授乳はママと赤ちゃんの強い絆を感じられる時間。
それだけに、断乳・卒乳は赤ちゃんにとってもママにとっても大きなステップですね。
しっかり計画・準備して臨めたらいいけれど、さまざまな事情でそうはいかない場合もあるでしょう。
筆者もかなり唐突に断乳を敢行しました。
これから断乳・卒乳に向かうみなさんへのエールを込めて、経験談をシェアします!
ママライタープロフィール
福岡市在住、中学1年生の子どものママ(※原稿執筆時)。
日本史とテレビドラマ、BTSのオタク気味な雑食ライター。
書くこと、聞くこと、しゃべることが大好きで、子育て中のママたちをはじめ、多様な人々のインタビュー記事を作る活動もしています。
Speak yourself!
断乳する? しない? 迷いの日々
おっぱいが大好きな息子と、おっぱいが大好きな息子が大好きな私。
断乳の時期を決められないまま、時が過ぎてゆきました。
「断乳はずっと先」と思っていた頃
まわりを見ていると、1歳前後から断乳・卒乳する赤ちゃんが少しずつ増えていったように思います。
「育休を終えて復職するから」、「上の子のお世話もあるから、授乳が負担で」「母乳の量が減って、やめてもよさそう」などの理由が多いようです。
私はといえば、のんびりかまえていました。
息子は第一子、当時の私は専業主婦。おっぱいはまだ十分に出ています。
何なら、「息子が自然に卒乳するまで授乳してもいいな」と思っていたほどです。
今考えると、自分がそんなに我慢強いはずがなかったのですが……(笑)。
踏み切れない気持ち
1歳半頃から、時折、断乳が頭をよぎるようになりました。
息子はどちらかというと少食で、体重もなかなか増えません。
断乳すれば、食べる量が増えると聞きます。
ただ、小柄でも病気はほとんどせず、毎日元気いっぱいです。
むしろ、元気が良すぎて、ママは毎日ぐったり。
「せめて、夜ぐっすり眠れたら」と願うものの、おっぱいが大好きな息子を思うとなかなか決心がつきません。
私にとっても、授乳は子どもとの一体感を味わえる幸福な時間なのでした。
その日は突然やってきた
1歳10ヵ月のある日、計画性ゼロで断乳を始めました。
当然ながら、息子は号泣です。
「もう、おっぱいおしまい!」 唐突な決意
1歳10ヵ月。その頃、夜中の授乳回数がやたらと多くなっていました。
とはいえ、次々と生産できるほど、私のおっぱいにもはや勢いはありません。
息子も主食はすでに米です。
空腹というより、おしゃぶりの感覚でおっぱいを求めているようでした。
ちゅぱちゅぱと中途半端にしゃぶられ続け、「もうよかろう」と離すと号泣される。
夜中から明け方にかけて、これを2度、3度と繰り返すしんどさ、授乳経験のあるママはわかってくださると思います……。
ある日、限界は急にやってきました。
気が付くと、半分寝ながらおっぱいをくわえている息子を強引に引きはがしている自分がいました。
「もう、おっぱいおしまい!」
明け方5時半におっぱいから放り出された息子は、当然号泣です。
泣いてもママが助けてくれないので、本格的に覚醒し、お座りのスタイルで泣き続けています。
私は積み重なった睡眠不足もあり、起きる気力もなく背を向けて、ふて寝の態勢。
驚いて起きてきた夫に「もうやだ。きつい。おっぱいやめる」と宣言すると、彼が息子を抱いてリビングに連れて行ってくれました。
しばらく聞こえていた泣き声は、やがていつものかわいい話し声に変わりました。
朝ごはんを食べたりテレビを見たりするうちに、すっきりしたようです。
その日は、息子も私も長い時間昼寝しました。
号泣と大暴れの夜
さて、問題は夜です。
私が「寝る時間だよー」と声をかけると、息子は「おしゅみ(おやすみ)」とゴロンと布団に横になり、いつものようにママの胸元をまさぐります。
「ごめんね、おっぱいはもうナイナイなんだよ」と言ってその手を制すると、「夜も飲ませてくれないのか!」と衝撃を受けたもよう。
たちまち顔をゆがめて、大泣きし始めました。
「大丈夫だよ、寝るまで一緒にいるからね」と声をかけても、まるで聞こえない様子です。
抱きしめようとしても、激しく暴れて振り払われます。
「どうしてどうして? なんでおっぱいくれないの!」
「おっぱいなしじゃ眠れないもん!」
「ぼくのおっぱい、出して、飲ませて……!」
次から次に流れる大粒の涙に、言葉にならないそんな気持ちを感じ取り、私も涙が止まりません。
ごめんね、ママもおっぱいあげたいんだよ。
でももう決めたから、一緒にがんばろう……。
ママにとって、我が子の涙ほど胸が痛いものはありません。
息子が泣き疲れて眠るまで、1時間半ほどかかりました。
私はそのあとも、心がざわざわしてなかなか眠れませんでした。
一日ごとに、確実に成長!
最初の晩はどうなることかと思いましたが、子どもがおっぱいなしの夜に慣れてゆくまでに時間はかかりませんでした。
一夜明け、頼もしい姿
おっぱいでの寝かしつけをやめた夜。
息子は朝までに二度ほど目を覚ましましたが、枕元に用意したマグで麦茶を飲ませると、すぐに寝ました。
今朝からの睡眠不足とたくさんの号泣で、疲れていたのでしょう。
翌朝は、目覚めるやいなや、マグをつかんで麦茶をぐびぐびと飲む姿が頼もしい!
その後も、いつもどおり、とても元気です。
ゆうべの号泣などまるでなかったかのようで、さみしさすら感じます。
「成長はうれしい、でもちょっとさみしい」。子育てはそんな気持ちの繰り返しですね。
昼間抱っこしていると、息子がふと、Tシャツの胸元に手を入れておっぱいをつかんできました。
様子を見ていると、息子は「おっぱい、おっぱい」と言いながら、そーっと顔を近づけて、ぱくりとくわえました。
そして、私を見上げ、輝くような笑顔でにっこりと笑いました。
あまりにかわいくて拒絶できない……!
思わず1分くらい吸わせ、「あらら、おっぱいは、ナイナイだったよね~」と言うと、ふええんと泣きましたが、すぐに泣き止みました。
ゆうべとは様子がまったく違います。
おっぱいはもうおしまいなのだと、彼なりに理解し始めていたのでしょう。
そのけなげさに、私のほうが泣けました。
朝まで一度も起きなかった日
断乳二日目の夜、おっぱいなしの寝かしつけはやはり厳しく、号泣です。
気持ちが揺らぎそうになりますが、「ゆうべも大丈夫だったのだから」と心を鬼にします。
30分ほどで眠りに落ちていく息子。
楽しい30分はあっという間ですが、大暴れしながら泣かれる30分は長いです……。
夜中の2時半に泣き出し、おっぱいを求める仕草。
麦茶をあげようとすると振り払われます。
大声で泣くので、抱っこして背中をさすっていると、10分ほどで寝ました。
朝5時も同様で、つい「おっぱいを差し出せばお互いに楽になるのでは……」と頭をかすめましたが、すんでのところで思いとどまり、おっぱいを死守しました。
断乳三日目の夜は、泣いたけれど15分以内に就寝。確実に進歩しています。
しかも、朝まで一度も起きませんでした!
私もぐっすりです。この感動をどうたとえればいいでしょう。
朝とはこんなにもさわやかだったでしょうか(笑)。
断乳四日目の夜は、「一応泣いてみた」程度で、かなりスムーズな寝つき。
朝6時頃、一度泣きましたが、添い寝で背中をトントンしただけでまたすぐに眠りました。
ちなみに、急に断乳しても胸が張るなどのトラブルはありませんでした。
やはり、おっぱいの生産量はすでにかなり少なかったのだと思います。
親も子も Step by Step
結果的に、一気にではなく、一歩ずつゆっくりと卒乳に向かっていきました。
これがわが家のペースだったのだと思います。
ママの気持ちの動きを振り返る
断乳を始めて数日は、「あまりにも無計画に、自分の思いつきで息子からおっぱいを取り上げてしまった」と、罪悪感もありました。
おっぱいを欲しがって号泣する姿を見ると、気がくじけて挫折しそうにもなりました。
救いは、まずは夫です。
私の半分も悩むことなく、「これでお酒が飲めるやん」などと言って、私の心を軽くしてくれました。
何より、夜は号泣するものの、朝になるとケロリと元気な息子が頼もしかった!
「息子も私も、これまでたっぷり授乳を楽しんだ。もう卒業していい時期なんだ」と思えました。
座談会でも話した通り、子どもの適応力と成長力はすごいです!
「時々おっぱい」の日々から本当の卒乳へ
とはいえ、実は、そのとき完全に断乳したわけではありません(笑)。
昼間、息子がおっぱいを求めるときは、1、2分くわえさせることもありました。
「夜は完全に断乳したんだし、まぁいいか」と自分に言い訳しながら……。
やはり、おっぱいが大好きな息子が大好きで、授乳の時間を愛おしみたい気持ちもあったのです。
手帳を読み返すと、2歳4ヵ月の頃に「そろそろ本当に卒乳しそう」と書いていました。
夜の断乳から半年は、「昼間は時々おっぱい」の日々を続けていたことになります。
そんな息子も今は12歳。ママのハグにすら顔をしかめる元気な少年に成長しました。
おっぱいを求めて泣いていた姿も、今は大切な思い出です。
おわりに
さまざまな事情で計画的な断乳ができなかったり、計画が順調に進まず、悩むママも少なくないと思います。
私と息子の断乳は計画性ゼロでスタートし、子どももママもたくさん泣きました。
「こんなケースもあるんだ」「我が家もきっと大丈夫!」と感じてもらえたらうれしいです。