子どもが楽しくお絵かきを楽しんでいたら、いつの間にかあちこちに油性ペンのインクが……。
服、テーブル、床、壁紙やおもちゃなど、子どもにとって目に映るものすべてが感性を爆発させるキャンバスになります。
とはいえ、保護者にとっては由々しき問題。
賃貸物件では退去時の費用が目の前をよぎりますよね。
うっかり付いてしまった油性ペン汚れは、素材によって対処法が異なります。
それぞれの素材に対して有効な対処方法を知り、焦らず適切に対処できるようにしましょう。
油性ペン汚れの特徴とは?基本の落とし方
油性ペンの特徴は、水性ペンではすぐに消えてしまうような環境でもインクが落ちないことですよね。
つまり、油性ペンの汚れはなかなか落ちないのが大きな特徴です。
油性ペンのインクは、油(有機溶剤)に着色料を溶かしています。
とても簡単な言い方をすると、油性ペンのインクは油汚れなので水には溶けません。
油性ペンの汚れを落とすためには、油を使います。
身近なものなら、以下のようなものが油性ペン汚れを落とすのに効果的です。
- クレンジングオイル
- 除光液
- 無水エタノール
ほかに台所用中性洗剤、洗濯用弱アルカリ性洗剤や酵素系漂白剤のほか、柑橘類の汁も油性ペン汚れを落とせる可能性があります。
また素材によっては、メラミンスポンジや歯磨き粉、プラスチック消しゴムなどを使うのも効果的です。
油性ペン汚れを落とすためには、素材や経過期間などに応じて適切な方法が求められます。
特に汚れが付着してからの経過時間は、きれいに落とせるかどうかがわかれるポイントです。
素材を変色させたり変形させたりしないかどうかなどを踏まえつつ、なるべく早く対処するのが基本です。
では、さまざまな素材に応じた油性ペンの落とし方を紹介します。
【布】服に付いた油性ペン汚れの落とし方
まずは袖口や裾などをうっかり汚してしまうことが多い衣服の場合です。
夢中になって遊んでいるうちに服が汚れてしまった場合は、酵素系漂白剤、高濃度洗剤の塗布放置、無水エタノールや除光液などを使います。
ただ色落ちしたり穴が空いたりする可能性があるため、大切な衣服はクリーニング店に相談したほうが良いでしょう。
クレンジングオイル、除光液や無水エタノールが効果的
衣服に付いた油性ペンのインクは、同じく油分を含むクレンジングオイルや除光液、無水エタノールなどを使うと落ちる可能性があります。
浸け置きするだけでもある程度は汚れを分解できますが、歯ブラシなどを使って以下の手順をおこなうとより効果的です。
- 汚れの裏から洗浄剤を塗布する
- 汚れても良いタオルを敷き、歯ブラシで汚れを表から叩くように下のタオルへ移す
- 水またはぬるま湯ですすぐ
- 通常どおり洗濯機で洗う
さまざまな実験で布製品の油性ペン汚れを落とす効果が高いとされるものの、生地へのダメージや色落ちのリスクに注意しましょう。
酸素系漂白剤で付け置き
酵素系漂白剤は、皮脂を含む油汚れを落とす働きがあるため、同じく油を使っている油性ペン汚れにも効果あり。
汚れの上に直接塗布してよく揉むか、40~60度のお湯に酵素系漂白剤を適量混ぜたものに数時間程度浸け置きし、そのあと通常どおりに洗濯します。
ただし、粉末タイプの酵素系漂白剤は、動物性の繊維を使っているものには使えないので注意しましょう。
また塩素系漂白剤は色素を分解してしまうため、白以外の色では使えません。
酵素系漂白剤は色柄ものにも使えますが、色落ちや生地を痛めるリスクがあるのは同じです。
【家具】机などに付いた油性ペン汚れの落とし方
机やフローリングなどに付いた油性ペンの汚れは、素材に応じた方法で落とします。
使うのは衣服と同様に無水エタノールや除光液などのほか、プラスチック消しゴム、メラミンスポンジ、柑橘系の皮などです。
ガラスやビニールなどのインクが染み込まない素材であれば高確率できれいになりますが、染み込んだり凹凸があったりすると落ちる可能性は下がります。
木製家具の油性ペン汚れの落とし方
コーディングされた木製家具や床は油性ペンのインクが染み込みにくいため、落とせる可能性は十分にあります。
木製家具の油性ペンの汚れ落としには、無水エタノールや除光液のほか、みかんなど柑橘類の皮が有効です。
無水エタノールや除光液が油性ペン汚れに効くのは前述のとおり。
特に汚れが染み込みにくいコーディングされた木製家具ならば、ほぼ完璧に落ちることも多いでしょう。
また柑橘類の皮にはリモネンという油汚れに効く成分が含まれており、油性ペン汚れを落とす効果があります。
コーディングの種類によってはアルコール系の洗浄剤が使えないため、柑橘類の皮やメラミンスポンジなどを使うのがおすすめです。
コーディングの種類 | アルコール耐性 |
---|---|
ウレタン塗装 | ◯ |
ラッカー塗装 | ✕ |
水性塗料 | △ |
オイルフィニッシュ | △ |
メラミン化粧板 | ◯ |
ポリ合板 | ◯ |
メラミンスポンジを使う場合は、水をつけて表面を優しくこすります。
強くこすると表面のコーティングが取れてしまう可能性があるので注意しましょう。
油分を含む点でマーガリンやクレンジングオイルでも油性ペンの汚れが落ちる可能性がありますが、洗浄効果はあまり高くありません。
コーディングされていない木製家具はインクが深く染み込んでしまうため、油性ペン汚れを落とすのはほぼ不可能です。
表面を鉋(かんな)などで削ればまだしも、同様の手法で汚れが薄くなることはあってもきれいに落ちきることはないでしょう。
白木や無垢材の家具の油性ペン汚れの落とし方
白木や無垢材の家具は、水分を吸収するとシミやひび割れなどの原因になるため、無水エタノールや洗剤などは使えません。
白木や無垢材に油性ペン汚れが付いた場合は、メラミンスポンジやサンドペーパー(紙やすり)が有効です。
メラミンスポンジ、もしくは目の細かいサンドペーパーで表面を優しくこすり、汚れを削り落とします。
ただし、こすった場所が白っぽく変色したりするため、アフターケアが必要です。
蜜蝋ワックスなどを塗ると徐々に目立たなくなっていきます。
プラスチック製の家具の油性ペン汚れの落とし方
プラスチック製の家具に付いた油性ペン汚れは、消しゴムで消せる可能性があります。
使うのは普通のプラスチック消しゴムです。
方法は鉛筆で書いた文字を消すときと同じように、油性ペン汚れを消しゴムでこするだけ。
あまり力を入れる必要はありません。
無水エタノールや除光液などでもプラスチック製の家具に付いた油性ペン汚れを落とせますが、表面が変色したり溶けたりする可能性があるため注意が必要です。
【壁・壁紙】油性ペン汚れの落とし方
家具や床と同じく、子どもの落書きスペースになりやすいのが壁や壁紙。
壁や壁紙に付いてしまった油性ペンの汚れには、無水エタノールや除光液などがおすすめです。
また壁紙用の消しゴムなどもあります。
手軽に油性ペン汚れを落とせる可能性がある一方、壁紙が破れたり穴が空いたりする可能性もあるため注意が必要です。
ビニールクロスの油性ペン汚れの落とし方
現在使われている壁紙のほとんどは、水が染みにくいビニールクロスです。
ビニールクロスは水に強いため、無水エタノールを使って油性ペン汚れを掃除できます。
- 無水エタノールをたっぷり染み込ませたコットン、タオルなどで汚れを上から押さえる
- 汚れが浮き上がってきたら、きれいなタオルなどで押し付けるようにして汚れを移す
こすると汚れが広がってしまうため、押し付けるように汚れを移しとるのがポイントです。
壁紙に凹凸がある場合は汚れを取り除きづらいため、綿棒などを使いましょう。
紙や布製壁紙の油性ペン汚れの落とし方
紙や布製の壁紙に付いた油性ペン汚れは、除光液や無水エタノールを使って落とします。
ただ紙や布製の壁紙は、水に弱く破れやすいため注意が必要です。
ビニールクロスと同じように除光液を染み込ませたコットンで汚れを浮かせ、きれいなタオルなどに移すようにして掃除します。
汚れた直後ならば、少しだけ水を含ませたメラミンスポンジでこすり落とすこともできるでしょう。
破れないように注意してください。
表面に凹凸がある場合、汚れてから時間が経っている場合にはきれいに落としきることが難しくなります。
綿棒を使う、ある程度落ちたら良しとするなどで対応すると良いでしょう。
まとめ:クリーンングや専門店にも相談を
油性ペン汚れが落ちるか落ちないかは、素材による違いが大きく影響します。
そもそも落ちないように工夫されたインクである以上、完全にきれいにするのは素材に関係なく簡単ではありません。
ガラスやビニールなどインクが染み込まない素材ならまだしも、布や木製品などはある程度落ちたら良しとするくらいの気持ちで対処すると良いでしょう。
素材による特性や使える手法が違うことを踏まえ、場合によってはクリーニングやプロに依頼するのも方法です。