「お歳暮をいただいたけれど、お返しはすべき?」とお悩みの方もいるでしょう。
お歳暮をいただくということは、相手から感謝の気持ちを贈られているということです。
それに対してお返しをするかどうかは、相手との関係性にもよります。
この記事では、お歳暮にお返しが必要かどうか、お歳暮を受け取ったら最初にすべきこと、お礼状の書き方やお返しをする際のマナー、お歳暮やお返しに贈るべきではないものなどをお伝えします。
お歳暮にお返しは必要?不要?
お歳暮は、一年間お世話になったお礼の気持ちを相手に表すために贈るもので、元々は江戸時代の商人の習慣から始まったものといわれています。
お返しは本来は不要ですが、贈るのもマナー違反ではありません。
特に目上の方からいただいたときや、同僚、友人からのお歳暮があったときには、お返しをしたいと考える方もいるでしょう。
その際は、相手に失礼にならない贈り方を意識しなければなりませんので、追って注意点をお伝えします。
お歳暮を受け取ったらまずはお礼を伝える
お歳暮を受け取ったら、お返しのことを考えるより先にお礼を伝えましょう。
できるだけ早く伝えるのが良いですが、お歳暮を受け取ってから3日以内を目安にお礼の連絡をするのが礼儀です。
贈ってくれた相手は、「お歳暮が届いただろうか?」「気に入ってもらえただろうか?」と気にかけています。
お礼だけではなく、受け取ったことを知らせるためにも、早めの連絡が大切です。
親しい間柄ならば、電話でお礼を言って済ませる場合もありますが、正式にはお礼状を送ります。
お礼状の書き方
いただいたお歳暮に対するお礼の手紙を書くならば、「手書き」「縦書き」「封書」が正式で丁寧な書き方です。
ですが、実際は「はがき」「横書き」でも問題ありません。
パパ宛のお歳暮に対してママが代わりにお礼状を書く場合は、パパの名前の下に小さく「内」と書くのが習わしです。
ちなみに、「内」には「同じ家族のもの」という意味があります。
お礼状には、以下の内容を含めるのが定型です。
- 起首、時候の挨拶
- お歳暮をいただいたお礼の言葉
- 家族みんなが喜んでいること
- 相手や家族を気遣う言葉
- 結びの言葉
家族みんなが喜んでいることを伝えるのは必須ではありません。
しかし、贈り主の気持ちを考えると、相手の家族みんなが喜んでいるとわかれば、喜ばしく安心できるでしょう。
また、結びの言葉(結語)は起首と対応している必要がありますので、気をつけてください。
お礼状の例文
続いて、お礼状の例文を紹介します。
手書きにすると、より気持ちが伝わりやすいですが、パソコンで書いても問題ありません。
拝啓
師走の候、〇〇様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、この度はご丁寧な品を頂戴しまして誠にありがとうございます。
家族の好物を覚えていてくださり、心より感謝いたします。
寒さ厳しい折、どうぞご自愛なさって新年をお迎えになられますことをお祈りしております。
敬具
令和△年 〇月〇日
〇〇 △△(氏名)
お歳暮にお返しをするときのマナー
お歳暮のお返しをする際には、気を付けるべき点があります。
続けてお伝えしますので、確認してください。
お返しの時期と熨斗
お歳暮をいただき、早くお返しをしたいときでも2〜3週間は空けて贈るのが適切です。
その際、12/31までに先方に届くならば「お歳暮」としてお返しを贈れます。
ただし、年末は先方が多忙や不在の可能性もあるので、12/25までに届くようにするのが無難です。
それよりも遅くなってしまうなら、年明けに届くように送りましょう。
1/7の幕の内(関西は15日)までなら「御年賀」、1/8~2/3(立春)までなら「寒中御見舞」となります。
ただし、喪中の家庭に「御年賀」を贈るのはNGなので、「寒中御見舞」としましょう。
目上の方には「寒中御見舞い」は使わず「寒中御伺」と表すことも注意点です。
立春以降のお届けとなるときはシンプルに「お礼」と表しましょう。
お返しの品の金額
いただいたものと同額〜半値ぐらいのものをお返しするのが目安です。
特に目上の方や上司へのお返しをする際は、相手を立てるためにも金額的に上回る贈り物は避けてください。
明らかに高額なお返しは「今後、お歳暮はいりません」という意味として心証を害することもあります。

贈ってはいけないお歳暮の品
プレゼントとして贈りがちな品物のなかには、お歳暮として感謝の気持ちを表すのに不向きなものがあります。
相手を不快な気持ちにさせてしまっては、せっかくの贈り物も台無しです。
そのような事態を避けるため、贈ってはいけない品物を確認しておきましょう。
刃物
ハサミや包丁など、家のなかで使う場面が多いので重宝する刃物。
しかし、「切る」ための道具であることから、相手との「縁を切る」という連想を招く可能性があります。
そのため、刃物をお歳暮として贈るのは避けるのが無難です。
ハンカチ
ハンカチは、ちょっとしたギフトとしてよく選ばれる品物の一つです。
しかし、ハンカチを日本語でいうと「手巾(てぎれ)」となり、「手切れ」=「絶交」を連想させてしまうかもしれません。
相手に感謝を伝える場面で、誤解を招くようなギフトは避けるべきです。
足で踏むもの・履くもの
靴やスリッパ、マットなども通常のギフトとして用いられるものです。
しかし、足で踏んだり履いたりするものは、「相手を踏みつける」イメージにつながってしまう可能性があります。
そんなつもりはなくても、相手が少しでもそのようなことを想像してしまうと残念ですよね。
そのような気持ちにさせてしまうギフトはあと味も悪いので、避けるのが無難です。
縁起が悪い語呂合わせのもの
日本では、縁起が悪いとされている言葉や数字があります。
例えば数字の4は「死」を、9は「苦」を連想させるため、さまざまな場面で避けられています。
櫛(くし)は9と4を組み合わせた形となっており、語呂合わせとしては縁起の悪い品物です。
そのため、お歳暮として贈ることは控えましょう。
現金・商品券
現金や商品券を渡すことは「施し」のように受け取られることもあり、上から目線を感じさせてしまいます。
目上の方に対しては、特に失礼なことです。
金額がはっきりとわかってしまう点も良くありませんし、「相手の喜ぶものを考えて感謝の気持ちを伝える」という心遣いも感じられないため、避けましょう。
お歳暮のお返しを選ぶときの注意点
続いては、お歳暮のお返しを贈るときの注意点をお伝えします。
こちらにも留意しながら、品物を選びましょう。
先方の嗜好や健康状態に配慮する
コーヒーやアルコールなどは、飲まない方にとってはうれしくないものです。
また、アレルギーがある方や、甘いものが嫌いな方もいます。
持病のある方や健康管理のために食べるものに気を遣っている方も増えていますので、先方の事情へ配慮したものを選びましょう。
パパ宛でいただいたお歳暮へのお返しをママが選ぶときには、特に注意が必要です。
普段付き合いのあるパパは知っていても、ママ一人で選ぶと気付かずにNGなものを選んでしまうかもしれません。
気になる場合はパパに確認するなどして、相手への失礼にならないようにしましょう。
生鮮食品は極力避ける
日持ちがしないものや、保存に気を遣うものはできるだけ避け、相手の手をわずらわせることのないものを選びましょう。
ただし、相手の好物だと知っている場合はOKです。
極端に日持ちのしないものを贈るときは、相手の方が長期で不在にしていないかどうかを確かめておくと失敗がありません。
まとめ
お歳暮は一年間お世話になった感謝のしるしとして贈られるものであり、お返しは基本的には必要のないものです。
ただし、お礼の気持ちは電話や手紙でできるだけ早く伝えましょう。
そのうえで、どうしてもお返しをしたいときには贈って失礼に当たらないものや、相手の好みや事情を考慮した品物を選んでください。
