最近、小学生のスマホデビューは増加傾向にあります。
小学生のスマートフォン使用には、緊急時の連絡や情報収集などの利便性がありますが、一方で健康面での影響や個人情報の流出の危険もあります。
わが家のスマホデビュー体験から、小学生がスマートフォンを使用することのメリットとリスクを整理し、その解決策を考えます。
小学生にスマホデビューさせてみた
わが家では、小学6年生の時に「スマホデビュー」をさせました。
まず”子どもとICT”についてどのように考えていたのか、次になぜスマホデビューをさせたのか、お話しします。
スマホデビュー前の考え方
娘が2歳の時に、専用のiPadを導入しました。
なぜなら、生まれた時にはすでにスマートフォンがあり、インターネット環境が整っている世代なので、いち早くICTリテラシーを身に付けさせようと考えたからです。
ICTリテラシーとは、ICT(情報通信技術)を利用するために必要な知識やスキル、それを効果的に活用するための論理的思考力や判断力などを身に付けることです。
この頃のiPadの使い方は、お絵描きから始まり、幼児向けの動画を見たり、幼児向けのアプリケーションソフトウェア(アプリ)を使ったりしていました。
小学校に上がるまでに使用したアプリは、図形パズルなどが入った知育アプリや塗り絵アプリ、ひらがなやカタカナをなぞって書くアプリ、英語学習アプリ、プログラミングアプリなどです。
小学生になると、英語やプログラミングだけでなく、計算や地図暗記などの学習アプリを使ったり、動画を見たり、ゲームで遊ぶことも許していました。
私が気をつけた点は、iPadに長時間子守をさせないことです。
夢中で遊んでくれるのは良いのですが、親の代わりではありません。
大きくなるまでは、親が使い方を教えながら見守ることが大切です。
スマホデビューの経緯と理由
小学5年生頃から、スマートフォンをいつ持たせるか、家族で検討をしていました。
スマホデビューのきっかけは、単純に親の機種変更です。
実際にスマホを持たせて様子を見ることにして、古い機種をそのまま娘専用にしました。
スマホデビューした理由は、主に3つあります。
ひとつ目は、連絡用です。
小学校高学年になると、1人で出かけますし、留守番をすることもあります。
お互いに声で通話する必要を感じたからです。
2つ目は、iPadよりも荷物が軽くなるからです。
それまではiPadを持ち歩いていたのですが、スマートフォンにしてから荷物が軽くなりました。
3つ目は、電子マネーでおこづかいをあげることを考えたからです。
スマホデビューのメリット
実際にスマホデビューをしてみて感じたメリットを、5点紹介します。
緊急時の連絡手段
先の理由でお話ししたように、別の場所で買い物をしたり、外出先でふとはぐれたりしたとき、すぐに連絡できるようになりました。
また、緊急ではなくても、離れているときにお互いに質問したいときには、親子のみに制限したメッセージアプリで、やりとりをしています。
同様の方法で、習い事の先生達と直接メッセージのやりとりもしています。
例えばピアノであれば、弾き方が分からないところを教えてもらったり、次の課題の確認をしたりしています。
情報収集や学習に役立つ
情報収集や学習に役立つという点については、もともとiPadで実感していました。
スマートフォンにすることで、外出先でもより手軽に情報収集ができるようになりました。
電子書籍も入れているので、外出先で本も読んでいます。
また、宿題をするときも、手元に置いて活用しています。
例えば、漢字の熟語や慣用句とその意味を調べたり、英語の単語の意味や綴り、発音を調べています。
計算ドリルはタイマーをかけて時間を計っています。
アプリで遊べる
わが家では、幼児期からアプリで遊ぶことを許していました。
スマートフォンでも、ルールを守りながら、自分の好きなゲームをして遊んでいます。
実際に遊ばせてみて、どのような問題が起きるのかも含めて観察しています。
おこづかいは電子マネー
先の理由でも書きましたが、おこづかいを電子マネーで渡しています。
例えば、買い物に行くとき、1,000円をチャージして、この分は自分の好きなように使っていいよと言っています。
慣れないうちは、これ買って良い?と聞いていましたが、子どもが自分で判断して良いことにしています。
ついつい口を出したくなりますが、ぐっと堪えています。
次第に、次までに買いたい物があるからそれまで取っておこう、今回はこちらの方が得だからこっちを買おうなど、自分で試行錯誤するようになりました。
また、財布を持たなくて良いので、小銭に焦ることもなく、財布を無くさないか気にすることもなくなりました。
情報モラルの学習
このようにメリットはあるのですが、同時にさまざまな問題が起こるので、ひとつひとつ相談しながら解決することで情報モラルの学習に役立てています。
例えば、どのアプリにも大抵広告が出ますし、なかには子どもに見てほしくない内容も出てきます。
その場合、どのようにするか、子どもと話し合っています。
見ないようにしよう、触らないようにしよう、あまりに頻繁なときはそのアプリをやめよう、機能が良いものであれば広告を非表示にしよう、などです。
また、先生に質問を送りたいときは、きちんとした言葉を使うこと、感謝の気持ちを忘れないことなどを確認しています。
スマホデビューのリスクと子どもとの約束
スマートフォンを実際に使わせて見えてきた、4つのリスクについて整理します。
そして、そのリスクを解決するために、子どもとどのように話し合っているのか、ご紹介します。
スマホ依存
スマートフォンを持たせて、改めて、一歩間違えると依存症になるだろうと感じました。
大人でもインターネットを長時間見てしまうように、子どもならなおさら、自分の意思でスマートフォンから離れることは難しいです。
そこで、例えば、わが家の約束は、
▽宿題や習い事の練習などを全てやったあとで遊ぶこと
▽30分のタイマーをかけて、必ず休憩時間を取ること
▽就寝時間は守ること
としています。
不適切なコンテンツや誤情報に触れる
先述の「情報モラルの学習」でも触れましたが、子どもに不適切な広告が出てしまったり、間違った情報を検索したりします。
これらはかなりの頻度で生じる問題です。
インターネット上の情報は正しい情報とは限らないことや、正しい情報を得るためにどこを調べれば良いのか、教えています。
加えて、自分が間違った情報を流すことや、インターネットの情報をいわゆる「コピペ」することもモラルに反する行為として教えています。
健康への影響
長時間スマートフォンに夢中になると、姿勢が悪くなります。
背中を丸くして、同じ姿勢のまま画面を見ているので、首や腕などが疲れてしまいます。
夜寝る前に見てしまったり、暗い場所で見てしまったりして、夜眠りが浅くなってしまい、目の疲れも増えました。
これについては本人も自覚があるので、目を休め、姿勢を正すために、利用時間を制限することをお互いに確認しました。
個人情報の流出
実際にはまだ起きていませんが、個人情報の流出のリスクは常にあると考えています。
このため、インターネット上に何かを書き込む際には、個人を特定するような情報を書き込んでいないか、保護者が必ず確認するようにしています。
また、知らない人と子どもがインターネット上で知り合うことで起こった事件について、子どもと情報を共有し、なぜそのような事件が起こったのか、どうすればよかったのか話し合うこともしています。
スマホデビューにおける保護者の責任は大きい
実際にスマホデビューさせてみて、わが家はメリットが大きいと判断しました。
ただこれには、親がかなり関わることを前提に、許しているところも大きいと思います。
また、スマートフォンは持たせていますが、学校で禁止されているので友人とのやりとりは一切ありませんし、知らない相手とやりとりをするゲームもさせていません。
重要なことは、年齢に応じて、やって良いことと危険なことの線引きを明確にしておくことだと思います。
ちなみに、小さい頃からiPadを使い、現在はパソコンとスマートフォンを使用している娘は、動画編集もできますし、自分のホームページで趣味の記事も書いています。
パワーポイント等を使ってプレゼンテーションの資料を作ることもできますし、作文の下書きもパソコンでしています。
これからの時代には欠かせないICTリテラシー。
危険だから禁止するのではなく、危険について学びながら賢く使うことも考えてみてはいかがでしょうか。
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ママライタープロフィール
小学6年生の娘を持つママライター(記事執筆時)。
塾講師など教育経験が長い、元大学教員の博士ママ。現在はフリーで活動中。
厳選した蔵書は300冊以上の絵本マニア。
絵本、ボードゲーム、勉強法など、子どもの学習のお悩みや子育てのヒントになる情報を発信しています。