反転授業って一体どんな授業?メリット・デメリットをご紹介

反転授業って一体どんな授業?メリット・デメリットをご紹介

コロナ禍で急な広がりを見せた小学校のオンライン授業。

慣れない状況に戸惑った親も少なくないでしょうが、その発展形となる「反転授業(はんてんじゅぎょう)」が注目を集めています。

新しい教育方法である反転授業とはどのようなものなのでしょうか。

具体的な授業内容、メリットやデメリットなどを詳しく紹介します。

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反転授業とは?どんな授業

反転授業とは?どんな授業

まずは反転授業とは、どのようなものなのか基本を確認しましょう。

その名のとおり「何かが反転した授業」ですが、何が反転しているのでしょうか。

発祥も合わせて紹介します。

反転授業とは?何が反転?

反転授業(フリップド・クラスルーム)は、従来型の授業形態を反転させたものです。

従来型の授業は、授業中に初めて教わったことを宿題で復習するのが常識的な流れでした。

授業中は知識をインプットする予習、宿題(自宅学習)は覚えた知識をアウトプットする復習の機会でしたが、反転学習(フリップド・ラーニング)ではその役割が反転します。

反転授業では、映像教材や動画などを使った自宅学習がインプット(予習)になり、ほかの生徒や教師と意見を交わしたり教え合ったりする授業がアウトプット(復習)の役割を担います。

反転授業の発祥と広がるきっかけ

反転授業のモデルになったといわれる”The classroom flip: using web course management tools to become the guide by the side(教室の反転:寄り添う案内人となるためのウェブコースマネジメントツールの使用”(J. Wesley Baker)が発表されたのは2000年のこと。

その前から本質的な考え方はあったようですが、本格的な広がりを見せるのはコロラド州のウッドランド・パーク高校で実際におこなった反転授業の過程と記録を記した”Flip Your Classroom, Reach Every Student in Every Class Ebery Day”(Jonathan Bergmann/Aaron Sams)がきっかけとされています。

同高校に務める理科教師ジョナサン・バーグマンとアーロン・サムズは、スポーツ活動などで頻繁に欠席する生徒のためにオンラインで見られる授業の動画を配信。

元々は授業の復習が目的でしたが、これがとてもうまく機能したため、次第に全員が映像で予習した後に授業で個別指導などをおこなうスタイルへと変化しました。

この反転教育が高校教師の間で広まり、のちにおこなわれた調査(クリントンデール高校)では、それまで61.2%だった落第率が10.8%まで激減したとか。

さらに別の調査(Flipped Learning Network)では、反転授業を実施する67.1%ものクラスで成績が向上したと報告されています。

参照:東京大学大学院|情報学環情報学環「授業の常識をひっくりかえす! 『反転授業』を考える」

ハイブリッド型授業の一つ

反転授業は、対面とオンラインを組み合わせた新しい授業方式である「ハイブリッド型授業」でおこなわれます。

ハイブリッド授業には、同時中継方式のハイフレックス型授業、目的に応じて使い分けるブレンド型授業、交互におこなう分散型授業の3タイプがあります。

反転授業は、目的に応じて対面とオンラインを使い分けるブレンド型授業の一つです。

日本でもコロナ禍で減少する学習機会の充実などを目的として、小学校から大学まで広く導入が進んでいます。

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日本の小学校の反転事業の実践例は?

日本の小学校の反転事業の実践例は?

アメリカを中心に広まる反転授業は、日本でも2012年頃から実践する教育機関が増えています。

そのなかから、小学校の実践例を2つ紹介しましょう。

宝仙学園小学校導入の「オンライン反転授業」

東京都にある宝仙学園小学校では、2020年7月23日から5日間にわたり小学3~4年生33名(教員8名)を対象にした夏季補習会でオンライン反転授業が実施されています。

宝仙学園小学校は最短のオンライン授業を実施している小学校の一つで、日本初のZOOM授業とハイブリッド手元動画を使ったオンライン授業の試験導入先になりました。

その結果、生徒のやる気が向上(9.15~9.37/10点満点)し、初日に60%だった予習率が2日目からは100%を維持。

授業時間を1/2に短縮、クラウドサービスを活用して「学習の進捗、理解度や学習項目別の達成度の見える化」や最適な学習サイクルの実現(午前→授業、午後→予習)を達成しています。

佐賀県武雄市ではICT授業で導入

佐賀県武雄市は、東洋大学などと共同で2013年11月から市内の小学校1校で反転教育を試行(算数、理科)し、翌2014年5月より市内全域の小学校で反転授業を実施しています。

地方自治体単位で反転授業に取り組むのは日本初の試みで、2019年には「日本ICT教育アワード最優秀賞」に選ばれました。

GIGAスクール構想化におけるICT教育の施策として「スマイル学習」を打ち出した武雄市では、反転授業の導入で子どもの学習意欲向上以外に伝える力の向上も確認されています。

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反転授業のメリット・デメリットを紹介

反転授業のメリット・デメリットを紹介

最後に反転授業のメリット、デメリットの紹介です。

反転授業には、小学生の学習意欲向上だけでなく、社会人になってから重宝するものなどさまざまなメリットがあります。

ただ一方でデメリットもあるため、しっかり内容を確認しておきましょう。

反転授業のメリット

従来型の一方的に情報を受け取るだけの授業と違い、自ら学習した情報を発信する反転授業では子どもの学習意欲が向上するという結果が出ています。

生徒自身がアウトプットすることで教師が個人の理解度を把握しやすく、一人ひとりの理解度に応じたサポートができるのもメリットです。

従来型の授業では、一度つまずくと置いていかれてしまうことも珍しくありません。

しかし反転授業では動画教材などで繰り返し学習することが容易なため自分のペースで学習でき、理解度が上昇します。

またアウトプットの機会が充実することで、自ずと考えや意見をまとめたり、人にわかりやすく伝えたりする能力向上にも期待できます。

グループワークやディスカッションなどをとおして、問題解決能力やプレゼン能力を鍛えられる点も反転授業の魅力です。

反転授業のデメリット

反転授業のデメリットは、主に家庭でのサポートの必要性と設備投資の2点です。

反転授業における授業中はアウトプットの場であるため、家庭でしっかりと予習をしないと何もできません。

そのため、保護者が家庭で予習を促し、計画的に学習を進められるよう適切なサポートが求められます。

特に小学校低学年の子どもでは、家庭の負担が増えやすいでしょう。

学習意欲の高低によっても、反転授業の効果が左右される点も注意が必要です。

またインターネット環境や端末が必須となるなど環境を整えるための費用がかかる点もデメリットになるでしょう。

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まとめ:反転授業の展開や導入に期待!

反転授業は、従来型の授業と比べ、さまざまな部分で好影響が期待され全国的に導入の機運が高まっています。

すぐにすべての授業で反転授業を導入することは難しいでしょうが、オンライン授業やICT教育に合わせた広まりに期待しましょう。

いざ反転授業がはじまったとき、少しでも多くのメリットを享受できるよう準備しておけると良いですね。

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