マンションやアパートなどの賃貸物件に関する賃貸借契約書を交わす場合、収入印紙の添付が必要になる場合があります。
しかし条件によっては収入印紙の貼り付けが不要なケースもあり、手続きを進めるうえで紛らわしいと感じる方もいるでしょう。
賃貸借契約書には建物用と土地用の2種類があり、それぞれ収入印紙の有無は異なります。
そこで今回は、賃貸借契約書の収入印紙の有無を確認していきましょう。
アパートやマンションの賃貸を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
賃貸契約書に収入印紙は必要?
賃貸借契約書は、マンションやアパートの賃貸物件を借りるときに結ぶ契約書のことをいいます。
賃貸を借りるうえでの条件が細かく記載されており、契約に関して効力を及ぼす書類です。
賃貸借契約書には、建物用と土地用の書類があります。
土地の賃貸借契約書は基本的に収入印紙の添付が必要です。
一方で、建物の賃貸借契約書に対しては例外を除き基本的に収入印紙の添付は必要ありません。
賃貸契約書を結ぶときに混乱する人も多いため、わからないときは確認しながら手続きを進めましょう。
>>:賃貸借契約書とは?トラブルを防ぐポイントから必要書類も紹介!
賃貸借契約書の種類
賃貸物件を借りるときに結ぶ賃貸借契約書は建物用と土地用の書類があり、それぞれ収入印紙の有無が異なります。
ただし、契約内容によってはルールが変わることもあるため契約する際は注意が必要です。
ここからは、建物の賃貸借契約書と土地の賃貸借契約書に関して解説します。
土地の賃貸借契約書
土地を借りるときの賃貸借契約書は、基本的に収入印紙が必要です。
収入印紙は、賃貸借契約の金額によって変わります。
国税庁が提示する印紙税額の一覧は、以下のとおりです。
記載された契約金額 | 印紙税額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円以上~50万円以下 | 400円 |
50万円以上~100万円以下 | 1,000円 |
100万円以上~500万円以下 | 2,000円 |
500万円以上~1千万円以下 | 10,000円 |
1千万円以上~5千万円以下 | 20,000円 |
5千万円以上~1億円以下 | 60,000円 |
1億円以上~5億円以下 | 100,000円 |
5億円以上~10億円以下 | 200,000円 |
10億円以上~50億円以下 | 400,000円 |
50億円を超える場合 | 600,000円 |
例えば、土地賃貸借契約書に記載された契約金額が10万円以下の場合は200円、10万円以上50万円以下の場合は400円の収入印紙代かかります。
また、土地賃貸借契約書に契約金額が記載ない場合は、印紙税額は200円になるため注意しましょう。
ただし印紙税額の一覧のとおり、1万円未満の場合は非課税となるため収入印紙の添付は必要ありません。
ビニールハウスや駐車場も施設利用と判断されるため収入印紙は不要です。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
建物の賃貸借契約書
建物を借りるときの賃貸借契約書は、基本的に収入印紙が不要です。
ただし、契約内容によっては収入印紙が必要になることがあります。
例えば、ビルの賃貸借契約を交わす場合です。
ビルのような建物の場合、賃借人から建設協力金や保証金などを受け取ります。
このような賃貸借契約を交わすときは、国税庁が示す印紙税額第1号の3文書「消費貸借に関する契約書」に該当するため、収入印紙を添付しなければいけません。
賃貸契約書で紛らわしい点
土地と建物の賃貸契約書では、収入印紙の有無は異なります。
ただし原則として収入印紙が不要な建物の賃貸契約書でも条件によっては必要になることもあり、契約を進めるうえで判断に困ることもあるでしょう。
賃貸契約書で判断に困るのは、以下のケースです。
- 建物の賃貸契約書に土地が含まれる場合
- 駐車場の賃貸契約を結ぶ場合
まず建物の賃貸契約書に土地が含まれる場合ですが、原則として建物の賃貸契約書は収入印紙添付の必要はありません。
しかし、建物の賃貸借契約書に関して記載されている土地でも、建物用と土地用でそれぞれ賃貸借契約を交わしている場合は別です。
建物の賃貸契約書に関しては収入印紙の添付は不要ですが、土地の賃貸契約書には添付しなければいけません。
特に初めて賃貸契約書を交わす人にとっては紛らわしい点になるため、間違えないように注意しましょう。
さらに、駐車場の賃貸契約を結ぶ場合も要注意です。
こちらも原則として土地の賃貸契約書には収入印紙の添付が必要ですが、土地の上に建つ建物の利用であれば、施設利用とみなされるため収入印紙の添付は必要ありません。
ただし、このケースで紛らわしいのは更地の駐車場を借りる場合は収入印紙が必要で、土地の上に車庫がある場合は収入印紙が不要なことです。
同じ駐車場ですが、土地の上に車庫があることで施設利用と判断されます。
駐車場に関しては施設の利用と判断されるかが重要なポイントとなるでしょう。
電子化でコストを抑えることが可能
まだ明確な時期は決まっていませんが、国土交通省では賃貸借契約の電子化を進めています。
賃借人もわざわざ来店せずに済むため、契約に時間もかかりません。
また賃貸借契約の電子化により、収入印紙の添付が不要になるためコストを抑えられるのもうれしいポイントでしょう。
収入印紙が不要な理由は賃貸借契約の電子化で非課税の対象になるためです。
賃貸オーナーや管理会社からPDFで送られてきた契約書に電子署名とタイムスタンプを添付して返送すれば、賃貸借契約の手続きが完了します。
収入印紙の添付が必要か不要か判断に迷わずに済むため、契約に関するトラブルも避けられるでしょう。
まとめ
アパートやマンションなど賃貸物件を借りるとき、賃貸借契約書を結ぶ必要があります。
また、契約内容によっては賃貸借契約書に収入印紙を添付しなければいけません。
しかし、建物の賃貸契約書に土地が含まれたり駐車場の賃貸契約を結んだりした場合は、収入印紙の有無が変わることもあります。
さらに、現在国土交通省は賃貸借契約の電子化が進んでおり、本格的に導入するとなれば条件に関わらず収入印紙の添付が不要です。
賃貸借契約の収入印紙に関する疑問は、ぜひ賃貸スタイルにご相談ください。