全国各地の小学校でも取り組みが始まっている、SDGs。
SDGsという言葉は聞いたことがあるけれど、具体的な内容はわからない……方も多いのではないでしょうか。
SDGsを簡単に説明すると、貧困問題や気候変動など、地球を取り巻く環境の中で、誰一人取り残すことなく、豊かに生きていくことを掲げた世界規模の目標のことです。
この記事では、SDGsの小学生向けの説明の仕方や、全国の小学校での具体的な取り組み事例をいくつか紹介します。
SDGsって?5つのPや17の目標を知ろう
SDGsは令和2年度からの新学習指導要領にも明記されているように、大人だけでなく子どもも理解し、持続可能な社会や地球をつくっていこうと進めているものです。
ここでは、SDGsの概要や、具体的な目標内容を説明します。
SDGs(エスディージーズ)とは?
SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、「エスディージーズ」と読みます。
人口増加や気候変動など、地球を取り巻く環境が激変するなかで、誰もが平和で豊かに暮らしていける社会をつくっていこうと2015年に国連で決められました。
2015年から2030年までの15年間で、17つの目標を達成することを「持続可能な開発のための2030アジェンダ」のなかで決定しています。
小学生向けには、「地球に住み続けるために、より良い世界をつくっていこうという目標」と説明するとわかりやすいでしょう。
5つのPとは?
SDGsの原点である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の冒頭では、以下の5つのPについて記載されています。
- People(人間)
- Prosperity(繁栄)
- Planet(地球)
- Peace(平和)
- Partnership(パートナーシップ)
SDGsで掲げる17の目標を大まかに分類すると「人間」「繁栄」「地球」「平和」「パートナーシップ」という5つのキーワードが見えてきます。
SDGsの17の目標はお互いに関係しているものも多くあり、この5Pを知ることでSDGsの全体像を大まかに把握できます。
例えば、目標1の「地球のあらゆる貧困をなくそう」という目標は、目標2の「飢餓をゼロに」や、目標4の「質の高い教育をみんなに」にも通じています。
次の項目で17の目標を具体的に紹介します。
17の目標とは?
SDGsは「誰一人取り残さない」が大きなテーマです。
この大きな目標に向かって世界中の人々が具体的に取り組むために、17の目標が掲げられました。
このなかには、人権や環境問題、経済・社会の問題など、さまざまな分野での課題を解決するための目標が設定されています。
具体的な内容は以下のとおりです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 業と技術革命の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
世界中の誰もが平和で豊かな暮らしを実現するため、国や男女の差による不平等をなくし、地球環境に配慮しよう!といった内容になっています。
もちろん大人だけでなく、子どもでも取り組むことができます。
例えば、いじめをなくすことは「10.人や国の不平等をなくそう」「16.平和と公正をすべての人に」の価値観に通じていますよね。
また、運動を積極的におこなうだけでも「3.すべての人に健康と福祉を」につながり、より良い世界の実現に一歩近づくことができます。
小学校でのSDGs取り組み事例
SDGsへの取り組みは、日本各地の小学校でもおこなわれています。
ここでは、具体的に5つの例を取り上げながら、小学校でできるSDGsの活動事例を紹介します。
第1回ジャパンSDGsアワードの特別賞受賞校の試みは
東京都江東区の八名川小学校では、SDGsと同じ目的を持つESD(Education for Sustainable Development)の取り組みを積極的におこなっています。
ESDとは、持続可能な社会を目指すための学びや活動、またその担い手を育成することを
指します。
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」の価値観に近いものと考えるとわかりやすいでしょう。
八名川小学校のESDでは、「人権」「環境問題」「文化理解」などをテーマとした主体的で対話的な授業が取り入れられています。
そのなかで、小学校6年間の教育全体を通じてSDGsの内容を意図的・計画的・効果的に学べる「SDGs実践計画表」が誕生しました。
この「SDGs実践計画表」を含むいくつかの取り組みによって、生徒の主体性や積極性を育んでいると評価され、第1回ジャパンSDGsアワードの特別賞を受賞しています。
緑のカーテンやリサイクルなど多数の試みも
地球環境を良くするのも、SDGsの目標の一つ。
東京都葛飾区にある末広小学校では、自分たちができる取り組みとして、ヘチマや朝顔などで緑のカーテンをつくったり、プランターに花を植えたりすることで地球温暖化対策に努めています。
また、牛乳パックのリサイクルや古紙回収・古着回収など、ゴミの減量や森林資源保全に関わる活動にも着手。
その他、給食の食べ残しを減らす活動や、鮭の卵を孵化させて川に放流する活動など、幅広く自然保護や環境保全に関する試みをおこなっています。
人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」でSDGsを学ぶ
東京都江東区立第六砂町小学校では、人気ゲーム「あつまれどうぶつの森」のプレイを通じて生徒たちが環境問題を学ぶ取り組みをおこなっています。
あつまれどうぶつの森では、2020年12月に「フローティングシティー」と呼ばれる都市が建設されました。
フローティングシティーとは、気候変動や環境問題などSDGsの問題解決に役立つとされ、実世界で近い将来建設予定とされる「水上都市」をモデルとしています。
絶滅危惧種をモチーフとしたどうぶつたちの登場や、風力発電、自給自足の生活などを体験でき、ゲームを楽しみながらSDGsを学べる、まさに小学生向けの内容となっています。
地域の人々と一緒に「大谷ハチドリ計画」を
宮城県の気仙沼市立大谷小学校では、地域の自然を守るため「ハチドリ計画」に取り組んでいます。
ハチドリ計画とは、10年ほど前(2022年3月時点)から問題となっている、松枯れや磯焼けの原因を調べ、それらの復元に挑戦しようという取り組みです。
ハチドリ計画は、気仙沼市全体で推進しているESDの一環であり、その実践事例にもなっています。
地域の自然や暮らし、文化を知り、守っていくことで、持続可能な社会を目指しています。
「ふるさと教育」×SDGsの取り組み
北海道石狩市立石狩八幡小学校では、中学校と連携し、ふるさと教育を通じてSDGsに取り組んでいます。
「石狩八幡の特性を生かした教材の使用」「郷土の歴史や文化の学び」「夢や希望を目指して工夫し努力する大切さの体得」をテーマに、学年ごとにさまざまな体験をおこなっています。
例えば、4年生では「石狩八幡SDGsマップ作り」を作成。
校区内という身近な地域で、気候変動や自然環境を考えられる学習です。
また、北海道で最初のユネスコスクールに選ばれた石狩市立生振小学校でも、SDGsに関する学びを取り入れています。
例えば、田んぼや畑での作物栽培・収穫を通じて自然と触れ合ったり、地域の人々や施設と交流することでつながりを感じたりすることです。
SDGsの問題を個々でとらえるのではなく、すべてつながっているものと考えることで、多面的なものの見方や思考力を養っています。
まとめ:家庭でもSDGsを意識しよう
SDGsが目指す目標は大きなものに感じますが、実は1人1人が身近な問題解決を積み重ねていくことが、目標達成の第一歩です。
今回紹介したように、小学生向けに取り組めることがたくさんあります。
これを機に、ぜひ子どもと一緒にSDGsのことを考え、小さなことから明るい未来への行動に取り組んではどうでしょうか。
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