選挙年齢の引き下げにともないはじまった主権者教育は、文字どおり主権者としての意識を育むための方策です。
小学校から高校まで段階的に進められますが、具体的にどのような目的でおこなわれるか理解できているでしょうか?
主権者意識を育む教育とはどのようなものなのか、具体的な内容を家庭で取り組むポイントと併せて紹介します。
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主権者教育とは?目標や背景を解説
まずは主権者教育がどのようなものなのか理解しましょう。
なぜ主権者教育が必要とされるようになったのか、具体的にどのような方法でおこなわれているのかを紹介します。
主権者教育とは?なぜ必要?
主権者教育とは、公職選挙法の一部改正により満18歳から選挙権が与えられることにともない、必要な知識、主体性や公正性を育むことを目的とした方策です。
ポイントとなるのは、選挙権年齢の引き下げで高校在学中に選挙へ参加するケースが生まれたこと。
国や社会の問題を自分のことと認識し、さまざまな情報や意見を公正に評価して自らの考えをまとめ、行動する力を養うため、小中学校の段階から発達に応じて学習することを目指しています。
小中学校・高校の授業内容や実践例は?
文部科学省によると、主権者教育の目標は以下の3つの資質や能力の育成です。
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力など
- 学びに向かう力・人間性など
現実社会の課題や問題に関わる現状を知識として学び、情報を調査分析したり多角的、多面的に考察し公正に判断したりする技能や思考力を身につけ、国家や社会の形成に主体的に参画しようとする力を育むことを目指しています。
具体的な事例は以下のとおりです。
- 住んでいる街の移り変わりを聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりする(小学校3年生)
- 世界的な感染症の流行により国や地方公共団体はいつ、どのような対策をおこない、どのような法律を基準にして、どのように財源を確保したのかなどを調査する(小学校6年生)
- 日本の財政が抱える課題などの身近で現実的な社会の課題を調査し、持続可能な財政実現の方法を考え、税務署職員とディスカッションする(中学生)
児童会や生徒会サミットを通じて模擬選挙など市区町村議会の活動を体験したり、外部講師を招いて教わる活動を通じて社会と関わる仕事の魅力を実感してもらったりしています。
参考:文部科学省|小・中学校向け主権者教育指導資料「主権者として求められる力」を子供たちに育むために
主権者として求められる資質・能力
主権者教育で育むのは、国家や社会を形成する法律や規則などの基本原理を理解して積極的に政治へ参画するための知識、多角的で多面的に考え公正に判断する力など。
課題解決に向け自らが得た根拠に基づいて考えを発信し、協働して追求したりより良いアイデアを生み出したりする能力です。
諸外国での主権者教育例
総務省が発表した第26回参議院通常選挙(2022年7月)における10代の投票率は35%程度。
これに対し、選挙期間中に教師と生徒が候補者の事務所を訪問するなど主権者教育が進んでいるスウェーデンでは、18~24歳の投票率が60%を超えます。
またスウェーデンと同じく、ドイツでも生徒自らが発信する授業を多く取り入れるだけでなく、連邦政治教育センターが教材を開発するなど主権者教育が盛んです。
主権者教育の課題
10代に限らず投票率低下を食い止め、自らが地方議員となって政治に参画する人材を育成するなど、主権者教育の目的を達成するためにはさまざまな課題があります。
若者の投票率が低下
国際日本データランキング(明治大学国際日本学部 鈴木研究室)の2023年2月16日時点のデータによると、日本の国政選挙の投票率は世界199ヵ国中137位。
上述した第26回参議院通常選挙の投票率は全体で52%程度しかなく、なかでも18歳は34%程度、19歳は30%と低い数値です。
総務省のデータでは、衆参どちらの選挙の投票率も1989年(平成元年)と比べ全年代で下がっています。
参考:国際日本データランキング
メディアリテラシーも必要
主権者教育で、政治や社会の課題に対して多角的、多面的な視点を身につけるためには情報収集が必要です。
現代で情報収集といえばインターネットが欠かせませんが、嘘や不確かな情報を避けて正しい情報を見つけ、また正しく理解する必要があります。
情報収集の方法、情報の解釈や公平性を保って理解するなどメディアリテラシーの育成が不可欠です。
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家庭で育む主権者教育とは
主権者教育で大切なのは、子どもの政治に対する興味や関心を引き出し、大きく膨らませてあげること。
人格形成の基礎が培われる幼少期の主権者教育は、家庭での取り組みも重要です。
家庭でできる主権者教育には次のようなものがあります。
家庭で政治の話をする
家庭での主権者教育では、保護者のほうから積極的に政治に関わり、子どもと話すことが大切です。
ニュースや絵本などを見ながら話をし、子どもの政治参加意識を育みましょう。
注意点として、子どもが保護者の価値観に引っ張られて偏った政治観にならないよう、中立性を保つこと。
保護者個人の意見を伝えるのは良いですが、あくまでも参考意見として捉え、子ども自身がどのように考えるのか、子ども自身の意見を尊重することが大切です。
わからないことがあれば一緒に調べるのも良いでしょう。
親子で一緒に投票に行く
2016年12月(平成28年)の参院選後に総務省が18~20歳を対象におこなったインターネット調査「18歳選挙権に関する意識調査」では、次のような結果が出ています。
- 当該選挙の18~20歳の投票率は52%程度
- 投票した方のうち、子どもの頃に親と一緒に投票へ行ったことがあると回答した割合は63%、行ったことがないと回答した割合は42%程度
この調査結果は、子どもと一緒に選挙へ行くこと自体が主権者教育につながっていることを示す一つのデータです。
この調査結果を受けて、埼玉県では2023年4月(令和5年)の統一地方選挙に子ども連れで来てもらえるよう「うまい棒」を配布するイベントを開催しています。
ただし、同調査では家族や知人の評価を基準に投票した方の割合が14%程度いるという結果も出ているため注意が必要です。
どういう理由で候補者を選んだのか基準を伝える場合は、あくまでも自分の考えを尊重することが大切で、他人と違っても良いことを教えてあげましょう。
あえて秘密にするのも手ですが、政治の話題がタブーだと思わせないようにフォローが必要です。
自分にも変えられると思えるように
選挙へ行かない方のなかには「自分一人の意見(投票)では何も変わらない」とネガティブな考えを持っている方が少なくありません。
しかし、将来子どもが積極的に選挙へ行くようになるためには、ポジティブな印象を持つことが大切。
自分一人の意見では変わらないかもしれないけれども、その一票がなければ可能性すら生まれないことを伝え、投票の大切さを教えてあげましょう。
まとめ:子どもたちが興味・関心を持つことが大事
統一地方選挙がある2023年は、4年に1度の選挙が多い年。
投票率の低下を防ぎ、将来の日本がより豊かで子どもたちが幸せに暮らせる国にするためにも、積極的に主権者教育に取り組むチャンスです。
長らく日本では政治の話がタブー視される傾向がありましたが、今後は家庭内で積極的に政治の話ができる風潮になりつつあります。
ぜひ家庭でも取り組み、子どもの政治や社会に対する興味を膨らませてあげてください。
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