日本の伝統的な武道で、柔道や剣道と並んで知られる弓道。
アニメや映画などで目にする機会は多く、カッコいいイメージもあるので挑戦してみたいと思う子も多くいるのではないでしょうか。
「やってみたい!」と言われたら簡単には断れないのが親心ですが、気になるのは費用ですよね。
弓道部に入部するとどのくらい費用がかかるのか、必要な道具にかかる価格の目安とともに紹介します。
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弓道とは?何歳から始める?
「高校からはじめたい部活No.1」ともいわれる弓道。
まずは弓道の歴史や魅力を紹介します。
弓道とは?魅力や特徴
弓道は日本の伝統文化の一つです。
オリンピックなどで見かけるアーチェリー(洋弓)よりも長い弓(長弓)を使い、28m先にある直径36cmの的を射て的中を目指します。
その歴史はとても古く、旧石器時代末の銅鐸(どうたく)にはすでに長弓の絵が描かれているほど。
狩猟の道具として使われはじめた長弓は、武器としての役割を経て成熟し、心身の鍛錬と礼節を身に付ける武道「弓道」へと変化します。
弓道の思想は、一射ごとに正しい射法を目指す意味の「真」、礼節を慈しみの心を大切に常に平常心を保つ意味の「善」、真と善が成ったときに生まれる理想的な美しいカタチを意味する「美」の3つです。
「真善美」が揃うことこそが弓道における最終目標とされています。
矢を射る際にはとても高い集中が求められ、ほんの少しのズレが大きなズレにつながる弓道では、対人ではなく対自分との戦いです。
弓道で身に付けられるのは、正しい射型で矢を射るための肉体的な強さだけではありません。
己の心模様が如実に現れるため、どのような状況でも冷静に平常心を保つ精神力も養えます。
弓道はいつから始める?
弓道をはじめる時期で最も多いのは高校生です。
中学校の部活で弓道をはじめる子も多くいますが、小学生以下ではじめる子はあまりいません。
そもそも弓道には年齢の制限も性別の制限もありません。
老若男女を問わず誰もが平等に競えるのが魅力の一つながら、長い弓を持ち運んだり引いたりする体力は最低限必要です。
骨格ができあがっていないと体への負担が大きくなるため、多くの弓道場は中学生以上を対象としています。
体格に合わせた重さ(張力)の弓を使うとはいえ、最低限度の骨格の成長が見込める小学校高学年以上が目安です。
2017年時点で弓道の競技人口は14万人ほどいるとされ、そのうち高校生競技者は約半数を占めます。
中学生以下の競技者は1割程度しかいないので、体の成長を待ってからでも後れを取る心配はいりません。
弓道の練習内容は?
弓道の練習は、基本的にひたすら弓を引くのみです。
試合形式の練習もありますが、対人ではなく対自分との勝負である弓道では、ただひたすらに弓を引き、自分自身と向き合い精神力を鍛えます。
弓道をはじめる人が最初におこなうのは、基本動作である「射法八節(しゃほうはっせつ)」。
矢は持たず、弓だけを持って基本動作を練習します。
- 足踏み(あしぶみ)
- 胴造り(どうづくり)
- 弓構え(ゆがまえ)
- 打起こし(うちおこし)
- 引分け(ひきわけ)
- 会(かい)
- 離れ(はなれ)
- 残心/残身(ざんしん)
以上8つの動作が射法八節です。
これを覚えたら「ゴム弓」を使って一連の流れを練習したり、矢をつがえずに実際の弓を引いたりして動きを体に覚え込ませ、必要な筋肉を鍛えます。
その後「巻き藁」に向けて実際に矢を射る練習をし、基本の形ができたらいよいよ本物の的へ向けて弓を引く、というのが大まかな練習の流れです。
矢を射れるようになったら弓を引き、自分と向き合い、再び弓を引き修練を重ねます。
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弓道部で必要な道具や費用
弓道で使うのは、先ほど紹介したゴム弓のほかに本物の弓、矢、弽(ゆがけ)や袴など。
弓道の道具は高いものから安いものまでさまざまですが、一式揃えるとなると相応の費用がかかります。
本当に続けられるかどうかわからない状態で高額な道具を揃えるのが不安な場合は、弓道場にある貸し出し用の道具を使うのも手です。
部活であれば、先輩が寄付した道具があったり備品として用意してあったりするので確認してみましょう。
弓とゴム弓
弓道部で必要な道具のうち、最も高額なのが弓です。
グラスファイバー、カーボンファイバー、竹と品質が上がるにつれ価格も上がり、安い弓で25,000円程度、高い弓では100,000円を優に超えるものもあります。
また弓は使う人の身長に応じて適切な長さがあり、長いほど価格も高くなります。
- 三寸詰(身長145~155cm)
- 並寸(身長155~165cm)
- 二寸伸(身長165~175cm)
- 三寸伸(身長175~180cm)
- 四寸伸(身長180cm~)
ただ一般的に自分で弓を購入するのは最後の最後です。
上記のほかに強さ(弓力、引くときの重さ)も6~40kgまであり、自分に合った弓が見つかるまでには時間がかかります。
公営、私営の練習場であれ部活であれ、弓は基本的に貸してもらえるので購入する必要はないでしょう。
ゴム弓の価格は2,000円程度です。
ゴム弓は弓道に慣れてからも使い続けるものなので、仮に貸与してもらえる場合でも自前のものを用意するのも良いでしょう。
弓矢と矢筒
矢にも弓と同じように材質があり、ジュラルミン、カーボン、竹と品質が上がるに連れ価格も高くなります。
- ジュラルミン(15,000円程度)
- カーボン(25,000円程度)
- 竹(40,000~100,000円程度)
矢の重さは1本20~30g程度で、弓の強さに応じて重さが決まり、使う人の体格(矢束、腕の長さ)に合わせて長さが決まるためほぼオーダーメイドです。
部費で賄ってもらえる場合もありますが、基本的には自前で用意することになるでしょう。
はじめは一番安いジュラルミンの矢で十分ですが、1年も使うと矢についている羽が消耗してうまく飛ばなくなるため、修理もしくは交換が必要になります。
ジュラルミンの矢は修理すると割高になるので、消耗したら買い直すほうがおすすめです。
また巻き藁用の巻き藁矢が1,500~4,000円程度、矢を収納する矢筒(3,000円程度~)も必要になる可能性があります。
弓道用鹿革製手袋 (かけ)
「ゆがけ(弓懸、弽、韘)」ともいい、右手にはめて弦を引き絞る親指を保護する道具です。
右手の親指、人差し指、中指に被せるものを「みつがけ/みつかけ」、薬指まで覆うものを「よつがけ/よつかけ」というほか、流派や用途によってさまざまな形状があります。
一般的なみつがけで価格は20,000円程度から200,000円を超えるものまでありますが、基本的には安いもので十分です。
かけの下に装着する下がけ(内かけ)は200円程度から選べます。
かけも弓道部によっては貸与してもらえるため、必ずしも購入するとは限りません。
弓道衣(上衣、袴、角帯、足袋)
大会では必ず着用する弓道衣は、主に次の5つです。
- 上衣(3,000~4,000円程度)
- 角帯(2,000~10,000円程度)
- 袴(6,000~15,000円程度)
- 足袋(1,000~2,000円程度)
- 胸当て(1,000円程度)※主に女性
それぞれ以上のような金額で購入できるほか、初心者入門用のセット販売(例、上記5つセットで11,000円程度)もあります。
毎日弓道衣を着用して練習する場合は、汗が染みやすく洗濯頻度が高い上衣や足袋などは複数用意しておくと良いでしょう。
足袋や胸当て以外は基本的に買い替える必要はありません。
弓道部によっては揃いの弓道衣があるため貸与されることも多く、個人で購入する必要があるのか確認が必要です。
検定費や遠征費
弓道には級位、段位があります。
必ずしも受験する必要はないかもしれませんが、級位もしくは段位を得るためには認定試験の受験が必要です。
審査にかかる費用は審査料と登録料の2つで、合格した場合のみ登録料がかかります。
5~1級までの級位なら審査料1,030円、合格した場合は別途登録料1,030円。
初段は審査料2,050円+登録料3,100円、弐段なら審査料3,100円+登録料4,100円という具合で上がっていき、八段ともなると審査料10,300円+登録料72,000円もかかります。
ただ、一般的に高校生までに取れる段位は弐段までです。
高校生からはじめた人で参段、中学生からはじめた人なら四段を取得できれば稀に見る才能の持ち主といえるでしょう。
またその他に試合や審査会への交通費、遠方での試合や合宿の遠征費などの費用がかかります。
弓道部の初期費用の目安
弓道部の初期費用は、最も高額な弓を購入するかどうかが大きなポイントです。
試合や合宿の頻度などによっても変わりますが、目安として弓を購入しない場合は初期費用4万円ほど。
消耗品や年に1回矢を交換するとして、3年間で100,000円ほどです。
弓を購入する場合は、さらに25,000~40,000円程度かかります。
まとめ:安く抑えることも可能!
弓道部に入部する際にかかる費用を紹介しましたが、イメージどおりだったでしょうか。
弓道部はお金がかかるイメージを持っている方も多いようですが、中高生の段階で全額自己負担となる可能性は高くありません。
部の備品として貸してもらえることも多く、実際には個人で使用する消耗品や遠征費用などで足りる場合も多いので、まずは実際にかかる費用を弓道部に確認してみましょう。
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