思春期になり、勉強が忙しくなる中学生。
睡眠が心と体の成長にもたらす影響は大きいといわれています。
わが家の二人の息子は、中学生になった頃から朝起きられないようになり、日中も眠そうなことが増えました。
毎朝「早く起きなさい」「遅刻するよ!」と子どもに声をかけながら、「睡眠時間は足りているのだろうか」「授業中に眠くなっているんじゃないか」と心配している保護者の方は多いかもしれません。
この記事では、就寝時間の実態や理想の睡眠時間、睡眠が心と体にもたらす影響を解説します。
ママライタープロフィール

15歳と19歳の息子を持つ福岡在住のライター。(※原稿執筆時)
情報誌勤務を経てフリーランスのライターとして活動中。
DIYやお笑い鑑賞、フリマアプリで不用品を売ったり、ポイ活をしたりと、興味のおもむくままに楽しんでいます。
息子たちには野球マニア、潮干狩りのプロと呼ばれています。
中学生の睡眠習慣の実態
文部科学省が平成26年におこなった調査によると、中学生の就寝時刻のうち、最も多いのは午後11時~午前0時前(35.2%)、2番目が午後10時~午後11時前(33.1%)、3番目が午前0時~午前1時前(14.4%)でした。
この調査では、中学生の22%が午前0時以降に就寝している、ということもわかりました。
翌朝、午前7時頃に起きると仮定すると、中学生の睡眠時間は、就寝時間が午後11時~午前0時前の子どもで7~8時間、午前0時~午前1時前では6~7時間ということになります。
同じ調査では、携帯電話やスマートフォンで通話、メール、インターネットをする時間が長い小中高生ほど、就寝時刻も遅くなっていました。
睡眠不足とスマートフォンや携帯電話の利用は、大きく関わっていると考えられます。
また、ニフティキッズの調査「夜ねる時間と睡眠について」によると、中学生は睡眠が足りていない理由を「家での勉強に時間がかかる」「YouTubeなどの動画を見ている」「部活で帰りが遅い」「塾で帰りが遅い」などと答えています。
理想的な中学生の睡眠時間とは
アメリカの国立睡眠財団の調査によると、6~13歳の子どもに望ましい睡眠時間は9~11時間、14~17歳は8~10時間です。
起床時間を午前7時と仮定すると、8時間睡眠の場合は午後11時就寝、9時間睡眠の場合は午後10時就寝、10時間睡眠の場合は、午後9時就寝となります。
文部科学省の調査では、午後10時~午前0時前に就寝している生徒が全体の68.3%を占めており、起床時間が午前7時なら、これらの中学生は十分な睡眠時間を得られていることになります。
睡眠不足を心配しなくて良い中学生は案外多いのかもしれません。
一方で、午前7時前に起きたり、午後0時以降に就寝したりする場合は、十分な睡眠時間が確保できない可能性が高いです。
心と体の成長に睡眠はどう影響する?

睡眠が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、思春期の心身の成長にどのような影響があるのでしょうか。
具体的に解説します。
体の成長への影響
成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠時に多く分泌されることがわかっています。
体の成長に作用する成長ホルモンは、単に身長を伸ばすだけではなく、代謝の調節や筋肉量・身体機能の正常な維持などに必要です。
また、睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモンが減少し、食欲を高めるホルモンの分泌が増えるため、食欲が増し、肥満のリスクが高まります。
肥満は、生活習慣病(糖尿病や高血圧)につながることも。
「若いから大丈夫」と油断してはいけません。
その他にも、睡眠が不足すると免疫力が下がり、風邪をひきやすくなることがわかっています。
学習や精神面への影響
慢性的な睡眠不足は、意欲低下、記憶力減退などを引き起こします。
うつ病などの発症率を高め、症状を悪化させる要因にもなります。
早寝早起きをしている人と、遅寝遅起きをしている人を比較した研究では、早寝早起きをしている人の方が勉強やスポーツで良い成績をおさめたという結果も出ています。
この結果に影響しているのが、記憶の整理や定着をおこなうレム睡眠です。
一方で、ノンレム睡眠時に多く分泌される成長ホルモンは、心理的な健康感にも作用します。
人間は睡眠時にノンレム睡眠(体を休める)、ノンレム睡眠(記憶の整理や定着をおこなう)を繰り返しており、睡眠リズムが整っていることが大切です。
良好な睡眠リズムを身につけるには

就寝前の生活習慣を工夫すると、ノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが整った、質の高い睡眠を得ることができます。
食事、入浴、就寝直前のスマートフォン・携帯電話の影響を解説します。
食事の時間
夜遅くに食事をとると、寝ている状態なのに消化のために胃腸が働いてしまい、睡眠の質が低下します。
このことから、夕食は就寝の2時間前までにしたほうが良いと言われています。
「塾から午後10時頃に帰ってきて、深夜0時に寝るとして、2時間前の食事は難しい」という方は、食事の内容を工夫してみて。
脂っこい食事は避け、うどんやぞうすい、パンなど、消化に良いものを中心に摂るようにしましょう。
入浴習慣
就寝の約3時間前に脳の温度を上げると、入眠時に脳の温度がぐっと下がり、寝つきが良くなります。
ただし、就寝直前に脳の温度を上げると、体が興奮して寝つきが悪くなるので、タイミングが大切です。
入浴時は脳の温度が上がるため、いつ入浴するかは睡眠の質に大きく影響します。
体温上げるのに効果的な湯温は38度で25~30分、42度で5分程度で、就寝の2~3時間前に入ると良いでしょう。
半身浴でも寝つきは良くなるといわれています。
スマホとの付き合い方
スマートフォンの液晶画面から出る光にはブルーライトが含まれていることがあります。
ブルーライトは太陽光にも含まれていて、日中に浴びれば行動を活性化し、体内時計を整えるのに役立ちます。
しかし、夜に浴びると逆効果。
睡眠を促すメラトニンを抑制するため寝付けなくなり、朝起きるのが辛くなってしまいます。
「光」は人間の体内時計のリズムを整える重要な存在です。
朝、太陽の光を浴びることで人間の体内時計は24時間周期に調整されます。
もし、夜に強い光を浴び続けたら……体内時計のリズムは乱れ、心身の不調を引き起こします。
「朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる」と同じように「夜、寝る前はスマホやゲーム機を見ない」を習慣化することが大切です。
とはいっても、布団に入って寝付くまでの間、ついついスマホを触ってしまう子どもは多いでしょう。
「ベッドにスマートフォンを持っていかない」「リビングに充電器を置き、寝る前に充電する」など“ついついスマホを見る習慣”がなくなるような工夫を、各家庭で話し合ってみましょう。
規則正しい睡眠習慣は中学生の成長に重要

中学生の心身の成長には、まとまった睡眠時間の確保と正しい睡眠習慣が大切です。
しかし、わが子に早く寝るように伝えても、「早く寝たら、したいことが何もできない」「友達も皆、深夜過ぎまで起きている」などと言い、睡眠の重要性をわかっていないようでした。
中学生になると勉強や部活に忙しくなり、「スマートフォンや携帯電話を触る時間が息抜き」という子どもも多いでしょう。
就寝時間を守らせる、スマートフォンを制限する、といった強制ではうまくいかない年頃でもあります。
親は、睡眠の重要性を伝え続け、入眠や食事のタイミング、食事の内容を工夫するなどして、睡眠の質を下げないように見守ってあげたいものです。
※睡眠リズムには個人差があるほか、睡眠の質の低下には、睡眠時無呼吸症候群などの疾患が隠れていることもあります。
こうした場合は、医師にかかって診断を受けることが必要です。
関連記事
・小学生の睡眠時間はどれくらい必要?成長や学問への影響も探る
・【上級睡眠健康指導士が執筆】子どもの睡眠と生活リズムの整え方
参考
文部科学省|睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)
ニフティキッズ|夜ねる時間と睡眠について
文部科学省|早寝早起き朝ごはん
厚生労働省e-ヘルスネット|睡眠と生活習慣病との深い関係
厚生労働省e-ヘルスネット|眠りのメカニズム
日本小児内分泌学会|成長ホルモンとは
厚生労働省e-ヘルスネット|快眠と生活習慣




























