防音室付きの物件に住めば、楽器を演奏したり、スピーカーで音楽を楽しんだりできます。
しかし、いざ契約するとなると、実際にどれくらい防音効果があるのかが気になります。
本当に住んでから楽しめるかどうかを見極めるためには、防音効果の基準を知る必要があるでしょう。
この記事では、防音室付きの賃貸物件に関して、防音効果が得られるしくみの基礎知識と物件の探し方、借りるときに注意したいポイントを解説します。
防音室付き賃貸探しで注目すべき建物の構造
防音室付きなど防音性能の高い賃貸物件を探すときは、建物の「構造」に注目することをおすすめします。
建物の構造には木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造がありますが、防音性能が高いとされているのは鉄筋コンクリート造です。
他に、鉄骨鉄筋コンクリート造という構造もありますが、防音性能に関していえば鉄筋コンクリート造とほぼ同程度とされています。
防音室付き賃貸における室内の主な特徴
防音室付きの賃貸物件には、他の一般的な物件とは異なる特徴があります。
ここではその特徴を壁、天井と床、窓に分けて詳しく見てみましょう。
部屋の壁は中空二重構造
防音性能の高い物件の多くは、壁に「中空二重構造」が採用されています。
中空二重構造は、壁と壁の間に何も詰まっておらず、空間ができている構造です。
通常の二重になっていない壁に比べると防音性に優れ、音が外に響きにくい特徴があります。
屋内で楽器を演奏する、または子どもやペットの声が大きくなりがちな家では大いに役立ちます。
床や天井は吸音材や制振ボード
室内の音が伝わるのは、壁だけでなく床や天井も同様です。
防音性の高い物件では、天井や床にも特別な建材が使われています。
具体的には、床に吸音材や制震ボード、天井には石膏ボードなどの遮音材や振動を伝えにくい防振ゴムなどの防音用建材が使われます。
窓は二重サッシか三重サッシ
窓からの音漏れを防ぐのは、二重サッシ(二重窓)または三重サッシ(三重窓)です。
通常の窓ガラスは防音性能が低いため、内側に窓を追加することで高い気密性と防音効果が得られます。
室内からの音を防ぐだけでなく、屋外の車や電車、工場などの騒音の遮断にも使われます。
防音室付き賃貸と楽器相談可能賃貸の違い
賃貸物件には、防音室付き物件とは別に「楽器相談可能」と特記された物件もあります。
この違いは次のとおりです。
- 防音室付き物件:一定以上の防音性能を備えた防音室がある
- 楽器相談可能物件:防音室ほどの遮音性能はないが、室内で楽器を演奏できる
楽器相談可能物件は、大家さんや管理会社に相談することで室内での楽器の演奏が認められる物件を指します。
一般に防音室ほどの遮音性能がない場合が多いですが、それでも一般の物件に比べるとトラブルに発展するリスクが低いです。
音が屋外に漏れても良い場合にのみ、契約物件の選択肢に含まれるでしょう。
理想の防音室付き賃貸物件を探す方法
防音室を備えた物件には、相応の資金がかかります。
一般的には防音室がない物件が大半なので、ニーズは少なく大家さんもよほどのことがない限り先行投資はしづらいものです。
したがって防音室付き賃貸物件は数が少ないため、正しい探し方を理解しておかなければ、希望通りの物件を見つけることはできません。
ここでは、理想の防音室付き物件を効率的に探す方法をご紹介します。
防音賃貸専門の不動産サイトで探す
最近は、賃貸物件もまずはインターネットのWebサイトで探すことが基本となっています。
防音室付き賃貸物件も同じで、防音関連の物件だけを専門で取扱うWebサイトもあります。
一般的な物件に比べ、取扱っている物件数は少ないですが、まずはWebサイトでどんな物件があるか調べてみましょう。
音楽大学の近くの賃貸を探す
音楽大学の周辺には音楽大学に通う学生向けの物件が多くを占めます。
そのため防音室を必要とする学生をターゲットにしている物件も多く、比較的防音室付き物件を見つけやすいでしょう。
地域の相場よりも家賃を上げて探す
防音室付き物件には、一般的な物件以上に設備へ多額の資金が投下されています。
そのため、家賃も高めに設定されているのが通常です。
もし防音室付き賃貸物件を限られた範囲の家賃で探しているなら、金額をより高めに広げて探すことをおすすめします。
これは地域ごとに異なる「家賃相場」より高めという意味です。
ひとまずは自分が希望する家賃を気にせず、どのくらいの家賃であれば防音室付き物件を借りられるのか調べてみましょう。
防音室付き賃貸を借りるときの注意点
ここでは、防音室付き賃貸物件を借りるときに注意すべき点を解説します。
一般の物件とは異なるマナーやポイントを理解しておきましょう。
遮音性能を不動産会社に確認する
物件の防音性能のレベルは次のような「遮音等級」で表します。
遮音等級 | ピアノやステレオの音 | |
一般的な木造 | D-30・D-40 | はっきり聞こえる |
一般的なコンクリート造 | D-45・D-55 | 少しだけ聞こえる |
楽器可能物件レベル | D-60・D-70 | かすかに聞こえる |
防音室レベル | D-75・D-95 | 聞こえない |
遮音等級の下2桁の数字が大きいほど防音性能が高いことを示しています。
防音室レベルならD-75またはD-95となります。遮音等級に関しては、物件を探す段階で、不動産会社に確認しておきましょう。
防音室付きでも、等級が低ければ音が漏れる可能性はあります。
ドラムやトランペットなどの特殊な楽器ならD-80以上の遮音等級を備えた物件を選ぶといいでしょう。
利用規約を確認してルールやマナーを守る
いくら防音室付きとはいえ、利用に関してさまざまな制限が設けられていることもあります。
例えば「楽器の演奏は22時まで」「演奏できる楽器はピアノとギターのみ」など物件によってルールはさまざまです。
防音上の問題はなくても、グランドピアノのように重さや搬入経路が原因で禁止される場合もあります。
その他、ルールにはなくても他の住人に迷惑になる行為も慎むべきでしょう。
換気機能が整っているか確認する
防音性能が高い部屋は、一般的に気密性が高い特徴があります。
適切に換気しないと部屋の中の空気の循環が滞って湿度が上がり、楽器や音響設備を傷めかねません。
防音性能と同じくらい、換気機能が整っているかどうかも確認しましょう。
大型楽器を搬入できるか確認する
もし室内で演奏したい楽器がグランドピアノなら、大型楽器を置けるかどうかだけでなく「搬入できるか」もよく確かめる必要があります。
いくら防音性能が高い物件でも、通常の物件をリフォームしただけなら入り口は限られ、それほど広くはないはずです。
内見時に大型楽器が搬入可能かどうか、過去に搬入したことがあるかどうかを確認しましょう。
まとめ
防音室付きの賃貸物件は、設備に費用がかかるため数が少なく、家賃も高額になる傾向があります。
防音効果の高い鉄筋コンクリート造で、壁・天井・床・窓にも防音加工が施された遮音性能の高い物件が理想ですが、探し出すのは大変です。
貴重な防音室付き賃貸物件を契約できたら、遮音性能を確認して防音効果を過信せず、ルールとマナーを守って周辺住人とも上手に付き合ってしっかり楽しみましょう。
これから防音室付き物件を探すなら、賃貸スタイルにご相談ください。