のパートで働くからには、扶養範囲内に抑えるのが当然と思っていた方もいるのではないでしょうか。
物価の高騰が家計に影響する昨今、どの程度の年収を目指して働くのがいいのか、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。
子どもが小さいうちは106万円の壁を超えないように気をつけながら、子どもの手が離れてからは勤務時間を増やして収入アップを目指すなど、ライフスタイルに合わせた働き方も検討してみてください。
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