最近、学校や保育の場で注目されるようになってきている「非認知能力」。
「非認知能力」は協調性、忍耐力、計画性、自制心、コミュニケーションなど、数値に表すことができない「生きていくうえで必要不可欠」な能力です。
では「非認知能力」とは具体的にどのような能力なのでしょうか?
認知能力との違いや種類、例などを解説します。
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非認知能力とは?簡単に解説!
少し前までは、学力やIQなど、数値で子どもの能力を可視化したものが重要視されてきました。
しかし近年、数値化できない「非認知能力」を幼少期から学童期までに伸ばすことが強く推奨されるようになっています。
子どもたちの将来や人生を豊かにするといわれている「非認知能力」は、さまざまな種類があるのが特徴です。
その代表的なものを見ていきましょう。
非認知能力 | 内容 |
---|---|
問題解決力 | 自ら問題を発見・解決する能力 |
意欲 | やる気、集中力 |
忍耐力 | 粘り強く頑張れる能力 |
自制心 | 我慢する能力、精神力 |
創造性 | クリエイティビティ、工夫をする能力 |
コミュニケーション能力 | リーダーシップ、思いやり、協調性 |
対応力 | 失敗から学ぶ能力、楽観性、応用する能力 |
主体性 | 自分の意志で行動する姿勢、遂行する能力 |
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認知能力と非認知能力との違いは?
では、認知能力と非認知能力はどのように違うのでしょうか?
認知能力は、いわゆる読み書きや計算などの学力、運動能力など、試験やテストで計測しやすいのが特徴です。
また、知見検査で測ることができる知能指数(IQ)なども認知能力に含まれます。
一般財団法人日本生涯学習総合研究所によると、認知能力の要素には
- 基礎学力
- 基礎的な知識
- 専門性・専門知識
の三つがあり、定義は以下のとおりです。
認知能力 | 内容 |
---|---|
基礎学力 | すべての学習を成立させるうえで必要な知識や技能(読み書き・計算など) |
基礎的な知識・技能 | 社会の変化や科学技術の進展などに対応するために必要な知識・能力 |
専門性・専門知識 | 上記二つをベースに、個々の特性に応じた知識と経験 |
一方で、非認知能力は計測しにくいものばかりです。
しかし、生きていくうえで必要な能力としてさまざまな特性があります。
非認知能力にはどのようなものがある?
個々の非認知能力がどのようなものなのかを詳しく見ていきましょう。
ここでは、粘り強さなど忍耐力に関わる能力や社会スキル、自己肯定感、創造性など、代表する非認知能力を紹介します。
それぞれの能力を知って、子どもたちのどのようなところを引き出し、育てていくかの参考にしてみましょう。
発達段階を知る指標としても活用できます。
粘り強さや忍耐力、最後までやり遂げる力
グリット(Grit)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
グリットはGuts, Resilience, Initiative, Tenacityの頭文字をとって作られた言葉で、以下の意味があります。
Guts (ガッツ) | 困難に立ち向かう度胸 |
---|---|
Resilience (レジリエンス) | 苦境に負けずに立ち直る回復力 |
Initiative (イニシアチブ) | 目標を立てて取り組む自発性 |
Tenacity (テナシティ) | 最後までやり遂げる粘り強さ |
Gritは困難においても、怯まず、目標を立てて最後までやり遂げる能力で、ビジネスの場でも最近よく耳にするようになってきた、最も注目されている能力といっても過言ではありません。
大人になっても育てていきたい大事なスキルです。
社会的スキル(ソーシャルスキル)
社会にはあらゆる価値観を持った人がいます。
そのなかで、お互いの気持ちや感情を理解、尊重し、相手の様子を見ながら的確なタイミングで自分の感情や意識を伝えるコミュニケーション能力が必要です。
また、大きなプロジェクトを動かし、やり遂げるためにはコラボレーション力やリーダーシップも大切なスキルです。
異なった環境や立場にある他者と助け合ったり、譲り合ったりする協調性も、同じ目標や目的に向かって何かを達成するのに必要不可欠な力です。
自分がやりたいようにやるのではなく、他者と歩みを合わせながら物事を進めるためにも、ソーシャルスキルを子どものときから育めると良いですね。
意欲、自己肯定感
自己肯定感は、ありのままの自分を積極的に評価する能力です。
自分の価値を認め、存在意義を肯定するスキルでもあり、自己肯定感が高いことは豊かな人生を歩みやすくなることを意味します。
また、意欲、やる気も自己肯定感のバックアップによって伸びる力です。
さらに、自分の能力を客観的に把握する「メタ認知」を持つことで、能力は向上するといわれています。
小さな目標でも、一つひとつクリアにしていくことで自分の能力が上がることを認知し(=メタ認知)、それをうれしく思うことがやる気にもつながるでしょう。
能力向上で自己肯定感が向上すれば、意欲も高まる相乗効果を期待できます。
創造性・発想力
創造力と発想力は、クリエイティブな発想とアイデアを指します。
クリエイティビティは突然身につくものではなく、長い年月を経て得られるものです。
基礎的な努力の他に、物事に熱中して取り組んだり、いろいろな経験を積み重ねた結果として築かれる能力で、一昼夜で身につけることはできません。
常に新しいものを創造するイメージを膨らませ、オリジナリティがあり、かつ生産的な発想を生み出す努力を続けてはじめて、身につけられる能力です。
言われたことだけをやるのではなく、「自分しかできないもの」を常に意識できる能力ともいえるので、独創性のあるアイデアは積極的に褒めていくと良さそうです。
非認知能力が注目されはじめた背景は
非認知能力が注目され始めたのは、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカのジェームズ・ヘックマン教授の本がきっかけでした。
著書『幼児教育の経済学』のなかで、幼少期に非認知能力を育む幼児教育の重要性を訴えたのです。
1960年代にはじまった低所得のアフリカ系アメリカ人の未就学児童を対象にした教育プログラム「ベリー幼稚園プログラム」の調査結果も大きな影響がありました。
40年にわたって追跡調査をした結果、大人になってから成功する一因に、子どもの頃に培った意欲や自制心などの非認知能力が関係していることがわかりました。
国際化が進み、社会が多様化するなか、「非認知能力」がこの時代を生き抜くうえで重要だと日本でも注目されるようになってきたのです。
まとめ:保育園や幼稚園でも非認知能力は育つ
非認知能力は、主に幼児期に大きく育まれるとして注目され、日本の幼稚園や保育園のプログラムにも非認知能力を育むプログラムが含まれています。
非認知能力を高める方法は、こちらの記事で詳しく紹介していますので、併せて参照ください。
ぜひ家庭でも試してみましょう。
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