賃貸物件に長く住んでいれば、更新料に関するお知らせが届いたり、実際に登録している口座から更新料が引き落とされたりすることがあります。
賃貸物件の更新料に関して、正しく理解しておかなければ、なぜ引き落とされたのか、いつ引き落とされるのか、わからないまま過ごしてしまうことになるでしょう。
この記事では、賃貸物件の更新料に関する情報を徹底解説します。
賃貸物件の更新料の地域別の相場、支払い義務など、賃貸に住んでいる方が損しないために必要な情報をお伝えしていくので、しっかりと確認していきましょう。
目次
賃貸物件における更新料とは?
賃貸物件の更新料とは、賃貸契約満了時期に家賃とは別に支払う手数料のことです。
更新料を払うことで、賃貸契約を更新できます。
更新料の金額や時期は、大家さんや管理会社が自由に設定できます。
一般的には2年ごとの更新で、更新月に口座引き落とし、もしくは振り込みで支払いをおこなえます。
契約満了時期が近づいたら、大家さんや管理会社から電話で連絡が来たり、ハガキでお知らせが届いたりするので、同じ物件に住み続けたいなら内容を確認して更新料を支払いましょう。
【地域別】賃貸物件の更新料の相場
賃貸物件の更新料は、家賃の1〜2ヵ月分が一般的です。
しかし、地域によって更新料に違いがあります。
都道府県 | 割合(割合) | 平均(月) |
---|---|---|
北海道 | 28.5 | 0.1 |
宮城 | 0.2 | 0.5 |
東京 | 65.0 | 1.0 |
神奈川 | 90.1 | 0.8 |
埼玉 | 61.6 | 0.5 |
千葉 | 82.9 | 1.0 |
長野 | 34.3 | 0.5 |
富山 | 17.8 | 0.5 |
愛知 | 40.6 | 0.5 |
京都 | 55.1 | 1.4 |
大阪 | 0 | – |
兵庫 | 0 | – |
広島 | 19.1 | 0.2 |
愛媛 | 13.2 | 0.5 |
福岡 | 23.3 | 0.5 |
沖縄 | 40.4 | 0.5 |
例えば、2017年の実態調査になりますが、大阪府や兵庫県では更新料がかからないケースも珍しくありません。
しかし、同じ関西でも京都府は1年ごとに家賃1ヵ月、または2年ごとに家賃2ヵ月の更新料が発生する場合があります。
埼玉県や愛知県であれば、家賃の半月分が更新料になる契約も少なくありません。
賃貸物件の更新料の支払い義務について
更新料の支払い義務は、賃貸借契約書に記載されている内容によって異なります。
賃貸契約を結べば、賃貸借契約書の記載内容に同意したとみなされるので、更新料の支払い義務が生じます。
しかし、賃貸借契約書に更新料に関する記述がないときは、借主が更新料を支払う義務は生じません。
つまり、更新料の支払い義務が生じていないときは、支払いを拒否できると考えられます。
ただし、更新料の支払い特約に関して最高裁判所で判決が出た事例もいくつかあるのも事実です。
これらの最高裁判所の判決では、更新料条項の有効性は以下のとおりです。
「更新料の額が、賃料の額、賃貸借契約が更新される期間に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条にいう民法1条2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものには当たらないと解するのが相当である。」
参考:更新料に関する最高裁判決
賃貸物件の更新料の賢い交渉術
賃貸物件の更新料の金額は、賃貸借契約書に記載されている場合もあり、基本的に値下げはできません。
しかしながら、値下げできない可能性が高くても、値下げ交渉をおこなうこと自体は可能です。
交渉の仕方次第では、更新料の値下げを受け入れていただける可能性もあるので、ここでお伝えする交渉術を把握しておきましょう。
まずは、更新せずに引っ越ししようか悩んでいることを伝えましょう。
大家さんや管理会社の立場でいえば、一度の更新料よりも毎月家賃を払い続けてもらったほうが当然ながら収益が出ます。
そのため、引っ越しせずにそのまま住んでくれるなら更新料を下げても良い。などの対応をしてくれる場合があります。
更新のタイミングで、今後も長く住むことを伝え、更新料か家賃のどちらかを値下げしてもらえるように交渉をおこなうケースも多いようです。
また、更新料が高くて支払えない場合は、分割での支払いを相談するのも一つの方法です。
原則は一括での支払いですが、大家さんや管理会社によっては分割に対応してくれることもあるでしょう。
更新料なしの賃貸物件をおすすめしない理由
賃貸物件を探していると、更新料なしの物件が見つかることもあるでしょう。
更新料がない物件は一見メリットに思えますが、デメリットもあるので基本的にはおすすめしません。
ここでは、更新料なし賃貸物件をおすすめしない理由をご紹介します。
周辺の物件に比べて家賃が高い
更新料なし物件は、家賃が高く設定されているケースが多いです。
更新料がないと大家さんや管理会社の収益が少なくなるので、その分家賃で補うのです。
更新料なし物件を契約の候補にする際は、周辺にある賃貸物件の家賃とどれほどの違いがあるか確認しましょう。
実際のところ、年間の費用で考えると更新料を払うほうが安いケースもあります。
入居時に支払う敷金・礼金が高い
家賃と同様に、更新料がない分、敷金や礼金が高い場合があります。
特に礼金は一度支払うと手元には返ってこないため、周辺の物件より高すぎないかチェックしましょう。
退去時の諸費用が高い
更新料なし物件では、退去時の諸費用が高い場合もあります。
具体的には、退去時にかかるクリーニング費が高額に設定されている可能性が考えられます。
他にも、賃貸契約ではかからない退去負担金が加算されていることもあるでしょう。
そのため「退去時にかかる費用は何があるのか」、また「適切な価格なのか」を確認してから契約するのがおすすめです。
賃貸物件の更新料で注意すべきこと
賃貸物件の更新料に関しては、支払いや連絡についての注意点があります。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
滞納せず期限までに更新料を支払う
更新料は滞納せず、期限までに支払いましょう。
万が一支払わなかったり、滞納したりすれば、賃貸契約が解除になる可能性があります。
契約解除になった際は、過去に遡って支払われなかった更新料と金利が合算されて請求されるケースもあるでしょう。
賃貸借契約書で同意している場合は支払いを拒否できないため、期日を守って支払いを済ませる必要があります。
退去する場合は1ヵ月前までに連絡を入れる
賃貸契約を更新せずに退去する際は、退去予定の1ヵ月前には大家さんや管理会社に連絡を入れましょう。
ただし、賃貸借契約書に退去予告に関する記載があれば、契約書にしたがって連絡しなければいけません。
場合によっては、退去予定の2~3ヵ月前には連絡を入れるように指示がある場合もあります。
また、退去日と更新期間がまたがってしまう場合は、更新料の支払い義務が生じるため注意が必要です。
賃貸物件の更新料を支払わなかったらどうなる?
賃貸借契約の規定である借地借家法の28条には、正当の事由と認められた場合、大家さん側からの契約解除は違法ではないと記載されています。
そのため、住居人が更新月に更新料を支払わない場合、契約解除や強制退場を大家さんから言い渡されることがあるので注意が必要です。
契約書で更新料に関して触れられている場合、住居者が住み続けたいのであれば更新料を支払いましょう。
参考:借地借家法
まとめ:家賃だけでなく更新料も踏まえて賃貸物件選びを
賃貸物件の更新料は、契約満了時期に支払う手数料のことです。
更新料を支払うことで、引き続き物件を借りられます。
更新料の支払い義務は、賃貸借契約書の記載内容によって異なるため、契約前に確認しましょう。
また、更新料なし物件に関しては、家賃や初期費用、退去時かかる費用が高額になるケースがあるため注意が必要です。
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