【歯科医監修】フッ素は何歳から塗るべき?むし歯予防の効果やメリットが知りたい!

【歯科医監修】フッ素は何歳から塗るべき?むし歯予防の効果やメリットが知りたい!

子どもの歯へのフッ素塗布は、何歳から始めたら良いのでしょうか。

スタート年齢(月齢の目安)はもちろん、フッ素塗布のむし歯予防効果や理由、フッ素を塗布するメリットなど、基本的な知識から素朴な疑問までをわかりやすく解説します。

また、歯科医院でフッ素塗布を受けると費用はどれくらいか、フッ素塗布の頻度の目安や知っておきたい注意点、自宅でのケア方法までを歯科医監修の元、ご紹介します。

監修者プロフィール

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杉山真一
すぎやまデンタルクリニック院長 杉山真一
歯科医療に携わって20年、生まれ育った岡山の街や皆様を元気にすることを目標に、岡山市南区新保に歯科医院を開院。
〒700-0945
岡山市南区新保1314-2 ディアリオC
TEL:086-259-3380
クリニックHP:https://www.sugiyama-dent.com/

フッ素って?むし歯予防の効果やメリットは?

フッ素って?むし歯予防の効果やメリットは?

子どもの歯にフッ素を塗布すると、むし歯予防の効果が期待できるといわれています。

では、フッ素とはどのようなものなのか、むし歯予防のほかにどのようなメリットがあるのか、基本的な知識をわかりやすく紹介します。

フッ素って?子どもの歯になぜ良いの?

乳歯や生えたばかりの永久歯は歯の表面のエナメル質が弱くてやわらかいので、ダメージを受けやすく、むし歯になりやすい状態です。

糖分や炭水化物を含む物を食べたり飲んだりすると、それらがお口の常在菌(主にむし歯の原因菌)に分解されてできる酸の影響で、歯のなかに含まれるカルシウムやリンが溶け出しますが、通常は唾液によって溶け出した成分がもとに戻る「再石灰化」が起こります。

再石灰化を繰り返すことで歯質はだんだん強くなります。

唾液のなかにフッ素イオンがあると再石灰化を促すだけでなく、再石灰化の過程でエナメル質にフッ素が取り込まれ酸に強い性質に変化するのです。(車やお鍋のフッ素コートと同様のものと勘違いされることが多いですが、決してフッ素で歯をコーティングするわけではありません。)

フッ化物歯面塗布とは?

フッ化物歯面塗布とは、歯の表面に直接フッ化物を塗布して、むし歯になりにくい歯を作る方法をいいます。

フッ化物歯面塗布は、歯科医師や歯科衛生士がおこなうむし歯予防手段です。

歯科医院のほか、保健所や区市町民健康センターなどで実施されています。

フッ素のむし歯予防の効果は?

フッ素を塗布すると、歯の再石灰化を促すとともに、歯に穴が開くまでの初期むし歯を修復する働きがあります。

歯のエナメル質を酸に溶けにくい性質に変えてくれ、歯質強化をします。

また、フッ素塗布はむし歯の原因になる菌の活動の抑制にも効果的です。

ただし、フッ素を一度塗布しただけで最適な効果が得られるわけではありません。

フッ素塗布の効果を期待するには、年に2回以上定期的に塗布してもらう必要があります。

乳幼児の場合は、継続的に年に2回以上塗布をした場合、むし歯がほぼ半分に減少するといわれています。

一方、フッ素塗布の永久歯のむし歯に対する予防効果は20~30%ほどです。

フッ素の普及状況はどのくらい?

厚生労働省では、5年ごと(2011年までは6年ごと)に全国から抽出された国民を対象とした「歯科疾患実態調査」をおこなっています。

当初予定されていた2021年の調査はコロナ禍の影響により中止となったため、最新の調査結果は2016年のものです。

歯科疾患実態調査によると、フッ素塗布を経験した方の割合は2005年に59%と初めて半数を超え、2016年には62.5%でした。

参照:厚生労働省|歯科疾患実態調査

フッ素塗布は何歳から何歳まで?

フッ素塗布は何歳から何歳まで?

フッ素塗布は何歳から始め、何歳頃まで続けると良いのでしょうか。

ここからはフッ素を塗布するのに適した年齢を紹介します。

赤ちゃんがフッ素塗布を始める時期は?

乳歯はエナメル質がやわらかいのでむし歯になりやすいものの、フッ素を取り込みやすい性質があります。

そのため、フッ素塗布は歯が生えはじめる時期におこなうと効果的です。

赤ちゃんは、おおむね1歳半頃になると、上下4本ずつ、合計8本の歯が生えそろいます。

フッ素塗布を始めるなら、1歳半頃を目安にすると良いでしょう。

フッ素塗布は何歳まで続ける?

フッ素塗布は、乳歯が生えはじめる時期から永久歯が生えそろってから安定する時期まで継続して続けるのが理想です。

むし歯に強く健康な歯が作られるので、永久歯が生えそろったあと、14~15歳頃までは、フッ素塗布を受けることがおすすめです。

一方で、フッ素塗布は子どもの歯だけでなく大人の歯にも有効です。

大人の場合は、むし歯の治療をしたあとに再度むし歯ができるのを防いだり、歯茎が下がって根元の弱い部分がむし歯になるのを予防したりする効果が期待できます。

フッ素塗布の頻度は?何ヵ月置き?

フッ素塗布の効果は3ヵ月~半年ほど続くといわれています。

ただし、生活習慣や食生活、口のなかの状態にも影響を受けるので、最低でも年に2回は受けるよう心がけましょう。

3ヵ月に1度の割合で定期的に受けられれば理想的です。

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歯科医院でのフッ素塗布、料金や注意点は?

歯科医院でのフッ素塗布、料金や注意点は?

歯科医院で受けられるフッ素塗布で使うフッ素は、医療機関専用なのでフッ素の濃度が高く、家庭用の低濃度のフッ素ケアと作用が異なり、持続的なむし歯予防効果が期待できます。

また歯科医院では高濃度のフッ素の効果をより高めるために、ある程度の年齢になると専用の機械で歯をクリーニングした後にフッ素塗布を行います。

ここからは、歯科医院でフッ素塗布をする際の料金や注意点を紹介します。

フッ素塗布の料金相場はいくら?

フッ素塗布の料金は、乳歯か永久歯かによっても異なり、歯科医院ごとにも違いがあるため、一律ではありません。

フッ素塗布は治療ではなく、予防の一環でおこなうため、自費診療(保険適用外)になる場合もあります。

ただし、保険適用外といっても高額ではなく、1回500~3,000円程度が相場です。

子どもの場合は、むし歯治療の一環としてフッ素塗布をおこなう場合や、初期むし歯に対する塗布などは、保険適用になります。

歯科医院でのフッ素塗布後の注意点

フッ素塗布をおこなったあと30分以内は、うがいや飲食をしないようにしましょう。

また、フッ素塗布時に口のなかにたまった唾液は飲み込まず、吐き出すことが大切です。

そして、フッ素塗布をしたからといって、歯磨きや日頃のケアを怠るとむし歯になる可能性があります。

毎日の正しい歯磨きや大人が仕上げ磨きをし、デンタルフロスの併用などを心がけて、口のなかの衛生を心がけましょう。

砂糖が多く含まれるおやつをだらだら食べるとむし歯の原因になりうるので、控えめにしてくださいね。

自宅でできるフッ素ケア方法は?

歯科医院でのフッ素塗布は、むし歯予防の高い効果が期待できますが、それだけではなく、毎日の歯磨きなどセルフケアをきちんとおこなうことが大切です。

市販の歯みがき粉や洗口液に含まれるフッ素は歯科医院のフッ素塗布より濃度は低いですが、毎日続けられる大きなメリットがあります。

歯科医院でのフッ素塗布と合わせて自宅でのケアにも使っていきましょう。

フッ素配合の歯みがき粉を選ぼう

歯みがき粉はフッ素が配合されたタイプを選びましょう。

まだうがいができない子どもは、ペーストタイプだとそのまま飲み込んでしまう危険性があるので、スプレータイプや泡タイプの歯みがき粉がおすすめです。

フッ素配合歯みがきは、製品によってフッ素濃度が異なります。

フッ素濃度が1000ppmを超えるものは、6歳未満の子どもには与えないようにしましょう。

また、年齢によって歯みがき粉の適切な使用量は異なります。

いずれもペースト状の場合で、0~2歳は1~3mm程度、3~5歳は5mm程度、6~14歳は1cm程度が適量ですので、年齢に合わせた適量の使用を守りましょう。

磨き方やうがいの注意点

初めは歯みがき粉をつけずに歯を磨いて歯垢を除去したあと、年齢に沿った適量の歯みがき粉をつけて歯列に延ばし、2~3分磨きます。

その後、口のなかに残った泡や歯みがき粉を吐き出しましょう。

5~15mlほどの水を口に含んで1回だけうがいをします。

まとめ:フッ素塗布と毎日のケアでむし歯ゼロを目指そう

生えはじめの乳歯や永久歯は歯のエナメル質が弱いので、むし歯になりやすいです。

歯科医院でフッ素塗布をしてもらうことで、持続的なむし歯予防の効果が期待できます。

歯科医院のフッ素塗布と合わせて毎日の歯みがきや正しい食習慣などを心がけて、むし歯ゼロをめざせると良いですね。

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