今はシングルマザーが珍しくない時代で、厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要について」によれば141.9万世帯がひとり親家庭で、そのうちおよそ86.8%に当たる123.2万世帯が母子家庭となっています。
しかし、多くの母子世帯が貧困世帯となっているのが現状です。
今回は、なぜシングルマザーが貧困に陥ってしまうのか、その原因と子どもに与える影響を解説し、シングルマザーが受けられる公的支援をご紹介します。
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目次
シングルマザーの9割近くが「生活が苦しい」と感じている

厚生労働省の「2019年国民生活基礎調査の概況」によれば、母子世帯の86.7%が生活が苦しいと感じています。
そのうち41.9%は「非常に苦しい」、44.8%が「やや苦しい」と回答しており、「普通」と答えたのはわずか10.4%に過ぎません。
一方、児童のいる世帯(ひとり親ではない)で生活が苦しいと回答した方は60.4%、「普通」は35.6%でした。
生活状況に対する感じ方にずいぶんと開きがあることがわかります。
一般的な子育て世帯と母子世帯の収入の違いは?
総務省統計局の「国民生活基礎調査 平成28年国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯の総所得の平均が707.6万円であるのに対して、母子世帯の総所得は270.1万円でした。
可処分所得、つまり手取り金額で見ると、児童のいる世帯は551.6万円で、母子世帯は221.4万円です。
単純に金額を比較すると、母子世帯の総所得のほうが児童のいる世帯の半分以下となっています。
仮に母子世帯の可処分所得である221.4万円を月額収入として計算してみると、221.4万円÷12=18.45万円です。
一方、児童のいる世帯の可処分所得は月額50.0万円で、余裕が感じられます。
この金額で、家賃、食費、そしてどんどんサイズアウトしていく子どもの服を買って……と考えると、シングルマザー世帯では経済的に余裕がないことが実感として見えてきます。
※出典:
国民生活基礎調査 平成28年国民生活基礎調査 所得・貯蓄 報告書掲載
シングルマザーに貧困が多い理由とは?

では、なぜ母子世帯の働き手であるシングルマザーは、貧困になりがちなのでしょうか。
次に、その理由を考えていきましょう。
長時間働けない
シングルマザーは保育園や学童に子どもを預けて働くケースが多いですよね。
そうすると、お迎えの時間までに仕事を終わらせて帰らないといけません。
子どもが小学生ぐらいになれば、下校後に家で留守番をさせるケースもあるでしょう。
その場合でも、あまり長時間一人きりにはさせるのを避けたいと考えるママは多いです。
そのため、残業や夜の会合は断らねばならず、夜勤のある仕事にも就くことができません。
働く時間や場所が限られるので、おのずと仕事の選択肢が狭まり、結果として正規雇用の職に就きづらく低収入に陥ってしまいます。
非正規雇用者が多い
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要について」によると、シングルマザーの43.8%がパート・アルバイトの職に就いており、正規雇用で働いている方は44.2%でした。
同じひとり親世帯でも、父子世帯では68.2%が正規雇用、18.2%が自営業、パート・アルバイトは6.4%のみとなっていることから、シングルマザーとの境遇の違いが見えてきます。
当然ながら、雇用形態の違いは収入差にもつながり、母子世帯の平均年収は243万円であるのに対して父子世帯は420万円と、約200万円もの差があります。
※出典:
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果の概要について│厚生労働省
養育費がもらえていない
同じ調査から、元夫から現在も養育費をもらっていると回答したシングルマザーは24.3%に過ぎないこともわかりました。
驚くべきことに、56.0%は一度ももらったことがないと回答しています。
また、過去にもらっていたが現在はもらっていないと答えた方が15.5%でした。
現在、養育費をもらえていないシングルマザーが71.5%もいるということです。
そもそも、養育費の取り決めをしていると回答した方も42.9%に留まっています。
約束のある方が全員もらえていればまだマシですが、そうでない方も多いのが現状です。
親と同居していない
シングルマザーで収入が少なくても、親と同居してサポートが受けられれば、さまざまな面で負担は減らせるでしょう。
しかし、同調査結果から、ママと子どもだけで生活している母子世帯が61.3%と多数派であることがわかります。
仕事と家庭を両立できている方が多いという見方もありますが、同居できれば家賃や光熱費など経済面での負担を減らせるというメリットを検討してみる必要もあるかもしれません。
ちなみに、父と子のみのシングルファーザー世帯では、父親のほうの親と同居しているケースが44.2%と多くなっています。
父親は、それまでの経験上、育児と仕事を両立させることが難しいと判断する方が多いようです。
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シングルマザーの貧困が子どもに与える影響
シングルマザー家庭では、生活が苦しいと感じているママが多いことがわかりました。
では、そのことがどのように子どもに影響するのでしょうか。
続いて解説します。
十分な教育が受けられない
多くのシングルマザー家庭は経済的に余裕がなく、収入が食費や家賃などの生活費で消えてしまいます。
そのため、子どもの教育費にかけられるお金が少なくなりがちです。
子どもの習い事や塾にお金をかける余裕がないので、子どもが学校の授業についていけなくなった場合、子どもが自力でがんばるか親が教えてあげるしかありません。
しかし、親は仕事と家事、育児の両立で忙しいので、なかなかそこまでは手が回らないケースが多いのです。
子どもの学力低下のために進路の選択肢が狭まり、そもそも希望の進路へ進ませてあげられない可能性も出てきてしまいます。
貧困から抜け出せない
十分な教育が受けられないことや、貧しい家庭環境から、自身が大人になって独り立ちしたときにも貧困になりやすいといわれています。
なぜなら、質の良い教育を受けることの素晴らしさや、社会経験を積むことの重要性に気が付けない環境に身を置いているからです。
子どもが貧困のままで家庭を持ち、さらに子どもが生まれると、次の子も同じ状況になる可能性があります。
世代を超えて、負のサイクルから抜け出しにくくなってしまうのです。
自己肯定感が下がる
自己肯定感は、人生で大切な決断をしながら生きていくために必要な能力です。
しかし、子ども時代の環境によっては、この自己肯定感が下がってしまう可能性もあります。
家庭が経済的に苦しい状況にあると、友達は塾に行っているのに自分は行けない、自分だけ〇〇を持っていない、など友達との格差を感じることが増えてきます。
「「大阪子ども調査」結果の概要」によると、「自分は価値のある人間だと思わない」と感じている子どもは一般世帯が17%であるのに対し、貧困層では25%と1.3倍におよぶことがわかりました。
このように、所得の低さは自己肯定感の低さに影響があると思われます。
自己肯定感の高さは学力にも関係があるといわれ、進路選択や学歴、就職にまで影響を与える可能性があるので、大切にしたいものです。
※出典:
「大阪子ども調査」結果の概要
シングルマザーが受けられる公的支援をチェックしよう

シングルマザー家庭の生活が貧困状態にならないようにするために、受けられる公的支援は漏らさず受けましょう。
ひとり親家庭を支援する制度は複数ありますが、自治体特有の制度や条件の違いもあるので、細かい確認が必要です。
例えば、シングルマザーという立場は同じでも、夫と死別してしまった場合には、夫が受け取るはずだった厚生年金額の4分の3を遺族が受け取ることもできます。
ただし、離婚の場合は受け取ることはできません。
このように、住んでいる地域や家庭の事情ごとに受けられる支援は異なるので、まずは下記のリンクから受けられる支援をチェックしつつ、より詳しく知るために役所で相談してみましょう。
まとめ

シングルマザーは思うように働くことが難しいことも多く、十分な収入を得づらい状況に置かれがちです。
また、養育費がもらえていない方や、親と同居できずに経済的、体力的なサポートを得られない方もいるでしょう。
しかし、そのために経済的な余裕がなくなり、子どもに十分な教育を施せなくなると、子どもが大人になったときや、その次の世代の子どもまでもが貧困状態に陥る可能性も否定できません。
シングルマザーが受けられる公的支援は積極的に受けて、少しでも経済的な余裕を生み出せるよう、まずは受けられる支援の種類や内容をチェックしてみるのがおすすめです。
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